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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 新しい適当な判決も,その他の話題もありませんので,どうでもよい系の話でお茶を濁します。

 2年毎に改選の行われる日本弁理士会の会長の選挙が近づいてきました。日弁連の会長選挙だと,結構一般的な話題にも上るのです(特に今年の年初に行われた選挙は,2回も投票があったりして,盛り上がりましたね。)。
 しかし,弁理士会の会長選挙だと全く一般的には話題にはなりません。
 コップの中の嵐に過ぎないのですが(今の日本はこんなのばかりですね。),関係者は必死です。私も弁理士のはしくれ,会費を払っておりますので,会費分くらいは楽しませてもらおうと思います。

2 さて,今回の立候補者は4人いるようです。まあどういう人が立候補しているかは,相応のHPに載っていますから,検索してもらうとして,今回特筆すべきは,結構な盛り上がりということです。

 といっても,再登録してからまだ3回目の選挙に過ぎませんので,比較対象が少ないのですが。

 今回は,ダイレクトメール,分厚いプロフィールカタログ,著作,電話攻勢,FAX攻勢,まあいろいろ来ます。前回はデキレースだったのか,こんなに多量だった記憶はありません。
 弁理士会は,弁護士会以上に,派閥化が進んでおりますので,通常は,主流派からの立候補で,すんなり行くようです。たまに,副会長あたりにイレギュラーが起きるようですけどね。ところが,今回は,本命ドンズバというのがないのでしょう。ですので,どこの陣営も必死というわけです。

3 ちなみに私は,弁護士の資格がありますので,どこの陣営が勝とうが,弁理士会がどうなろうが,「法的」には全く影響なしです。
 というのは,「法的」に弁理士にしかできず,弁護士ではできないものなどないからです。そのため,いざとなったら,弁理士の登録を抹消すれば,よいだけです。
 ただ,私は出自が弁理士ですし,友人・知り合いに多くの弁理士の方がいます。ですので,弁理士会は,まさに故郷のようなものです。

 その故郷が荒れると悲しいなあというところですね。

4 荒れた理由は色々あります。まあいつかまとめて書きたいと思いますので,そのさわりだけ。

 私が弁理士試験に合格した1999年は合格者が初めて200人を越えました。そのときはバブル合格だ,なんて言われていたようですが,それから10年経った2009年の合格者は800人を越えております。10年前の4倍ですよ!
 昨今,給費制だなんだかんだで喧しい弁護士業界も,弁護士の増加が問題となっておりますが,弁理士の業界はそれ以上の,異常な膨張ぶりです。

 これはもちろん,一連の規制緩和-司法制度改革の一環ではあるのですが,だからと言って具体的に何かなければ(例えば,ロースクール制度や,新司法試験の導入に相当するもの),こうは増えませんよね。
 それが,2001年からの試験改革です。従前たった4%の合格率だったのを,増大させるため,択一の合格点数の引き下げ,3科目あった論文選択科目の原則廃止(理系でデフォーの修士の資格があれば,1科目だけの選択科目は免除),論文必須科目数の削減,などを行い,簡単な試験としました。

 その代わり,増えた弁理士の仕事の需要を賄うべく,付記弁理士制度というものを導入したのです(これまた馬鹿げた制度です。)。
 一定の研修などに加えて,試験に合格すると,侵害訴訟の訴訟代理人になれるという制度です。ただし,弁護士と共同代理人でないといけないのですけどね。ただ,仕事が広がったことは広がったわけです。

 その付記弁理士の制度が導入されたころは,大人気でした(私も若干迷ったりしたのですが,自分で司法試験通った方が早いや,ということで,今のコースとなったわけです。)。
 その他,訴訟関係は弁理士にとって,プロミストランド,エルドラド,天竺・・・のように見えていたことでしょう。時は,小泉政権で知財立国が声高に叫ばれていたころですからね。

 しかし,今や,私のような知財専門の弁護士であっても侵害訴訟は数少ないものとなってしまいました。これも色々理由はあるでしょうが,現実は厳しいものです。そうすると,折角手に入れた付記弁理士って??てな話になりますね。

 結局,そのころの弁理士会の幹部連中には,見る目がなかったのですね。私以上に。
 つまり,弁理士を増やしたい特許庁等の政府サイドからのバーター取引である付記弁理士の制度の値打ちを見誤ったのです。

