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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 これは,今年の4月から配信になった,弁理士会のeラーニングのコンテンツです。
 ここで記事にする位ですから,講師は当然私です。

 ほんで,4位というのは,平成28年4月1日~平成28年6月30日集計による【eラーニング研修 視聴ランキング】です(本日,弁理士会からダイレクトメールが来ました。)。

 つまりこの3ヶ月間,私の講義したものが,弁理士会のeラーニングで結構な視聴数となっているということです。

 どうですか~意外と凄いでしょ。

 私より上位の3つを見ると,改正法の説明会が2つ,あとは審査基準の解説ということで,オリジナル講義の中では相当な人気ぶりです。事務所の不人気ぶりとは全く逆で,それも面白い所です。

 ま,一般の人は見れませんが,弁理士の方,特に特許権侵害訴訟に興味のある方には1時間少しという短いものですので,気楽に見れると思います。

 順位が上だとしても,別に多めにお金がもらえるということもないのですが,取り敢えずはよろしくお願いします。

2 東京は昨日の午後くらいからはっきりしないというか,非常に不安定な天気になっております。

 昨日の夜の帰宅時は大変でした。いやああんなに雨が降ったのはいつくらいだろうという降りでした。いつもはあんな降りに当たらない悪運ぶりなのですが,昨日は失敗しましたね。
 今日の朝は大丈夫でしたが。

 今週も,サーフィンの予定ですが,さあどうなりますかね。

3 追伸
 先程まで行われていた湘南オープンのWSLのイベントで,新井洋人選手が大野選手を破り優勝しました。おめでとうございます。

 梅雨時の湘南って本当波がないのですが,この前の日曜の模様を書いたとおり,何故か今週はコンスタントに波があり,一日レイディがあったのを除き,スムーズに大会が運営できたのではないかと思います。

 湘南の小波ですから,慣れた日本人には良かったのでしょうね。ファイナルも,新井選手のバックサイドがうまく波のタイミングと合って,素晴らしいものでした。

 おっと東京もまた雨が降ってきたようです。
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1 首記は,本日の日経紙朝刊の法務面の巻頭記事です。

 EUからの英国離脱で,法制度にどんな影響があるか,というものです。知財だけでなく,税務とか他の法務案件の記事もあったのですが,知財の影響がデカイということで,トップに来ております。

 記事はもうこのとおりでしょう。
 あと,私の同期の弁理士の記事が載っていたりして~知らなかった?彼は私と同期で,同じ予備校出身なのです。

 ただ,一点わかりにくいのは,図です。
 従来,EP通さない単独直接とEP出願があり,それに代わって,欧州統一特許制度ができるようなイメージの図ですが,これは違いますよね。

 従来の,EP通さない単独直接と,EP出願に加えて,欧州統一特許制度(UP)が加わる,つまり3つのやり方の中から選べるというのが肝です。

 なので,EUから英国が抜けても,「今」の制度とは変わらないので,大した影響はないってことですね。また,UPの始動が多少遅れた所で,日本の出願人にそりゃ絶対困るってことはありませんから。

 他方,困るのが,この記事にも出ていた商標です。
 OHIM(Office for Harmonization in the Internal Market ,欧州共同体商標意匠庁と訳すのがデフォーかな。)によって,付与された欧州共同体商標は,すべてのEU加盟国で有効(valid)という建て付けです。

 すると,英国が抜けたら,その条件には合いませんので,英国でまた取り直す必要が出てくるはずです。それは結構面倒臭いかもしれません。
 とは言え,OHIMで商標を持っているというのはそれなりの大企業ですから,私のような弱小弁があれやこれや言う必要は全く無しって所でしょう。

 ちなみに,UPの詳細については,私の過去記事が多少参考になるかもしれませんので,載せておきます。

2 東京は金曜くらいから暑くなってきました。特に昨日の日曜は,初めて35度を超えたのではないでしょうか。
 
 で,予定とおりサーフィンに行ってきたのですが,所謂オンショアチョッピーでした。もうジャンクと言っても過言ではないくらい。

 そうすると,通常ヘタレるのですが,今回何故か欲が出て,多少ラインナップまでパドルして,うねりから2本,綺麗に乗れました。久々,まだまだ結構いけるじゃん,俺ってと思いましたよ,実に。

 おかげ様で,元々色黒なのが,更に色黒となっております。さて,来週はどうでしょうかな。

 

