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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 本日は,休刊日の月曜日。突っ込むべき日経法務面も,まあまあ気になる知財の話題もありません。

 こういう場合は,最近,どうでもいい話を書くか,それとももうスルー(こっちが多いかな。)のパターンだと思いますが,ま,先週行った研修で気になる所がありましたので,この話題で。

2 ということで,弁理士会の2つの研修ということです。
 まずは,前半です。
「「シートカッター事件」最高裁判決から学ぶ訂正の再抗弁主張のタイミング」ですね。
 
 シートカッター事件というのは,ここでも取り上げました。様々な理由から(様々じゃないか~♫)もう判決はあまり紹介しなくなったこのブログですが,一応の大ネタのため,取り上げました。

 ポイントは,ただ一つ,訂正の対抗主張のタイミングですね。

 原告代理人で,無効の抗弁がされた場合,本当このタイミングは苦労します。
 いや,無効の抗弁が明らかにヤバい,無効審判でも無効になった,一審でも無効の抗弁成立!なんて場合は,別に苦労しません。何とか訂正の対抗主張を考えて早めに主張する!ただそれだけです。悩みなんかありません。
 
 苦労する,悩むというのはそういうのではなく,無効の抗弁での公知資料が明らかに明後日~♫,勿論無効審判も不成立審決,一審でも無効の抗弁を排斥してたり判断していない場合での,二審です。

 こんな場合,訂正の対抗主張のインセンティブはありません。わざわざ権利範囲が狭くなるようなことを誰が好き好んでやりますかいな。

 だけど,判断するのは,裁判官なのです。これで無効?!中間判決かとばかり思っていたら,請求棄却の終局判決~ガーン!
 こんな経験やこれに似た経験ありませんか?

 なので,私がこの事件を取り上げたときには,「積極的に訂正の再抗弁を主張していった方がいい」と書きました。
 本来,こういう場合は裁判官が釈明すべきなのですが,そんなもん期待したって無駄に終わるだけです。なので,権利は多少狭まるのを覚悟で,明後日の引例と言えども,積極的に訂正の再抗弁を主張していくしかないのです。
 不意打ち的無効の抗弁成立が有りえますから。

 だけど,それは私の考え方・・・他の弁護士の考え方も聞きたくて,今回の研修を聞きに行ったのです。

 まあしかし,一応どういうタイミングでって話は最後の最後にほんの少し出たのですが,ちょっと期待ハズレでした。

 というのは,多くの時間をこの判決の評釈に費やしてましたから~。
 私はそんな知っている話なんかどうでもよく,あんたがこの事件の代理人だったらどうする?とそんな話を沢山聞きたかったわけです。

 ですので,私が上に書いたような話,早くやる,ちゅう当たり前のものしか出ませんでした。まあしょうがないですかね。

 本来は,上記のとおり,裁判官が釈明すべきが本筋だと思うのです。でもまあ,能力のない方々に多くを望むというのは,酷な気がします。代理人の方で忖度してやらないといけない,こういうことなのでしょう。ムフフ。

3 続いて後半の方です。
「合議事件判決誕生の実際・・・専門的知見を要する事件 を中心に-訴訟活動をする弁理士が知っていて欲しい判決形成過程の実態-」ですね。

 これは,知財高裁発足時の部総括の元裁判官が当時の思い出話を語る~というものです。
 まあ私のような自営業者ではとても得られない豊富な年金と(いやあ元公務員の年金の額にはびっくりしますよね。)非常勤の顧問などでの悠々自適生活からすると,とても大した話はないだろうと思っていたのですが,良い意味で裏切られました。
 実に興味深い話が沢山でした。

 まああんまり多くを取り上げるスペースはないし,行った人の褒美ということで1点だけにしておきます。
 それは調査官との関係です。

 知財高裁もそうですし,東京地裁と大阪地裁の知財専門部には,調査官という方々がつめております。これは非常勤ではなく常勤の職員ですが,その殆どが特許庁の審判官・審査官が出向してなるものです。

 講師の先生は,書面だけじゃよくわからんから,調査官の所によく聞きに行っていたということです。口頭で面前ですぐに答えてもらえるというのは実に有難かったということでした。いやあ,役に立っていますね~調査官・・・ってバカ!

 私は昔からこの調査官という制度ってインチキ臭いというかインチキそのものだなあと思っています。そしてそう思っているのは私だけじゃないと思いますよ。

 例えば,修習時代,実務修習から後期の和光に戻ったときに,ある同期(今は沖縄ですかね。Iさん~ご無沙汰です。)から,知財修習というのがあったということを聞きました。東京修習ですね(当時すでに特許の事件は東京と大阪でしか扱えなくなってました。)。
 そのとき,知財部の裁判官から調査官という制度があるという話を聞いたんだけど,裁判の独立から問題あると思うんですよ,岩永サンどう思いますか?とも聞かれたわけです(私が元弁理士ってことは同期の修習生には知られてましたので。)。

 いや,だってそんなの中立性に問題があるのは当然で,知財高裁にも同様な制度があるけど,こっちはなお問題ですよ~と話したのを思い出します。

 つまり,こんな風に普通のリーガルマインドを持った人からすると,とても看過できない制度なわけです。

 今回の講師の先生は,調査官は確かに特許庁の人だったけど,中立性を疑わせるような言動は私の知る限り全く無かったと強調しておりましたが,問題はそこではありません。そもそも論です。

 例えば,刑事裁判,今は重大な犯罪について裁判員裁判をやっております。
 このとき,謂わば素人の裁判員たちに対し,刑事と言えばやはり専門は検察官ですよね,なので,現役の検察官を裁判所に出向させて,刑事調査官という制度を作りますので,裁判員の方々,疑問質問はこの調査官に遠慮無くどうぞ~♫って創設したら,どうですか?

 いい制度だと思いますか?
 恐らく,裁判員の皆さんにはすごく好評な制度になると思うのです。でも,被告人や弁護人にはひどく評判の悪い制度になるでしょうね。
 つーかこんな制度創設出来るわけがない!

 ところが,こんなおかしな制度が知財の世界には現在,存在しているのです。

 釈迦に説法とは思いますが,デュープロセスって知っていますかね。実質良ければいい!とは対極にある考え方です。

 特許庁の役人と言えども,裁判所に来たら中立公正,なので問題ないのです~たとえ被告が特許庁長官だとしても・・・そうそう,現行犯人で逮捕してしかも自白もあるんだから,お金も人もかかる裁判なんてやらずその場で処刑してもいいですよね~だって裁判になってもどうせ死刑になるんだし・・・。
 実質良けりゃいいじゃないですか。別に知財でも刑事でも,どうせ所詮は全てでっち上げ~この世の99%はプロレスだと豪語したのはこの私~なのですしね。

 まあでもでっち上げにもうまいでっち上げとまずいでっち上げがあると思いますよ。
 調査官制度をやるなら,利益相反を十分考慮して,そうですね~技術等の専門家として特許庁の出身の人達が必要なら,一旦調査官をやったら,二度と特許庁には戻れない,少なくともそうするのが筋とちゃいまっか~♫

 そうできないなら,今の調査官制度はやめて,技術裁判官を導入すべきでしょ(調査官を技術裁判官に横滑りさせればいいのです。ドイツのように。)。
 事実認定は法的判断の基礎となる非常な重要な部分です。そんな大事な所を裁判官じゃないやつの意見に左右される可能性がある,これだけで今の相撲協会と同じくらい,神戸製鋼チックで日産チックなことだと思いますけどねえ。ムフフ。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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