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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 別にこれは私のことじゃないです。
 基本私は,蛇蝎のごとく嫌らしい性格をしておりますので(毒女並です。ムフフフ。),まあこういうこともあるのですけど,今回は違います。

 これはシャークフィンアンテナの特許紛争ですね。

2 そういうと,まあこのブログでも紹介したのですけど,基本和解で終わっております。

 当事者のIRもありましたし,それはそれでいいよねんって感じでした。

 で,今日,再度このシャークフィンアンテナで争いが勃発したということを聞きました。
 いやあ,和解で終わったはずなのに,しつこい原告だなあ,被告の和解条項違反でもあったのかいな~と思った私は浅はかでした~(大体いつも浅はかなのですけどね。)。

 今回原告と被告が逆です。前回大勝利を収めた原田工業が今度は被告で,前回煮え湯を飲まされたヨコオが原告です。いやあ,交通事故と匹敵する原被告の可換性~涙が出ます~♡

 ヨコオの方のIRは既にありまして,ここです。これによると特許番号は,特許第5213250号ですね。
 クレームです。

【請求項1】   底面に給電用筒状部を有するベース体と、ベース体の上側を覆うカバーと、前記ベース体に設けられる仮固定用ホルダとを備え、  
 前記仮固定用ホルダは、可撓性樹脂で成形されており、前記給電用筒状部の外壁面に沿って下方に延びる複数のメインアーム部と、前記メインアーム部に対して下端部にて繋がったサブアーム部とを有し、  
 前記サブアーム部は前記下端部が前記サブアーム部の撓みの支点となり、前記サブアーム部の上端部は前記メインアーム部の外側面よりも外方向に突出した係止爪をなし、かつ前記係止爪は上端に向かって肉厚が増加している、アンテナ。」

 まあこういう機械系のクレームをこのまま頭に思い浮かべることが出来る人は,知能指数200とか呼ばれるのでしょうね。
 私は無理です。

 これ従来技術から説明しないとダメです。

 従来は,シャークフィンアンテナを取り付けるときの仮固定のジグとして,以下の図のようなものを用いていたらしいです。
 
 この特徴は,車のボディ差し込み穴50に入れるときのたわみがJの部分で起きるということです。
 イマイチ,入れるときに力がかかり,しかも抜けやすいらしいです。

 それをこうしたということです。
  
 ちょっと違います。
 たわみは,Sの部分で起きています。
 部材が金属の場合の作り方としては,Sの部分を残し,部材の内側を半島状に切り込み,そしてその部分をSを支点に立てると,こういう機構になります。
 ただし,樹脂で作るからか,「前記係止爪は上端に向かって肉厚が増加している」ということが特徴です。
 こうすると,入れるときに力も不要で,しかも抜けにくいらしいです。

 ま,自分で明細書を見た方が,分かる人に分かるということで,そういう人はここを見るといいと思います。

3 分かりましたかね~。

 ともあれ,前の原田工業の特許に比べるとかなりマニアックって感じがします。
 
 でも,これで訴えるって・・・と思って特許権者を見たら・・・これ共有特許だわ~。ほんでその共有者は・・・トヨタ自動車!!!。
 何か引くに引けない理由ってこの共有者にありそうな気がしますね(ヨコオの数ある特許からこの特許1つを選んだってえのも・・・)。
 
 トヨタ自動車には我が東工大陸上部からも沢山行っており,私のかなり親しい人もいるのですけど,何と言ってもコスト削減の鬼,言いかえれば超ケチ。原田工業へのライセンス料等が実に気になったであろうことは想像難くない所です。

 ということで,江戸の敵を長崎で討つ?いや討たせられる?って所でしょうかね。
 こういう所謂泥仕合ってって,結局弁護士が儲かるだけなんですけど,まあいいでしょ。潤いの足りない我が業界に潤いを与えてくれるというのですから~。タリラーン。
 良かった,良かった~?
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