1 首記は,一昨日,特許庁が公表した調査報告書です(知財研が特許庁から請け負ってます。)。

 結構固い題の報告書で,あまり騒がれてもいないようですが,これ,結構重要です。
 つーか,お,それそれ,そーいうことが知りたかったのよん,っていうことに,定量的に応えてくれる,実に貴重な報告書です。

2 最近,前にも増して,特許戦略とか知財戦略とかの話(噂かな)をよく聞きませんか。

 イノベーションには特許が重要だとか,スタートアップ企業には知財が必須だとか,こういう特許の取り方だとか,ああいう戦略的な出願のやり方だとか,こうすりゃいい,ああすりゃいい・・・もうどうすりゃいい?って感じですよね。

 私に言わせりゃ,弁護士や弁理士の資格に名を借りた口からデマ化師がたくさんたくさん増えましたねえって感じです。

 何故か?
 じゃああんたの言うとおり,特許をとればどんくらい儲かんのよ?あんたに払うお金よりリターンの方が多いよね~きっとね,っちゅう根本的な質問に答えてる人がだーれもいないからです。

 特許は個別具体的,しかも出願から権利取得までに数年かかる,変化する国際事情・・・,そうそう短絡的にいくら儲かるなんて出せないのさ~トランキーロ,あせんなよ~ロス・ インゴベルナブレ~~~ス!! ・デ・ハポン!って所ですかね(いきなり内藤風)。

3 でもそれって卑怯じゃないですかね。儲かるかどうかわからないのに,勧めるなんてね。

 それに,私もこの業界に居ますから,なんかのときのために確信は持ちたいですよ。どのくらい,またどのように意味があるのか,特許ってところに。

 勿論,「反・知的独占」の著者のような考えもありましょう。でもそういう大きな視点じゃなく,そもそも俺が,うちの会社が,私が・・・,特許を取ったら,どういう良いことがあるかって言えた方がいいですよね~。私同様,そういうことを知りたいと思っていた,意識高い系?の人には,実に良いです。

 あ,引っ張りすぎですかね。まあ,いつも前置きが長いのが,このブログの特徴ですし,ひとしきり当てこすりをしないと気持ちが悪いんですよね。

 じゃ行きましょう。全体は245pあります。私と同様に興味があっても,長くて読めない人もいるかと思います。 
 そういう人は,この報告書3p~の要約で大体わかると思います。

 で,ポイントは以下のとおりです。

4 まず,「1 企業パフォーマンスと知的財産権の貢献に関する調査 」の所です。
 これは,「経済産業省『企業活動基本調査(以下、企活と略す)』(1995年度調査から2014年度調査)に、知的財産研究所『IIPパテントデータベース(以下、IIPPDと略す)』の特許データを接続したデータ」に基づくものです(6との違いが重要です。)。
 しかし, この企活では従業員数50人未満の企業がカバーされていないので,補論でそこを示しております。

 統計的な処理をして,その結果について,以下のような記載があります。
・設立からの特許保有が早いほど、成長率が非保有企業と比べて顕著に高いことが確認できる
・特許保有件数は有意に生産性(付加価値)を高める
・減免対象期間が長いほど、また、近くに頼れる弁理士がいるときほど、特許保有件数が多くなる
・従業員数の少ないスタートアップ企業において減免対象期間の効果が強くなる
・新たに特許を保有した企業の付加価値はそうでない企業よりも大きい
・スタートアップの特許保有確率は、減免の対象となることで6.3%が高まり、弁理士との距離が10km縮まることで1%高まる。また特許を保有することで5年後の付加価値は約2.34%高まる。(なお,「東京都では社内弁理士を除く最寄りの弁理士までの距離の平均値はわずか0.31kmであるのに対し、高知県では101.47kmである」だそうです。四国は,どの県も弁理士アクセスが非常に悪いです。)
・早期の特許取得が売上高を高める可能性が示されている。

 要するに,特許の保有数は企業の生産性を高め,新たに特許を取ることもそうでない企業より企業の付加価値を高め,早期に特許を取った方がいい。あと,中小企業には,特許の審査請求料・特許料の減免制度や弁理士が近くに居ることは凄く意味がある,って所でしょうか。

