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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は, 平成17年3月28日,発明の名称を「旨み成分と栄養成分を保持した無洗米」とする特許出願をし,平成23年3月25日,設定の登録(特許第4708059号)を受けた被告に対し,原告は,平成27年9月4日,本件特許の請求項1ないし3に係る発明について特許無効審判を請求し,無効2015-800173号事件として係属したたところ,被告は,平成28年11月21日付け訂正請求書により,本件特許の特許請求の範囲等について訂正請求をしたものの, 特許庁は,平成29年3月24日,「特許4708059号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1,〔2-3〕について訂正することを認める。特許第4708059号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。特許第4708059号の請求項2ないし3に係る発明についての審判請求は,成り立たない。」との本件審決をしたことから,これに不服の原告が,平成29年5月9日,本件審決中,本件特許の請求項2及び3に係る部分の取消しを求める本件訴訟を提起した,審決取消訴訟の事案です。

 これに対して,知財高裁4部(高部さんの合議体ですね。)は,何と訴えを却下したのです。

 おっと,久々のマジ系大ネタ事件ですか~ってなるのですが,ちょっと違います。とは言え,イチャモンつける気もなく,とにかく,気をつけなはれや~ということで,紹介する次第です。

2 問題点
 問題点というと,期間徒過なのですね,今回。

 審決取消訴訟の提訴期間等は以下のとおりです。

(審決等に対する訴え)
第百七十八条  取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2  前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
3  第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない
4  前項の期間は、不変期間とする。
5  審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。
6  審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

 特に3項4項がきついですね。ちなみに本件での審決の送達日は4/3です。ウオー!

 このブログでは,特許庁からの指定期間とか法定期間の徒過の事件は多少取り上げたことがあります。
 ところが,この提訴期間の徒過の事件はなかなかないですねえ。

 ま,徒過するとどうなるか?弁理士よりもむしろ弁護士の方が背筋が凍る事件じゃないでしょうかね。

 ま,判旨見た方が早いので,行ってみますか。

3 判旨
「 1  本件記録によれば,本件審決の謄本が原告に送達された日は,平成29年4月3日であり,原告が本件審決取消訴訟の訴状を当裁判所に宛てて郵送し,これが当裁判所に到達した日は,同年5月9日であることが明らかである。
2  審決取消しの訴えは,審決の謄本の送達があった日から30日を経過した後は提起することができない(特許法178条3項)ところ,上記1認定の事実によれば,本件訴えは,本件審決の謄本が原告に送達された平成29年4月3日から既に30日を経過した同年5月9日(上記期間の満了日は同月8日)に提起されたものと認められるから,出訴期間を経過して提起されたものといわざるを得ない。
  3  以上によれば,本件訴えは不適法であり,その不備を補正することができないものであるから,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法140条を適用して,却下することとし,主文のとおり判決する。 」

4 検討
 いやあ惜しかったすねえ。5/8が〆の所,5/9に届いたという~・・・・。
 つーか本当,私弁護士なもので,こう書いていても身が凍りますね。

 これねえ,本当,厳しいですよ。
 弁護士は期間にルーズですが(司法試験にも殆ど出ません。),それは裁判所からの準備書面出してくれ,◯月◯日までに~というのが法定の期間等などではなく,まあお願い程度だからということを知っているからです。

 だから,もう期日の2,3日前,いや前日とかに平気で出してくる代理人とか居ますもんね。本当勘弁してくれって感じです。

 ところが,そんな期間にルーズな弁護士が,唯一気をつける期間,それが上訴期間です。

(控訴期間)
第二百八十五条  控訴は、判決書又は第二百五十四条第二項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない。」

 上告については,こういう感じですかね。
(控訴の規定の準用)
第三百十三条  前章の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告及び上告審の訴訟手続について準用する。

 なので,兎に角この2週間の期間は絶対に徒過しないように気をつけるわけです(両方とも民訴です。刑訴関係もありますが,私はほぼ刑事事件やらないので,民訴だけね。)。

 他方,弁理士の人は普段特許庁との期間の戦いをしていますので(弁理士試験にもよく出ます。),通常,期間の徒過などしません。だって,審査請求の3年なんか徒過した日にはどうなりますかね~。弁理士で一番やばい期間かもしれません。

 ところが本件,弁理士の代理人にもかかわらず,このように期間を徒過して,まさかの却下判決です。

 ただねえ,これねえ,代理人が東京所在じゃないからと思うのですね。
 どういうことかというと,上記の判旨のとおり郵送で送っています。かなりマージンを見て発信したと思うのですが,何かの理由で遅れたのではないかと思います。

 これが東京の代理人だったら,郵送じゃなく直接持ち込みしてますね。私も期間のあるものについては知財高裁等に直接持ち込んでおります。東京の代理人だったら少なくとも事務員に行かせると思いますね。
 しかし,地方だとそうはいきません。郵送がデフォルトなので,こういうこともあり得るって所です。
 
 本件では締め切りをたった1日過ぎただけ!実に惜しく,何とかならんのかという感もあります。知財関係は管轄の専属化が進んでいますので,こういうことが色んな所で益々起きそうですニャ。

 ま,本件は,不服のあるのが請求者側で,しかも無効審判ではクレーム1が無効で,訂正にも追い込めたということで,このまま確定しても大きな害はないかなと思います(だからこそ油断したのかもしれませんが。)。

 とは言え,仮に弁護士の場合なら,上訴期間等を徒過したとして懲戒となるでしょうから,大きなミスに間違いはありません。
 代理人の皆さん(私も含めて),くれぐれも気をつけた方がいいですね。

5 追伸
 毎度おなじみ流浪の弁護士,散歩のコーナーでございます。
 本日はここ,山本橋に来ております。
 
 空が梅雨っぽいですね。正午くらいまでポツポツ小雨が降ったりしていたのですが,今はやんで,非常に蒸し暑くなっております。

 明日以降は多少天気が良くなるらしいですが,まあ梅雨ですので,カラッとはいかないと思います。

6 追伸の追伸
 いやあ巨人また負けましたね。ついに13連敗。
 今日は知財の勉強会の日だったもので,さすがに生で見れなかったわけで,帰って結果が分かって実にがっかりしました。

 ただ,世間的には関係会社(東京ドーム,日テレなど)の株価が上がっているようですね。何故かと言うと,負けて注目が増えるだろうという逆張りというか,実に経済合理性に叶った見方なのですね。

 まあ確かに,普通に勝っていた4月とか5月半ばくらいまで,ああジャイアンツ戦ね,別にいいか~って感じですが,負けがこんできたこの頃は,おおどこのチャンネルだ,今日は,って感じですもんね。
 ちなみに今日はビジターゲームだったので,BS朝日でした。

 ジャイアンツの明日はどっちだ~♪

 
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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