 そのバーター取引での引き替えとなった弁理士数の増大は,出願数も減少に転じた以上,もはやのっぴきならない状態です。さらには,知財立国盛んだったころ,多量の出願数に対応すべく,期限付公務員としてこれまた多量に採用した審査官の連中の期限が切れ,弁理士として天下ってきます。聞くも哀れ,見るも無惨とは,このことですね。

 ああ,あのとき,だまされずに,又は徹底的に反対し,弁理士の数を増やさないようにしておけば・・・と考えても遅いのです。しかし,このように考えているのは,私だけでなく,今回の会長選の立候補者の全ての方が,この問題を大きく取り上げております。

 弁理士は今後生き残れるのか,弁護士の数年先の未来がわかりますので,注目していたいと思います。
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1 今週末の日曜は、弁理士の論文試験(選択)です。受験される方は死力を尽くして頑張ってください。

 といっても,確か,選択科目の論文試験を受ける人は少数派のはずです。

 というのは,修士の学位等を持っていると選択科目は不要なのです。その選択科目を受ける場合でも今は1科目だけなので大したことはありません。

2 年寄りの愚痴として,何度も言いますが,昔は、この選択を何にするかで、それこそ、一喜一憂でした。
 憲法の傾向ははっきりしているから,憲法はお得だ!理系でも大丈夫だとか(某大手予備校L)。いやいや,出題問題集がはっきりしている制御工学こそお得な科目だ!とか(現在活動停止中の某P)。
 さらには,殆ど勉強せずとも予備校本等をさらっと読むだけでよい商品学(一体何の学問なんでしょう?)こそお得だ!とか(身売りされた某大手予備校W)。
 それこそ,3つの選択科目を決めるだけで大変でした。もちろん,今のように,免除などという制度もありませんでした。

 ちなみに私は,原子核工学,測量学,制御工学を選択しました。大体,当時の選択科目は院試レベルと言われておりましたので,地道に勉強すれば,合格レベルにまでは早期に到達することができました。何事も急がば回れですね。

 さて,その選択科目が今役に立っているかという話ですが,それは聞かないで欲しいですね~。
 坂井芳雄先生の「約束手形金請求訴訟における要件事実とその立証」(法曹会)を熟読し,物的抗弁・人的抗弁?フン,抗弁と否認の区別もつかんのか,学者は愚かじゃのうというくらいまでマスターした手形・小切手法は,全く役に立っておりませんので。。いわんやをやです。
1 明日は、弁理士の論文試験(必須)です。受験される方は死力を尽くして頑張ってください。

 私が、論文試験を受けたときは、必須科目が5科目、選択科目が3科目もありました。月火と必須科目を受けたあと、水木と選択科目を受けた記憶があります。
 確か四谷の法政大学が試験会場だったため、日曜の午後から木曜まで、近くに宿をとっておりました。当時の私は、厚木勤務で相模原在住でしたので、通うにはあまりに酷だったからです。

 それでも試験を受けられただけ幸せでした。有給がとれず、試験すら受けられないという人の話をよく聞きましたし。

2 そのときに比べれば、今は楽なもんです。必須科目は3科目だけ。しかも、特・実は昔と同じ、2時間ですが(と言っても昔は特・実は別々だったので、それぞれ2時間の試験でした。)、意匠と商標は、1.5時間だけです。その上、休みの日曜の1日だけで終わり、有給など取る必要がないのです。
 また、修士の学位等を持っていると選択科目は不要です。まあ選択科目を受ける場合でも今は1科目だけなので大したことはないのですけどね。しかも選択科目は、必須科目の試験が一段落してから行ないます(今年だと、月末。もちろん、休みの日曜1日のみ。)。

 昔は、この選択を何にするかで、それこそ、一喜一憂でした。非常にたくさんの選択科目の候補があり(確か30科目近くあったのでは)、それから3科目選ぶということで、数年簡単な傾向があっても自分の受ける年から傾向が変わってしまい、他の科目がすべてOKでもその科目だけでNGなんていうことも頻繁でした。