 また,補論で,「企活において50人未満の企業がカバーされていないという点を補完すべく、」中小企業のデータで同様の分析をやっているのですが,以下の記載があります。
・製造業について見てみると、サンプルが非常に限られるものの、売上高、利益、従業員いずれについても、特許保有を開始した企業の方がそうでない企業よりも成長率が高い。
・新たに特許を保有した企業の売上高はそうでない企業よりも大きいことが分かる。特に、特許保有開始から1年後の効果が最も大きいことが分かる。

 要するに,大きな傾向は上と変わらないが,さらに,中小企業だと,即時的な効果が大きいということですね。
 つまりスタートアップ企業もなるべく早く特許を取った方がいいってことですわ。
 まあこれは一般的な常識とそう変わらない所でしょう。
 
5 つぎに,「2.  企業パフォーマンスとライセンスとの関係性に関する調査 」です。
 これは特許を取った後の活用,つまりライセンスしたり(ライセンスアウト),ライセンスされたり(ライセンスイン)が実際どんな意味があるの?っていう分析です。

 これは結構ラジカルでしたね。以下のよう記載がポイントです。
・出願人のライセンス・アウト活動は、出願人の(1)営業利益、(2)マーケットシェア、(3)売上高、(4)給与のいずれにも有意な影響を及ぼしていないことが分かる。
・取引金額ベースで見た場合、ライセンス・アウトによって収入(売上高や売上高ベースのマーケットシェア)は増加しているが、ライセンスにともなうライセンシー(ライセンスにより技術供与を受けた出願人)の参入がもたらす競争圧力の増大によって利益(収入ではない)が失われた結果だと考えられる。
・出願人の前期ライセンス・イン活動は、出願人の研究開発集約度を含めてどの企業パフォーマンスにも有意な影響を及ぼしていないことが分かる。
・ライセンス・インによって、自社の研究開発費の節約効果があると同時に、補完的な技術を導入したことによる自社の研究開発の促進効果が相互に打ち消し合った結果だと考えられる。

 これは凄い結果です。
 ライセンサーはライセンスしない方が良いわけです。
 ライセンスすると,ライセンス料は入ってくるけど,その分他社の参入により,競争圧力がかかり,利益等が少なくなるってわけです。つまりは,特許は差し止めメインで使うべしってことですわ。
 他方,ライセンシーにとっても,ライセンスを受けても,メリットもデメリットも無い,ってことです。別な技術領域で別なことをやった方がいいってことですかね~。実に興味深い結果ですね。

6 「6.  知的財産活動調査データを用いた調査  オープン・クローズ戦略と特許化・特許利用行動との関係 」です。3,4,5は飛ばします。まああまりにマニアックすぎるし,今回のメインの議題,特許を取るのって意味あんの?ってことへの回答の話じゃないからです。

 さてここは,1と同様の議題なのですが,元データが違います。最初の1の元データが,経済産業省『企業活動基本調査』であったのに対し,この6は,特許庁の『知的財産活動調査』が元データです。
 こうすると何が良いかというと,「通常アクセスすることが難しい、知的財産活動に関する詳細なデータを利用できることである。」らしいです。経産省のデータと違って公表してないのかしらん?

 で,この分析では,主として中小企業に関する分析を行っております。ポイントは以下の記載でしょうか。
・推計結果を見ると、依然として保有件数は統計的に有意にプラスであり、この結果は頑健性が高いと言えよう。
・特許化した発明を実施することが企業のパフォーマンスを強く高めることを示唆していると言える。
・少なくとも短期的には、特許出願可能な発明の営業秘密化は企業のパフォーマンスに良い影響を与えていないことを示している。これは特許化しないことで、競合他社が容易にリバースエンジニアリング等で模倣できている可能性を示している。逆に言うと、中小企業では、特許化が重要であると言える。
・ 大企業に焦点をあてた企業の特許保有・出願と企業価値の関係では、単純な特許出願件数は、多重共線性によるものである可能性を含め、統計的には有意にマイナスであるとの結果を得た。他方で、自社実施件数は企業価値にプラスの影響を与えていることも明らかとなった。

 これもなかなか面白い結論です。
 大企業において,単純に特許の数を増やしても意味がないってことです(1の結果と若干違うように見えます。)。そして,大企業でも中小企業でも,自社実施の特許を増やすといいよ~とは言えます。
 あと,中小企業には,営業秘密化じゃなく,特許しないと駄目だってことですね。これは私が自分の本「知財実務のセオリー」で書いたとおりです。リバースエンジニアリングでわかるものを営業秘密にしても何の意味もない!,これは定性的には理解できると思うのですが,定量的(つまり儲けの観点から)にも裏付けられたということになります。

