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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 袖振り合うも多生の縁と言いますので,ここで近々に施行されるので大慌て~と書いた,薬じゃない延長登録の話をちょっと詳しく書いておこうと思います。
 これぞまさに,何でもノートって感じです。

2 まず,いちばん重要な,いつからの出願に適用されるかという話です。
 実はこれ,法律の施行日じゃないのです。

 2020年3月10日以後の特許出願に適用されます

 これ本当です。
 実は TPP11 担保法の附則第 2 条が以下のように規定されています。
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)又は環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定が署名された日から二年を経過した日のいずれか遅い日以前にした特許出願に係る特許権の存続期間の延長については、第2条の規定による改正後の特許法の規定にかかわらず、なお従前の例による。」 

 署名があったのは,今年の3/8だから,それから2年を経過した日は2020年の3/9なのですね。施行日は,週末の12/30なので,2020年の3/9の方が遥かに遅いわけです。
 ですので,なお従前の例によるのは,2020年の3/9までの出願ということになります。
 逆に言えば,改正法が適用になるのは,2020年の3/10以降~つうことですね。

 ややこしい~!

 ということで,まだ再来年の話~理解できていない方も慌てなくていいようです。

3 つぎ,じゃあどういう風に期間延長になるかってことです。
(1)大原則は,基準日から特許権の設定登録の日までの期間分ということになります(新67条3項)。
 基準日というのは,特許出願の日から起算して 5 年を経過した日又は出願審査の請求があった日から起算して 3 年を経過した日のいずれか遅い日ですね(新67条2項)。

 具体的に考えましょう(施行日のことは考えず)。

 ここで何度か取り上げたフリーVSマネーフォワード事件のフリーの特許権(5503795号)で見ましょう。
 出願日は,2013.10.17です。これから5年経過した日だと2018.10.18です。
 審査請求日は,2013.10.17です。これから3年経過した日だと2016.10.18です。
 遅い方をとるので,基準日は2018.10.18です。

 他方,登録日は,2014.3.20ですから,延長登録できるわけがない!ということになります。ま,この特許権は早期審査対象のようですから,さもありなんです。

 もう一つ見ましょうか,私が自著でよく引いている,私が筆頭発明者のやつ(3287107号)です。
 出願日は,1994.3.24です。これから5年経過した日だと1999.3.25です。
 審査請求日は,2000.4.27です。これから3年経過した日だと,2003.4.28になります。
 遅い方をとるので,基準日は2003.4.28です。

 他方,登録日は,2002.3.15ですから,やはり延長登録できない!ということになります。

 私が発明者のやつを取り上げたのは,そこそこ悠長なころだったので,施行日を考えず行くと延長登録できる範囲かなと考えたためです。
 ですが,意外とパパッと登録されたんだなあってことがわかります。

 要するに,審査請求から3年を経過しても登録されないようなやつは結構少ないってことですね。

(2)で,大原則に当てはまるやつが思ったより少なそうなので,次行く気力が失せましたが,法は,この大原則から,10類型の例外の控除期間挙げています(67条第3項各号)。 
 ですので,最終的な延長期間は,大原則の期間から,この例外の控除期間を控除したものってことになります。

 例えば,審査請求から4年経って漸く登録された場合(出願日基準よりも遅い)で,拒絶査定から不服審判を経て特許審決を得た場合は,その拒絶査定の送達日から特許審決の送達日までの期間が控除されます。
 なので,この期間が7ヶ月だったとすると,結局,延長登録が認められる期間は,5ヶ月になるということです。

4 不服申立はどんなの?という話に移ります。
 本制度は,デフォルトの審査期間(審査請求から3年程度)を超えるようなものを単純に超えた分だけ伸ばすという趣旨の制度ですが,不服申立も必要です。

 そのため,新しく延長登録無効審判というのが加わります(125条の2)。今ある薬のやつは,125条の3になります。

 条文を見るとかなり限定的ですね。例外の控除期間の間違いなどは,無効理由になっていないように思えます。

5 特許庁の資料はどこにあるの?って件です。

 今回,まとめるために見た資料ですが,特許庁の制度審議室に電話で聞いてわかったものです(ご協力ありがとうございました。)。
 ですので,資料を探すだけでもかなり大変だと思います。

 まず,法改正自体の説明はこちらです。このときは,誰しも,アメリカのTPP離脱により空中浮遊して,ま,効力が生じることもないのだろうなあと思ってたころです。

 つぎに,審査基準が変わります。今,審査基準の改訂をWGで審議している途中のようです。最新の審理が,12/19ですね。
 法改正の資料よりも具体的ですので,こっちの方が分かりやすいと思います。

 これでかなり理解に資するのではないかと思います。どうかな~。

6 追伸
 毎度おなじみ流浪の弁護士,散歩のコーナーでございます。
 本日はここ山本橋に来ております。
 
 桜の葉はすっかり無くなりました。冬~ですね。

 ところで,この3連休,土曜に熱が出て,まあとんだ3連休でした。
 ことしの初め,インフルエンザが何かわかりませんが,高熱が出ましたが,それ以来ですね。

 冬に旅行すると熱が出ますね。今回は台湾疲れ~でしょうか。

 実は明日の夜からスノーボードに行く予定でもあったのですが,急遽中止です。去年も同時期に行ったのですが,去年は凄い雪でそれをワンスモア~♪って感じで狙ったのですけどねえ。
 ま,こちらの体力の方がダメでした。

 自営業に有給なんてものはありませんから,大人しくしているしかありません。ちょうど寒気も来てたのに残念ですが,致し方なしです。
 
 

 
 
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理論物理学者を目指したのはもう30年以上前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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