3 まあ年寄りの愚痴みたいなものかもしれませんが、今の弁理士試験は、ハードル下げ過ぎです。
 特許技術者に資格を取らせたいという裏の事情があるのでしょうが(この話はまた改めて)、弁護士以上にデフレ資格となったことだけは確かなようです。
今週末の日曜,弁理士試験の短答試験が行われます。
 受験される方は最後の1分まで死力を尽くしてください。

 私が受験したのは,もう10年以上前になります。その頃は,現在と違って,50問で,3時間だったと思います。現在は,司法試験と同様,60問で3時間半なのではないでしょうか。
 他にも違いがあり,昔は,0解というものがあったり(間違っているものはどれか?の問題で,間違っているものがない意地悪問題),知っているか知っていないかだけで,答えられる問題が殆どだったり,合格基準が8割だったり,だと思います。
 他方,現在の短答は,0解はないかわりに,考えさせる問題が殆どですから,昔より短答自体は難しいとも言えます。
 しかし,結局難易は合格ラインによりますから,現在6割程度の合格ラインということですと,昔の方が難しかったのでしょうね(昔の短答は約10問間違えたらアウトでした。)。

 私は,短答前当時勤めていた会社を有給休暇で1週間休んで,勉強にあててました。その後,昔は,論文の選択が,3科目もあったので,論文試験を受けるためにまた1週間近く休まないといけませんでした。
 もちろん,論文前に最後の追い込みの勉強をやるためにも,1週間休みましたので,この春先から夏にかけては都合3週間も休んでおりました。
 そのため,論文から戻ってきたときに,漫画でしか見たことのないような書類(包袋)の山が机の上にあり,疲れどころの騒ぎじゃなかった記憶もあります。
 昔の合格体験記なぞ読むと,仕事の都合で休みがとれず,この年の論文は受けられませんでした・・という悲しい記述もあり,現在のように全て休日で試験が終わる日程は隔世の感がありますね。

 ともかくも,落ちてもくさらずまた来年ということで。
昨日,経産省のHPに首記の事項が公表されておりました。事業仕分けの一環でしょう。
 私の仕事に若干関係があるのもありますので,それについて,個別的コメントを述べたいと思います。

工業所有権情報・研修館

工業所有権情報・研修館がこれまで達成した特許情報の提供、人材育成等の国民へのサービスの機能・レベルの維持・向上を基本にしつつ、必要最小限の費用で十分な成果を上げ、事業の大胆な整理や競争原理の確保に向けた取組を徹底するため、以下3点の改革を行う。

1.特許流通促進事業については、その目的であった特許流通市場の活性化のための環境整備という点では一定の成果を上げたと判断できるため、現行スキームによる事業は本年度末をもって廃止する。
なお、地方の中小企業の知財活用の促進がますます重要になっている状況に鑑み、より効果的な対策を講ずる必要性があるかどうかについて、他の中小企業政策との連携も視野に、ゼロベースで検討する。

2.特許電子図書館(IPDL)事業については、特許庁新検索システムが稼働すれば、特許庁データベースからリアルタイムで特許情報の提供が可能となることから、その段階でINPITの事業としては廃止する。

3.競争性のない随意契約については、平成21年度までに競争性のある契約へ移行したが、一者応札比率が高いことを踏まえ、真に契約の競争性を確保するため、更なる調達改革に積極的に取り組むこととし、年間30万件に及ぶ特許情報翻訳事業等のように大規模な事業については適正な規模に分割した上での調達に改めるとともに、一般競争入札(総合評価方式)の拡大等を行う。

 工業所有権情報・研修館は,IPDLをやっているところですね。私もよく使わせていただいております。
 旧来特許庁がやっていた研修についてもここがやっているようです。
 3.については,現状よくわかりませんので,まあこのとおりにやっていただくとして,気になるのは,1.と2.です。

 1.の特許流通促進事業というのは,「特許流通とは、特許をライセンス(実施権許諾)・売買等することにより技術移転を行うことを意味します。」そうで,それに対して,人的資源(特許流通アドバイザー),物的資源(データベース)を提供し,ときには,国際特許流通セミナーなども開催することのようです。
 しかし,人的資源による法律行為(ライセンスは典型です。)のアドバイスなどは,争訟性が惹起されることも多く,弁護士法72条の問題がありえるところです。無償だからよいのだ~ということなのでしょうが。
 その他,特許流通セミナーの開催などは何がしたいのかよくわかりません。まとめてあの世行きになるのも当然という気がします。むしろ遅すぎた感もあるところで,この改革案とおりに是非やっていただきたいと思います。