7 まとめ
 私なりのまとめをしておきます。
 特許取得は,意味がないことはなく,特に自社実施の発明を特許化するのは大変意味があり,そういう特許なら創業間もなくてもなる早で出願→登録した方が良く,そうかと言って調子に乗ってライセンスなんかせず,差し止めろってことですかね。
 あ,あと営業秘密化はイマイチ~っちゅうことで。

 知財研に関しては,まあ色々言いたいことはあるのですが,今日はやめておきます。こういう研究というか調査だったら,実に意味があると思いますからね。

 あと,ここに書かれたことは引用はしていますが,私の考えなので,そうじゃないだろうというのは私に責任のあることですので。つまりは,ちゃんと原書を見ろよ,面倒臭がってんじゃねえぞ,ってことです。当たり前のことですけどね。

 しかし,実に面白い内容だったなあ~。あ,そういえば,私の本と同様,知的財産と言いながら,ほぼ特許の役割だけでしたね。

 

1 今日も雨の東京です。
 今月は雨が多いなあ。しかも今日は気温もひんやり~,全く冴えない,感じです。

 で,そんな雨の中,先程まで表記の研修に行っておりました。研修の講師は,特許庁審判部審判課審判企画室課長補佐の星野昌幸さんです。今年の2月の終わりに,異議申立ての研修がありましたが,そのときと同じ人ですね。

 この方非常に話がうまく,この手の手続き的話は,大体開始10分程度で,艪をこぐのが普通なのですが,今回はそんなこともなく付いて行くことができました。

 ま,ポイントは開始直後に話された,異議申立てのカウンターにもかかわらず,訂正請求に関する施行規則の部分がややこしいという所でしょうかね。
 確かに,現行の特許法施行規則45条の4は以下のとおりで,4つも類型があってややこしいです。

(一群の請求項)
第四十五条の四  特許法第百二十条の五第四項 の経済産業省令で定める関係は、次の各号に掲げるものとする。
一  一の請求項の記載を引用する他の請求項の記載を、さらにこれらの請求項以外の請求項が引用する、又は引用することを繰り返す関係
二  一の請求項の記載を複数の請求項が引用する関係
三  複数の請求項(訂正審判又は特許法第百二十条の五第二項 若しくは同法第百三十四条の二第一項 の訂正の請求がされるものに限る。)の記載をその他の請求項が引用する関係
四  一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係又は前三号の関係のうちいずれか一又は複数の関係が、当該関係に含まれる請求項を介して他の一又は複数の関係と一体として特許請求の範囲の全部又は一部を形成するように連関している関係

 ま,これを上の4号のみに統一し,その結果,請求項毎に請求するときにシンプルで済むように変えるらしいですね。

 確かにこの一群の請求項自体,むむ?!っていうような考え方ですので(その趣旨は,変更のあるところを一覧的に把握したいという所にあるようですが。),そもそもややこしいわけです。
 ま,一旦ある程度わかれば大丈夫だとは思いますが,これも実際手続きをしないと活きてはこないでしょうね。

 研修についてはこんな所です。

 まあしかし,私,弁護士会の研修には殆ど行きませんが,弁理士会の研修にはしょっちゅう行ってますね~。やはり興味の持ちようが違う~♡のでしょうね~♫

2 ところで,明日は,50歳の修学旅行ということで,大阪に向かいます。大阪に行くのも久々やなあ,どないなってんでしょか~♡
 
 この前の修学旅行が,1982年ですので,33年ぶりということになりますね。あ,いつのころの友人が来るかというと,高校のときですね。

 東京と大分のちょうど真ん中くらいで,しかも修学旅行って感じがするということで,大阪になったのかなあ,よくわかりません。
 時期的なこと,場所的なこともあり,この前の同窓会ほどは集まらないようですが,兎も角も楽しみにしております。

 飲み会は,「個室和食みずき なんば店」という所で,明日の6:30-ですので,間に合う高校の同級生は是非に~ということでした。
 大阪の天気は東京よりはマシなようですので,良い修学旅行&同窓会になるのではないかと思います。
1 東京は今日も雨ですね~。昔,エンジニア時代に長崎の諫早市にあるソニー長崎によく行ってた頃は,本当長崎って雨が多いなあと思ったのですが(恐らく時期的なもの。),東京もここ最近雨が多いです。
 北関東の方は大丈夫ですかねえ。

