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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 昨日,帰宅後日経の夕刊を見ていたところ,社会面に,うっ!これは何だ?という記事が結構大きく載っておりました。

 ということで,この件について,いつもと同様の「的確な批判」をしようと思ったのですが,非常に的を射たコメントがありますので,私の方はやめておきます。二番煎じじゃ悔しいじゃありませんか~。

 ただ,何故のこの元NECの部長がこういうことをやったかというと,それは儲かるからですね。
 弁理士になるにはそれ相応の時間も金も必要ですし,なった後も弁理士会費の名目の上納金を払わないといけません。
 全く,ヤクザより質が悪い(弁護士会も同様です。こっちは,日弁連の会費もあり,二重に上納金を支払っております。私のような末端のチンピラから掠め取った上納金で何をしているのでしょうかね?)。
 とすると,仮に無資格者が商標出願の代理ができるとしたら,価格競争力で,有資格者がこれに勝てるわけはありませんね。資格や許認可というのは,非常にでかい参入障壁であることがわかります。

 また,今回の被疑者は,発明学会の役員でもあるということですので,往年の弁理士会(弁理士)VS発明学会(特許管理士)の仁義なき戦いを彷彿とさせますね。
 ちなみにこの戦いは,「特許管理士」商標が公序良俗違反で無効とされ(平成10年(行ケ)289号,東京高裁平成11年11月30日判決),さらに商標権者の上告受理申立てが却下され,上告も棄却されたことから,弁理士会側の勝利に終わりました。このような話をすると感慨深い弁理士の先生も多いのではないでしょうか。

 しかし,弁理士会も外の非弁には厳しいのですが,身内の非弁(事務所内の名前貸し)にはとことん甘いので,私のような「普通の常識ある」者からすると,何しよんかようわからんちゅうやっちゃ,ということになります。
 予告とおり,近々この話はまとめてやりたいと思います。

2 脱線ついでにもう一脱線。この「部長」の肩書き,それだけだと非常に偉そうですが,本当にそうなんですかね。
 大手の企業の実情を知っている人には大したことがないということがすぐにわかるのですが,そうでないと,偉い人と勘違いするおそれがあります。

 法曹の間で「部長」というと,裁判所では部統括判事のことであり,検察庁では刑事部や公判部などのまさに部長のことを言います。
 つまり,裁判所でも検察庁でも,その「部」で一番偉い人のことをそう言うわけです。このイメージで大企業の「部長」を捉えると若干誤りが生じます。

 私がかつていたソニーでも「部長」は腐るほどいました。
 他方,その「部」で一番偉い人は,統括部長という人で,これが普通の意味での「部長」ということになります。じゃあそれ以外の腐るほどいる部長は,何かというと,要するに名前だけのポンコツ部長なわけですね。例えば,ナンタラ担当部長,コンタラ担当部長・・・,というのが,それです。
 結局,大企業もキャリア制ですから,全員が全員,統括課長→統括部長というコースを歩むことはできません。かと言って,その他大勢をそのまま平や係長の肩書きにしたままだと,腐りかけている者が本当に腐ってしまいます。
 とすると,部下のいない名前だけのポンコツ部長やポンコツ課長が大氾濫してしまうということになるわけですね。

 そして,知財部の場合,そのような人は定年前に取引先の特許事務所に「天下り」するのが通例だったと思います。
 特許事務所としては,ポンコツ部長が来ても戦力にはならないのですが,コンスタントに出願の仕事が入れば,そんなポンコツ部長の給料分などすぐに賄えますので,いわゆるwin-winの関係(ズブズブと言った方がよいですかな。)を保てて,おいしいわけです。

 ただ,昨今の出願数激減に伴い,そのようなズブズブの関係も各社各事務所とも解消してきているようです。そうすると,ポンコツ部長は行き場を失ってしまうことになります。もしかすると,このような事件は今後も続くかもしれませんね。

3 私がソニーを辞めたのはちょうど10年前でした。
 そのままソニーにいたらどうなっていたか?修習中の同期の方にも,弁護士の方にも裁判官の方にも検察官の方にも,いろんな人からこういう趣旨で聞かれました。
 今,こうやってこのように書くと,しみじみと確信を持って答えられます。せいぜいポンコツ部長が関の山だった,もしかするとポンコツ部長にすらなれなかっただろう,と。

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