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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 おっといきなりインチキサイトへ飛ばされた~ではありません。

 これはWIPOの発表ですね(現地だと昨日の日付ですが,日本時間だと今日ですかね。)。

 出願数がメインでしょう。
The top three patent offices in 2013 were China, with 825,136 filings, followed by the US (571,612) and Japan (328,436). The gap between China and the other offices has widened considerably since 2011, when China’s State Intellectual Property Office (SIPO) became the world’s top office in terms of patent filings received.
 ということらしいです。グーグルさんに訳してもらいましょう。

2013年にトップ3の特許庁は、米国571612)、日本328436)が続く825136提出中国だった中国他の事業所との間のギャップは、中国の国家知識産権局SIPO)が受信特許出願の面で世界のトップ事務所となった2011年以来、大幅に拡大している。」

 いやあ,何か大手特許事務所の外内明細書のようですね~。大量に処理するもんだから,チェックの効いていない明細書で・・・~♪
 岩永センセ,いい加減にしないと敵が増えるばかりですよ~てなところですかな。

 兎も角も,中国は凄いですね。

 で,それは色んな裏事情がありますので,それは良いとして,結構凄いのが米国ですよ。米国で57万件の出願数ですからね。

 ここでもちょっと書きましたが,以前インハウスの人と話した時に,特許出願は2,3万円くらいで出願できるといいのになあと漏らしていたことがありました。
 そのときに,日本の事務所にはそう言えても,米国の事務所にはそんな要求しねえんだろ,このヘタレめと思ったのを思い出します。勿論,私も心の中でそう思っただけですからね,ムフフフ。

2 ヘタレ合戦はいいとして,米国の出願数は全く減っておらず,増えているわけです。ここに何かの鍵があるのではないかと思うのは私だけでしょうか。

 日本の特許出願業界,つまりは弁理士業界はもう安売り要求の嵐で,それ故,ダンピングの嵐となっております。まさにデフレ不況の構図です。
 先週弁理士の人と忘年会をやったのですが,そのとき高血圧の話で盛り上がったのと同じくらい盛り上がった話があります(まあ中高年なもので,話題は健康ですよね~。)。

 それはソニーの出願数です。

 知財ラボさんによると,2014年のソニーの特許出願公開数は,1,465件で23位らしいです。
 1位はパナソニックで,6,932件です。勿論,出願から公開まで1年半かかりますので,本当に今年の生データではなく,1年半のタイムラグのある話ですし,出願から公開までに取下げ等になるものもあります。でも,この差です。5倍近くですね。
 つまりパナソニックは未だ年間1万件程度出願しているのに,ソニーは年間2千件くらいしか出願していないということです。

 私が知財部員だったころは,今のパナソニックと同等かそれ以上出願してましたから,このとんでもない減少ぷりっは,まさに飲み会でのカッコウのネタです。

 いやあソニーをメインクライアントに持つ特許事務所の方々,どうもご愁傷さまです。ただ,パナソニックも自社出願がメインですから,外の事務所に依頼している数はソニーと同程度かもしれませんが。

 日本での出願数が何故減っているか,そりゃ考えればいくらでも原因はあると思いますが,むしろ考えるべきはアメリカでの出願数の安定ぶりですよね。

 ここでもよく書いてますが,アメリカって本当出願費用が高いです。USPTOの料金はまあそれほどではないのですが,とにかくアトーニーフィーが馬鹿高いわけです。

 日本のような規制大国と異なり,アメリカは判例法で事後規制の国ですから,士業の種類ってそんなありません。弁護士と会計士くらいです。会計士以外の法律系で,日本だと司法書士だとか弁理士だとか税理士だとか行政書士だとか,もう有象無象にいる士業は,アメリカだと全部弁護士がやるわけです。

 なので,日本だと特許出願をやるのは弁理士ですが,アメリカでは弁護士がやります。つまり,弁護士が明細書を書くのです。
 そうすると,弁護士が明細書を書くのですから,タイムチャージなんかでやられるとそりゃあもう目玉が飛び出るくらいの値段になるわけです。

 ほんだから,アメリカでの特許出願だと数百万円は覚悟しておいた方がよいでしょう。大体何でも日本の10倍くらいと思えば大間違いはしないと思います。

 勿論,日本人にはふっかけてるのかもしれませんが,それでもアメリカの会社も高いフィーを払って自国出願をしているわけです。
 要するに何が言いたいかというと,費用は日本よりバカ高いアメリカの特許出願,何故そんなに人気があるの~?!って所です。

 1つはビジネスの規模でしょうね。
 私は弁理士でもあるので,特許庁の並びの弁理士会館で,無料の特許相談をやったりします。そのときに,弁理士に頼む金がなく自分で書いた明細書やら,その後特許庁からの拒絶理由通知を持ってきた貧乏人(はっきり言いますよ。)をときどき相手にします。

 本人としてはいい発明だと思っているのでしょうが,またまたはっきり言いますけど,弁理士に頼む金もない発明者の発明なんか価値は0です。いいですか~特許制度は産業の発達に寄与するため,つまりはビッグビジネス,今流行の言葉で言えば,イノベーションを目的としているわけです。
 本当に画期的アイデアだったら,出資やら融資やらで出願費用を出してくれるところはたくさんあります。そういう所が金を出さない,そして自分も金がないということは,そりゃあんたやあんたの発明がまったく魅力0だからという,単純な話です。

 アメリカでバカ高いフィーをかけて特許出願するのは,そんなフィーが小学生の小遣い程度の費用にしか過ぎず,後でどデカく儲けられる(又はそう思える)
からですよね。アメリカ人が楽天的なのかアメリカのマーケット又はアメリカで起業したりする場合の想定マーケットがすごく大きいのか,よくわからない所はあるのですが,入りがでかければちょっとの出は気にならないわけです。

 もう1つ,これも結局同じ話なのですが,訴訟での賠償金がまたビッグだからでしょうね。
 特許ってそれを元に事業を起こすのが基本中の基本です。ですが,色んな理由でそうもいかないこともあります。特許を出したものの,商売というのはなかなか水物って所もあります。
 でも,侵害訴訟の賠償金がすごく高ければ,自分の事業が潰れてもいつかは回収できる可能性が出てきます。居残りの事業者に,自社の特許を売ればいいのです。
 その場合,日本のように侵害訴訟の賠償金が低かったりすると高値じゃ売れません。リセールバリューの低い車が中古車市場で買い叩かれるのと同じです。
 この特許一つで,少なくとも10億円以上の賠償金が手に入ると思えば,それなりの金で特許は買われていきます。
 そうすると,やはり
バカ高いフィーも,そんな高くないかなあ~って話になりますよね。

 ま,私は立法論は好きじゃありません。弁護士はあくまで実務家~存在する法律のみであーでもないこーでもないという仕事で,現実にない法律のことをあれやこれや言う仕事ではないからです。
 それでも,上記まで書いてきたことを振り返って思うことは,やっぱ賠償金はどうにかした方がいいんじゃね~ということですね。

 
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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