 2.のIPDLについては,事業主体が特許庁に移るだけのようですので,これまたどうでもよい話ですが,特許庁新検索システムは気になるところです。使いやすいものであれば良いのですが。

 しかし,このように書いていると,そもそも,工業所有権情報・研修館って必要なのかどうか全く怪しいとしか言いようがありません。
 わざわざ独法でようわからん法人を作って,特許庁が直接やればいいことをそこに投げて,今一なので,一部また元に戻すということですからね。
 失敗は失敗でいいので,ごめんちゃいと謝ってすぐに正すことは重要です。それができなくて,結構な問題になることは世の常です。




今日から,特許庁への電子出願は,ISDN出願はできなくなり,インターネット出願に一本化されることになりました。
 私のような,弱小弁護士にとって,自分のパソコンからちゃちゃっと出願できるのは,大変便利なのですが,どうも腑に落ちない点もありますので,書き留めておきたいと思います。

1 一本化の経緯
(1)H20.6 弁理士会から,特許庁が「平成22年3月末にISDN回線を利用した電子手続を廃止し、平成22年4月からインターネットを利用した電子手続へ一本化する予定であることを発表しました。」とのメール連絡
(2)H21.7以降,(独)工業所有権情報・研修会館によるインターネット出願の説明会開催(私もH21.7.13に参加しました。)
(3)H22.1.25 特許庁,「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則」の一部を改正する省令案(要は,今回のインターネット一本化の件)のパブリックコメント募集開始
(4)H22.2.23 特許庁,同募集締め切り(ちなみに,意見はなかったそうです。)
(5)H22.3.10 特許庁,工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令が本日公布され,H22.4.1から施行する旨発表
(6)H22.4.1(本日) 施行

2 腑に落ちない所
(1) 上の(1)の時点では,もはやISDNなんぞ使っている方はいないし,特段の問題はなさそうだとぼんやり考えていました。
 ところが,上の(2)の説明会に参加したとき,恐ろしいことを知らされたのです。H21.5末の段階で,ISDN出願は,59.7%もあるということでした。
 私は,てっきり利用者が少ないので,一本化するとばかり思ってました。しかし,違ったのです。
 特許庁の本日の発表を見ても,一本化の趣旨として,「異なる二系統の電子出願システムを維持する重複投資の解消、及び今後のサービス向上には大容量・高速通信の利用が不可欠であることを背景とするものです。」とあり,要は,特許庁の都合だったのです。

 弁理士になりたての新人研修のとき(ちょうど10年前です。),年配の先生が嘆いてました。「オンライン出願ができると喜んでいたら,専用端末を買わないといけなかったんですよ。それが,600万円もしたんですよ。めちゃくちゃですよ。今では,安い普通のパソコンでできますから,専用端末は,ただの置物ですよ。」と。
 それから仲間内では,彼の先生は「600万円の男!」と呼ばれることになりました。ちなみに,ここでいう「安い普通のパソコン」が,昨日廃止されたISDN出願のことです。

(2)私は,説明会に参加して以降,このような一本化について,変だなあと思っていました。特許庁も行政庁ですから,何かをするには何らかの法の根拠が必要なはずですが,その根拠がよくわからなかったからです。
 ところが,今年になって,上の(3)のように,パブコメを募集するに至り,根拠はわかりました。
 しかし,これってどうなんですかね。2年近くも前に,一方的に発表し,それなりの下地をつくり,施行寸前になって漸くパブコメ募集って。それじゃあ,「ご意見」がないのは,当たり前ですね。

(3)私は,弁理士ではありますが,普段弁護士の業務を中心にやっていますので,弁理士会が何故「600万円の男!」とは異なり,大人しくしていたかはわかりません。
 今回の一本化には,私自身特段の不利益はありませんし,多くの弁理士の方にとってもそうなのでしょう。でも今回と異なり,自分にも不利益があるような場合に,きちんと異議申立できるか,甚だ疑問と思った次第です。

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弁護土・弁理土
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自己紹介:
理論物理学者を目指したのはもう30年以上前のこと。某メーカーでの液晶ディスプレイのエンジニアを経て,弁理土に。今は,弁護土です。次は何かな。
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