 さて,ちょっと前の予測とおり,職務発明の指針の素案が発表されております。こちらから見れます。

 ざっと見て,特にまずい点があるというわけではありません。なかなか妥当な所じゃないでしょうかね。ただ,気になる点が何点かありましたので,その辺と実際の条項がどうなっているか見てみましょう。

2 気になった点その1 労働法関係
 相当の利益の定めって,就業規則にも定めることができます。で,就業規則というと,当然労働法との兼ね合いが問題になってきます。
 つまり,労働法的には適法とみなされるようなプロセスを経た相当の利益の定めって特許法的はどうよ?って所ですね。

 これについては,総論の以下の部分に載っています。

一 総論
2 基準の策定、形式及び内容
(四) 法第三十五条に規定されている契約、勤務規則その他の定めの中には、労働協約や就業規則も含まれ、基準を労働協約や就業規則で定めることもできる。この場合、労働協約や就業規則が有効に成立していれば、これらの基準に定められた内容について労働法上の効力が発生するが、そのことをもって直ちに同条第五項の不合理性の判断においても不合理性が否定されるわけではない。当該不合理性の判断は、基準の労働法上の有効性とは別に、同条第五項に基づいて判断される。
(五) 例えば、労働協約において基準を定め、その基準により決定された内容の相当の利益を与える場合は、法第三十五条第五項の不合理性の判断は、「基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況」、「策定された当該基準の開示の状況」、「相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等」を考慮して行われる。したがって、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第十四条に規定する労働協約の効力発生要件(書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印すること)が満たされていることをもって直ちに同項の不合理性が否定されるものではない。もっとも、労働協約は、労使により対等な立場で締結されることを前提としていることから、労働協約の締結に至るまでの過程においては、使用者等と従業者等との立場の相違に起因する格差が相当程度是正された状況において、使用者等と労働組合の代表者との間で実際の話合いが行われることが多いと考えられる。このような場合には、労働組合の代表者に話合いをすることを委ねている従業者等と使用者等との関係においては、協議の状況としては同項の不合理性を否定する方向に働く。
(六) また、例えば、就業規則において基準を定め、その基準により決定された内容の相当の利益を与える場合においても、法第三十五条第五項の不合理性の判断は、「基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況」、「策定された当該基準の開示の状況」、「相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等」を考慮して行われる。したがって、基準を含む就業規則が、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九十条(使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。)にしたがって作成されていることをもって直ちに法第三十五条第五項の不合理性が否定されるものではない

 不合理性が否定されるものではない~と締められていますので,労働法的にOKでも特許法的にはまだまだとされるのでしょう。これはある意味当然で,労働法は,基本最低限を定めたものですので(労働基準法~なんか名は体を表すですもんね。),特許法的には不十分なことが大アリになりそうです。

3 気になったことその2 利益の算定
 裁判例でも今のところ実績報償が中心ですが,私の著作「知財実務のセオリー」でも少し書いたように,おおよそこの位だろうということを予め決めるということは有効です。
 このように,実績ベースではなく期待値ベースにすると,実はすごく或る点に違いが出るのです。非常に重要な点なのですが,本に書いてありますので,このブログでは勿体つけて書きません。本を読んで下さい(p201-202)。

 今度の指針でもそのことはやはり有効であることが確認的に載っていました。これも「一 総論」の所です。

3 相当の利益の内容の決定方法
(一) 相当の利益の内容が売上高等の実績に応じた方式で決定されなければ、法第三十五条第五項の総合的な判断の結果として、不合理と認められるというわけではない。例えば、特許出願時や特許登録時に発明を実施することによる期待利益を評価してその評価に応じた相当の利益を与えるという方式であっても、同項の総合的な判断において、直ちに不合理性を肯定する方向に働くことはない。この場合、従業者等に付与する当該期待利益と実際に使用者等が得た利益が結果的に乖離したとしても、同項の不合理性の判断において、乖離したという一事をもって直ちに不合理性を肯定する方向に働くことはない。

