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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 FRAND特許の判決はいつアップされるのだろう。もしかして,諸般の事情により,アップされない,のかも~。
 ということで,別な話ですが,そこそこホットな話題が2つありましたので,これで行きましょう。

2 まずは,本日の日経紙です。「特許出願先,中国が首位」という見出しのもので,基本,データばっかの記事です。
 こういうのはいいですね~。自称インテリ,実はアホの記者のしょうもない意見は知りたくも何ともありませんので,実データがどうなのか,これだけあればいいのです。

 そうすると,2011年で,支那が米国も抜き,50万件を超え,526,412件と確かにトップです。
 そうそう,弁理士会でも支那の特許出願についての研修が昔に比べれば随分あるなあという気がします。勿論,去年の秋以降,中年の中折れみたいにはなっておりますが,対日本企業にとって,重要な出願先であることは明白です。

 ですので,支那への出願をやる日本の事務所や,支那の特許事務所は,いまだ大儲けかもしれません。
 特に,支那の代理人は,支那の物価で,日本の料金程度取りますので,あそこは開業*年で北京の一等地に自社ビルが建ったとかそんな話には事欠きません。でも,日本の代理人がそこまで儲けられるかというと,若干疑問の点はありますね。

 他方,日本の出願数は,342,610件です。なかなか40万件には戻りませんね。ただ,この日経の特集やるじゃんと思ったのは,上記の出願数というのは,支那の特許庁や日本国特許庁への,出願数なのですね。他方,出願人の方へ着目すると,相変わらず,日本人(日本企業も含む。)が特許出願数世界一らしいです。
 つまりは,日本の特許庁への出願数は減っているが,世界各国への出願数は増えている,というわけです。

 良かった,良かったって,そりゃ,それまで減ってたら最悪ですが,要するに,日本には特許出願をする魅力がないというわけですよ!まずいんじゃないのかなあ。
 特許出願を何故するかというと,結局のところは,権利行使ないし被権利行使のためでしょ。他社に攻撃するのはわかりやすいですが,メインとしては,他社からの攻撃を防ぐこと(それが被権利行使の意味。)でしょ。それは最終的には司法部門の判断ということになるのでしょうから,日本の出願が減り,外国への出願が増えているということは,結局,フォーラム・ショッピングで競争力がない!ということの証です。

 実務家の皆様も,民法のオナニー改正に付き合っている暇があったら,訴訟法とか執行法とか,そういうところをもっと考えてもらわないと,って,オナニーしているのは学者だけでしたね,こりゃ失礼~♪

3 次に,特許の実務家の皆様には非常に重要な話です。単一性の審査基準が変わるということで,意見募集期間に入っております。期間は4/5までです。あと4週ありますが,すぐに経ちますよ。

 こういうのについて,興味あるんだけど,上でやるからなあという投げやりになるのもわかりますが,言うべきことは言っておいた方がいいです。
 私は,ちょい昔,補正の審査基準が変わった時に,それじゃあ厳しい時の審査基準に従い,狭い権利しか取れなかった出願人が,国賠訴訟を起こした場合,おたくはどうすんの,認諾するのかい?と意見を書いたことがあります。特許庁からは,そこそこまともな返事が来ましたね。

 ですので,もう特許委員会がやるって言ってたからなあ(これは弁理士)とか,特許第*委員会の第*小委員会がやるって決めたからなあ(これは知財協)とか言ってないで,個別の意見を出した方がいいと思います。

 で,私はどうしようかというと,そもそも審査基準自体が無効!なんじゃないのってことです。何故無効か?法文と委任省令を示します。

 特許法第37条
二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。

 特許法施行規則第25条の8
特許法第三十七条の経済産業省令で定める技術的関係とは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係をいう。
2 前項に規定する特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう。
3 第一項に規定する技術的関係については、二以上の発明が別個の請求項に記載されているか単一の請求項に択一的な形式によって記載されているかどうかにかかわらず、その有無を判断するものとする。


 上記の特許法施行規則は,特許法の委任に基づくものです。

 さて,これでどう無効なのかというと,この省令と審査基準を見た時,異様なものがありますね。そう,省令の2項の「発明の先行技術に対する貢献」です。

 私は,この記事を書くために,当該審査基準を久々に見るとともに,H15年の立法のときの,「解説」を見ました。
 そうすると,その改正の趣旨は,4つあり,①柔軟な対応の困難性,②「特定」発明との関係で判断することによる問題,③先行技術との関係の不明確さの問題,④単一の請求項内での単一性違反規定の不存在の問題,が挙げられていました。上記の問題は,この③と関連し,「解説」によると,PCT規則に範をとった旨の記載があります。

 PCT規則,13.2後段はこうです。
「特別な技術的特徴」とは、請求の範囲に記載された各発明が全体として先行技術に対して行う貢献を明示する技術的特徴をいう。
 そう,上記の省令は,PCT規則と平仄を合わせたのですね。

 でも,だからと言って,これが,特許法37条の委任の範囲内なのですかね~?

 原理原則に戻って考えます。特許法37条の趣旨は,1つです。出願人の便宜と特許庁の面倒臭さのバランスです。

 どういうことかというと,例えば,ハイブリッド車のエンジンの発明と,乳がんの新薬の発明と,第5世代携帯電話のプロトコルの発明を同じ出願でやれるとすると,出願人としては,予算が凡そ1/3で済みます。勿論,請求項加算の分がありますが,それでも別出願にするのに比べれば,随分安上がりです。
 でも,審査する特許庁としては,たまったものではありません。最初に,機械のエンジンの分野の特許等の先行技術サーチをして,その後,薬をサーチして,最後に携帯のプロトコルのサーチをしていたら,3倍の手間です。

 だからと言って,ハイブリッド車の発明とハイブリッド車のエンジンの発明も,別出願にしなきゃいけないというのでは,今度は出願人が黙っちゃいないでしょうね。

 結局,そのいいバランスがどこかという話です。PCT規則が絶対というわけではありませんよね,規則で決めているくらいですから。
 旧特許法37条と旧省令は,特段先行技術云々の明記はありませんでしたが,サーチし直しが多すぎて困る~なんてことは聞いたことがありません。

 だとすると,現在のこの省令は,若干やり過ぎ,つまりは,法律での委任の範囲を超えているのではないかということです。
 具体的には,法律では,先行技術のことは全く触れていないのに,省令レベルに来ると,いきなり先行技術との比較が入ってくるということです。上記のとおり,先行技術との対比をせずとも,特許庁の面倒臭さを低減する方法はいくらでもあるはずですから。

 それに,本当に,先行技術との対比が単一性の審査には必要ならば,やはり,法上明記すべきだと思いますね。それをやんないで,省令で誤魔化し,それを元にした審査基準なんて作るから,実務に大混乱を生み,今般審査基準を改正しなきゃいけなくなったわけですよ。

 ちょうど,近時省令を無効とした最高裁判決がありましたよね。ネットでの薬販売の件です。これ使えないですかね~。
 いやあ,誰か,私に単一性違反の件で審決取消訴訟を依頼してくれないですかね~♪クソ省令をぶっ潰してくれるのですが。

 ま,それはともかくも,まずは今回の意見募集には,このようなことを書こうと思います。と言っても,ここで書いたからもういいかな~。特許庁の職員の皆さんは,このブログをよく見ているようですからね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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