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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 もう様々夏休み~ということもあってか,毎日の日経も結構薄いですよねぇ~。単に広告面が少なくなっているだけかもしれませんけど。

 日経の電子版にはもっと面白い話(皮肉ですよ。)が載っているようですが(「「弁護士は余っている」は本当? データを読み解く」),今回は,紙でも読める私見卓見の方ですね。

 タイトルは,「法改正は「万人受け」脱却を」ということで,キャノンの知財トップの長沢さんによるものです。

 ま,キャノンと言えば,知財が強いというイメージで有名ですね。
 私も企業知財部出身なので,おおよその内情はわかるのですけど,玉石混交ですね,知財部って。
 それは法務部もそうかもしれませんけど,能力も意識も高い人から,両方低い人までもり沢山ですね。でも,知財部って,エンジニアの墓場って言われてた経緯からして,法務部よりバラツキは大きいかもしれません。

 なので,総体として強い知財部~ちゅうのがイマイチピンと来ない所はあるのですけど,キャノンの場合は歴史由来でしょう。
 
 ご存知のとおり,キャノンのメインの事業の一つであるコピー機,これはアメリカのゼロックス起源ものです(ゼログラフィー)。なので,キャノンがコピー機を売り出したころ,ゼロックスにいじめられたわけです。
 で,キャノンは気づいたわけです。アレ!?この辺の基本特許しか出していないぞ,ゼロックスって,と。ということで,重要な応用特許と別口の特許を沢山出して,ゼロックスの基本特許がエクスパイアした暁には,逆の立場に立つことができた・・・。

 これは大手企業の特許戦略の基本のキ,と言える戦略ですけど,これがデフォーになったのは,キャノンからでしょうね。

 やっぱ特許で強くなるには,一度とことんまでいじめられないとダメだと思いますね~。ムフフフ。

 だからなのかもしれませんが,キャノンがやっている事業って,中国や韓国の追撃を防いでおります。上記のコピー機,中国や韓国で日本企業を凌駕している所って?
 また,デジカメ,やはり中国や韓国で日本企業を凌駕している所って?
 さらには,ステッパー,やはり中国や韓国で日本企業を凌駕している所って?
 どれもほぼない,と言ってよいと思います。

 とは言え,コピー機は,紙の削減,全ては電子ファイル化に向かっていますので,シュリンクしています。デジカメも,スマホとソニーにシェアを食われてアップアップです。さらに,ステッパーも,超短波の光源での争いになってからASMLの一人勝ちになって,これまた散々な現状です。中韓だけが敵じゃなかったのですね。

2 というようなキャノンの現状から,キャノンの執行役員が述べたものだという認識は,今回の私見卓見を読むに当たり必要だと思います。

 世の中のすべての人は何らかの利害関係を持つのです。

 別にそれは悪いことではありません。ただ,それを詳らかにせず,スニーキーにやること,これは公平に反することです。どっかのでかい法律事務所のように。

 長い前置きでしたが,今回の私見卓見の言いたいことは手短ですね。
 法改正について,「第4次産業革命といわれる産業構造の急変に対応するには、折衷案でとどまらない思い切った改革が必要だ。場合によっては一部の既得権益を奪う判断も問われる
 これに尽きるでしょう。

 長沢さんは,本人も今日の私見卓見で書いているとおり,色んな政府委員をしています。そのときに別に変なことを言っているわけでありません。その昔,武田の知財部長が幾多の面白発言をしていましたが,長沢さんはそんなことはありませんからね。

 私も上記のとおりの今回の論文の趣旨には大賛成です。なので,普通はこれでチャンチャンという話です。
 しかし,終盤がいけません。

もちろん、一方的に切り捨てるのではなく対話は必要だ。意見が対立した相手とは、一席設けて膝詰めで向き合ってみる。情でつながり信頼関係ができれば、自分の利害と対立する意見にも耳を傾けるという「浪花節」的な面も日本人の美徳だ。少人数の席でなら、互いに非があれば、認めあい、譲りやすいという利点もある。

 どうですか~これ。今更,談合のススメですわ。
 ま,この辺に知財部の限界が見えますね。法務部の人だったら,今どきこんなこと言えるわけがありません。企業同士の談合や談合っぽいのすら避けている状況(リニアの事件がいまだ生々しい話ですし。勿論,アレが本当に談合か?という論点はありますよ。私は当然権力に屈するなよ!と思いますので。)ですからね。

 しかも,これじゃあ透明性もありません。法改正というものにもかかわらず,「浪花節」的に少人数で何とかする~~わけがわかりません??。枢密院か何かなんでしょうかねえ???。

 リーガルマインドが欠けては話になりません。恐らく,何かの折に関し普段やっているものと勘違いしたのかもしれません。

 あ,そうそう,知財部の人は,特許カルテル等が独禁法上問題にならないと思っているなら考えを改めた方がいいと思いますよ。右にならえの職務発明規定も,本当に競争力を損なってないかよく考えた方がいいでしょうね。
 私はエキセントリックな変わり者故,いつ皆さんの首を掻っ切りに馳せ参上するかわかりませんよ。

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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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