4 気になった所その3 労働法関係2
 上記の労働法関係と同じ問題意識です。実際の協議の際のことですね。
 以下のところに載っております。

ニ 協議について
2 協議の方法
(五) 従業者等が代表者を通じて話合いを行うことも、使用者等が代理人を通じて話合いを行うことも協議と評価できる。例えば、労働組合の代表者が基準の策定に関し使用者等と話合いを行うことについて労働組合に加入している従業者等を正当に代表している場合には、その代表者と使用者等との話合いは、労働組合に加入している従業者等と使用者等の間の協議と評価される。当該代表者がある従業者等を正当に代表していない場合には、使用者等と当該従業者等との関係においては、協議は行われていないこととなる。この場合、協議があったものと評価されるためには、通常は、代表者によって代表されていない従業者等の求めに応じて個別に話合いが行われることが必要と考えられる。・・・
(八)使用者等と従業者等との協議は、使用者等又はその代理人と、従業者等又は従業者等から委任を受けた代表者との間で行われることが原則であるが、従業者等から委任を受けた代表者との協議について、仮に一部の従業者等の個別の委任がなかった場合であっても、使用者等と当該代表者との間で十分な利益調整がなされ、当事者間の交渉格差が払拭されたときは、当該一部の従業者等との協議の状況について法第三十五条第五項の不合理性が肯定される方向に働くものとは必ずしも言えないと考えられる。例えば、使用者等において多数の従業者等が加入する労働組合が存在し、当該労働組合が従業者等の利益を代表して誠実かつ公正な交渉を行ったような場合には、非組合員である従業者等との協議の状況について同項の不合理性が否定される方向に働くことがあり得る。

5 気になった所その4 アリバイ作り対策
 こういう風に指針がいくら決められても,形だけの協議~形だけの意見聴取なんてやられたらたまったもんじゃありません。でも,会社も商売でやっているので,その危険はつきまといます。ある意味合理的なインセンティブです。

 そのことが以下のところに載っています。要するに,まじめに対応(回答など)しないと形式的,なおざり対応としちゃいますよ~ってことですね。

3 協議の程度
(三) 使用者等が予め設定した時間の経過により協議を打ち切った場合であっても、設定された時間内に、使用者等と従業者等との間で実質的に協議が尽くされたと評価できる場合には、その協議の状況としては法第三十五条第五項の不合理性を否定する方向に働くものと考えられる。また、設定された時間内に十分な話合いができなかった場合であっても、その後に書面や電子メール等で従業者等が意見を述べることができ、使用者等がこれに回答する、という仕組みが設けられている場合は、協議が尽くされたと評価できる場合もあるものと考えられる。
(四) 協議において、使用者等が自己の主張を繰り返すだけで、その主張の根拠(資料や情報等)を示さないなど、十分な話合いを行わずに協議を打ち切った場合には、その協議の状況としては法第三十五条第五項の不合理性を肯定する方向に働くものと考えられる。

四 意見の聴取について
2 意見の聴取の方法
(六) 共同発明者間で意見が食い違うような場合には、共同発明者間で意見をまとめて一つの意見にしない限り、正式な意見として聴取することはしないとされている場合には、個別の発明者はそれぞれの意見を自由に表明することが拒絶されているに等しいか、又は実質的に困難な状況に置かれていたと認められる。このような場合、当該共同発明者からの意見の聴取はなされていないと評価されるか、又は形式的に行われたとしても意見の聴取の状況としては法第三十五条第五項の不合理性を肯定する方向に働くものと考えられる。

6 まとめ
 今のところはこんな所です。ま,素案ですので,あまり深入りしても,二度手間や無駄になる可能性もありますので,こんな所でしょうかね。
1 職務発明のことも気になりますが,まあやはり特許業界的に気になるのは,審査基準の改訂でしょうね。
 私は出願をやっていないのですが,それでも気になります。何て言っても侵害訴訟でも審決取消訴訟でも,特許性(無効の抗弁など)の議論は避けて通れず,そのときに,結局参照するのが審査基準だからですね。

 ほんで,ここまで大掛かりな審査基準の改訂は久々じゃないでしょうかね。基本良いことだと思いますよ。審査基準は所詮マニュアルなんですから,分かりやすいよう使いやすいようにしてもらわないと困ります。

