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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 本日も知財の判決のアップもないようですので,こんな話題で行きましょう。

 で,しかも本日はこのブログでは珍しい,多少建設的な話です。
 大体,私が今流行りの栗原類なんか足元にも及ばないスーパーネガティブなものですので,基本このブログでもポジティブな話とかガンバロウ何とかみたいな話とかは,全くしません。そんなのつまんねーし。皆さんだってそうでしょ,人の不幸は蜜の味~♪誰かの失敗とか,大損とか,そんなのが好きなんですよね~ムヒヒヒ。

 でもたまには,こんなのも,って所です。

2 まずは,金の方です。
 一昨日ですかね,ゲームソフト会社のカプコンが同業他社のコーエーを特許権侵害で訴え,第一回口頭弁論が開かれたという報道がありました。

 で,その内容はどこかで誰かが詳しく解説するでしょうから,私が気になったのはその請求額です。約9億8千万円ということでした。結構な多額ですよね。
 そうすると,気になったのは,知財の訴訟で,今現在一番高額なものって何だろう?ってことです。

 ここでも若干触れた,長らく日本一の高額知財判決だった,スーパーカブの意匠事件での7億6100万円って,一審判決で,その後控訴されて和解になっております。つまり確定した賠償額ではありません。

 次に日本一となった,シメチジンの特許権侵害事件では,原告の一方に5億円,他方に25億円少しという多額で認められました。でもこれも控訴されたんですよね。そして,無効審判と審決取消訴訟系の争いまで勃発して,これも和解で決着がつきました。

 さらに,その後のパチスロの特許権侵害事件(2002年)では,74億1668万円というさらに多額で認められました。でもこれもやはり控訴され,さらに無効審判も起こされましたが,この事件は和解で決着がつきませんでした。どういうことかというと,特許は無効ということになり,そしてこれが確定したため,当然侵害訴訟の方も請求棄却となりました。つまり,逆転で,74億1668万円→0円になったのです。あーあ。

 侵害関係だとおそらく,一審判決レベルでのこのパチスロ機の事件がいまだ最高額じゃないかなあって思います。

 ただ,侵害訴訟に限らず知財訴訟ならよいとするとアレがありますね。そう,有名な青色LEDの職務発明の相当対価請求訴訟です。これが一審レベルで,200億円でした。ただ,これも控訴され,控訴審で和解成立となりました。

 ま,ということですので,侵害訴訟だといまだパチスロ機事件,広く知財だと青色LEDの職務発明のやつが,認容額1位ということになるでしょう。

 では,他方,確定したやつだとどれになるのでしょうね。これはなかなか難しい。データベースで検索式を工夫すると出ますかね??おそらく,無理でしょう。こういうのは人の記憶に頼るしかないでしょうね。

 で,私の記憶の限りでは,まず切り餅の訴訟がありました。あれは,最高裁まで行ったのですが,二審の約8億円の賠償が確定しております。

 あと,重金属固定化処理剤事件が,約18億円の二審判決で,その後被告側が上告と上告受理申立をしたのにも関わらず取下げで確定しております。

 なので,確定した判決があるものだと,この重金属固定化処理剤事件でしょうね。被告の方は,負け確定で社長が交代になるなど,散々な結果です。

 ま,上記事件番号とか判決日とかの記載はありませんが,ググればすぐに出ますので,確認してください。

 ということで,このブログの結論としては,確定していない判決では,青色LED職務発明訴訟の200億円が最高,確定している判決では,重金属固定化処理剤事件の約18億円が最高としておきます。

3 次は名です。

 知財,知財と言いますが,これは知的財産ないし知的財産権のことですよね。他方,よく似た用語に,産業財産権とか工業所有権とか,さらには無体財産権とか言うのもあります。

 この違いはわかりますかね?

 まず,知的財産権ですが,これは知的財産基本法に定義があります。
「この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、 商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。」
 なので,例えば,契約書の作成時などに定義規定をわざわざ置かなくても大丈夫です。

 つぎに,産業財産権と工業所有権です。これは,昔は工業所有権と言ってたものを,最近産業財産権と言い改めたということになっております。
 特許庁のHPには,「知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の4つを「産業財産権」といい、特許庁が所管しています。」とあります。これは2002年の知的財産戦略会議で,知的所有権の語を知的財産権とし,工業所有権を産業財産権と改めようとしたことに起因しています。

 でもね~,本当か,常識を疑った方がいいんじゃねえのってえのが私の常のやり方です。

 どういうことかというと,特許庁が押し進めようとしている「産業財産権」,これ法律の用語じゃないんじゃないかな。他方,古いとされている「工業所有権」は,いまだに,所得税法やら法人税法やらで使っております(弁理士法だってそうじゃん!)。しかも,判例タイムズの見出しは,「産業財産権」ではなく,「工業所有権」なのです。

 面白でしょ~。つまり,政府は「産業財産権」を使え使えと言って,それに従順な所(弁理士会とかね。)は使っているけど,そうじゃない所,法律だとか裁判所系の所は全く使っていないのです。ですので,特許庁所管の4つの権利は,「工業所有権」と言うのがいまだに正しいと思いますよ。
 
 あれ?そうだとすると,面白い連想が生じませんか~?政府がこうだと決めたからって,実は別に大した話じゃない~。何かありませんか?
 そう集団的自衛権の話です。政府がそう決めても,法律がそうなってないなら,ある意味どうしようもないわけですね,ムフフ。議題から逸れそうなので,これはこのくらいで。

 さて,最後に無体財産権です。これはさすがに古式ゆかしく,もう古い学術書でしか使われていないと思われがちです。でも,違うのです。やはり,法律で使われている現役の用語です。
 印紙税法の別表です。

「無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいう。」

 何と,こんなはっきりした定義規定があります。驚きですね~。万能の法学者コーラーの亡霊ではないのですね。こう見ると,ほぼ知的財産権と同じですね~。ただ,知的財産権の方が,例示列挙になっているので使い勝手は良さそうです。

 で,まとめると,「知的財産権」は,言うまでもないけど,死んだはずの「工業所有権」も「無体財産権」も,現役の法律用語であり,別に使って何の問題もない~。他方,現役バリバリに思われた「産業財産権」は,旗振り役がうっとおしいだけの,法律用語でも何でもないでっち上げ,ってところでしょうかね。

 何でもそうですが,鵜呑みにするのではなく,自分の頭で考え確認するということは重要ですね。ですので,今,ここで書いた話も全部ウソでインチキかもしれませんので,それは皆さん自身で確認してちょーだい。

4 追伸
 いやあ,今日も雨で寒いです。8月でもこんな涼しくなることがあるんですかね。よく猛暑が異常なんて言う人が居ますが,私はちっとも異常とは思いません。夏が暑いのは当たり前です。

 夏に雪が降って積もったり,冬に猛暑日になってセミが鳴くようになったら初めて異常気象だと言うべきですね。

 ですので,本来,今日のような涼しさの方が異常ですわ。おかげで,景気も悪くなるんじゃないのかなあ。

 
 ほんで,これはどこでしょう。雨が降ると,散歩コースにも苦労しますが,あまり雨に濡れない,いいコースをたどるとこんな所に行き着くわけです。

 あ,そうださっき弁理士会から,例の特許庁主催の改正法の説明会についての質問の回答がありました。詳しくは,こちらを見て下さい。

 金はもらってないとのことでしたが,公正中立を装ったインチキって後を絶ちませんね。まあ世の中の99%はプロレスだと豪語したのはこの私ですが,たまにはガチンコをやって欲しいもんですなあ。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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