 つーことで,この改訂について,意見募集もあったので,そこで意見を送ったということもこのブログで書きました。

 ほんで,本日めでたく審査基準の改訂がフィックスされたようですね。中身の方はこれをみてください。

 ところで,じゃあ私が意見募集を送った意見についてどのような回答が得られたか,それも開示しておきましょう。

 まず,送った意見がこちらです。
「進歩性の審査基準には,長らく(今回の改訂案も),「論理付け」というわかったようなわからないような言葉が使われている。
 他方,この進歩性の審査基準には,「動機付け」というまたわかったようなわからない言葉も使われている。ただし,この「動機付け」の方は,広辞苑に載っており,そこでは「人間や動物を行動に駆り立てること。」とあるので,発明に駆り立てること,という意味だろうと一応の推測はできる。
 ところが,「論理付け」という言葉は広辞苑に載っていない。審査基準にも定義はない。
 今まで何の問題もなく使われていたから、というのは、今まで日本的横並び意識や,今更「論理付け」の意味がわからないというのは恥ずかしい,というイノベーションとは程遠い意識に基づくものと思料する。
 その証拠に,この意見を見て頂く特許庁の職員の方で,「論理付け」と「動機付け」を,野球とソフトボールの区別のように,特許と実案の区別のように,証明と疎明の区別のように,きちんと区別でき説明できる人が何人いることだろうか。いやいないと思う。
 PBPクレームの件でも明確性が問題になった。にも関わらず,審査基準が,広辞苑に載っていない,各人によって概念が異なり,しかも似た言葉(動機付け)が存在する,というような不明確な言葉を定義なしで使用するのは,極めて不適当と考える。
 以上のとおりであるから,「論理付け」について,知ったかぶりやわかったふりをすることなく,動機付けと区別して,きちんと説明していただきたい。そして,きちんと説明できない場合は,他の,広辞苑に載っているような,誰しも認識が共通できるような明確な言葉に置き換えて頂きたい。」

 そして,それに対する回答がこちらです。
「改訂審査基準においては、「論理付け」が「先行技術に基づいて、当業者が請求項に係る発明を容易に想到できたことの論理の構築」のことである旨を記載しています。
 また、「動機付け」については、「主引用発明に副引用発明を適用する動機付け」と記載することで、何を行う際の動機付けであるのかを明確化するとともに、これが「論理付けのための一要素」であることを記載しています。
 したがって、これらの言葉の概念及び相互の位置付けは明らかであると考えます。」

 まあ,要するに,今回の審査基準改訂にはちゃんと書いてんだよ,よく読めや,このボケ弁護士めが~っつうことですかね。まあでも,誠実な回答を頂き,ありがとうございました。

 ほんで,別に特許庁を糾弾するのが目的ではありませんので,言葉の意味がはっきりしたことは実に良いことです。

 「論理付け」=論理の構築のこと。まあソフト屋さんに言わせるとロジックってやつですね。
 「動機付け」=論理付けの下位概念。ただし,動機付け自体の定義は,審査基準に置いてはいないようです。これは辞書的な意味だということなのでしょう。

 改訂の全文もちょっとチェックする必要がありそうですが,大部なので,このブログで紹介できても,それはちょっと先になりそうですね~。

 ちなみに,適用は,10/1以降の出願ですので,お気をつけください。
1 この内容は,本日の日経紙の5面のですね。
 色々あってすっかり忘れておりましたが,新特許法35条6項の「指針」の案が漸く出るよ~って話です。

 特許庁のHPを見るとアラアラの素案も出ておらず,これは完全に日経紙がいわゆる関係者からリークを受けたものなのでしょうね。
 ちなみに,特許庁のHPによると,明日の午後,小委員会が開かれますので,この素案がオープンになるのは,明日の午後以降だと思われます。
 ただ,傍聴はまだ申し込めますので,早く知りたいという人は傍聴に行かれてもよいのではないかと思います。私は~行かないです♡。

 で,今回の職務発明の改正について,ちょっとした資料を作ったので,それを開示しておきます。
 よ!太っ腹!っていうわけではありません。大した話じゃないですからね。

 ま,こういう改正があると,有象無象がしょうもないセミナーやるでしょ。それを予め潰しておくという実に私らしいやり方です。
 大した話じゃないのに,大した話にしておかないと,アホな聴衆が寄って来ませんからね~♫

 結論としては,こんな感じです。
 結局,今回の職務発明の改正については,   
・知財を日頃からよく管理している会社は,何もしなくてもよい。
・他方,知財に関し日頃から何もしていない会社も,何もしなくてもよい。 
・今回の改正で慌てる必要があるのは,この両極端の間の中途半端な会社。
  
つーことでした。
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