忍者ブログ
知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 東京は昨日から結構な雨です。こんなに本格的な雨なんて久々って感じです。
 昨日は,しばらくぶりに裁判所に訴状を提出に行ったのですが,靴まで染みましたね。今日も,朝からザーザーです。

 さて,知財の判決で良いのは無かったのですが,著作権と商標で,表題のとおり,何だか対照的な話がありましたので,小ネタということで,紹介します。

2 まずは著作権からです。
 アメリカでテレビ放送のストリーミングサービスについて,控訴審でも合法となったとの報道がありました。
 ちょっと,ちょっと,そのサービスって日本で根絶やしになったのに,アメリカではOKなの?と思いますよね。

 報道だとよくわからないところはあるのですが,このAereo社は特殊な小さなテレビアンテナを開発したらしく,それを顧客に売るか,貸すかして,そこから受信した放送を,おそらくまねきTVのような方式で,顧客の手元で見れるようにしているのだと思います。

 じゃあまねきTVとの違いは?というと,このテレビアンテナが意外とポイントなのかもしれません。

 まねきTV事件の復習をしましょう。
 まねきTV事件は,ソニー製の汎用品のロケーションフリーを用いるものです。
 まず,業者が,エア(業界用語ですね。)を分配し,顧客所有のロケーションフリーのベースステーションにエアを入力させ,そのベースステーションで,インターネット送信可能な信号にした上で,ハブやルーターを通してインターネット回線に行くことになります。その後,顧客の家等で,ロケーションフリーのベースステーションと一対一対応しているパソコン等で視聴するわけですね。基本,録画等の複製は一切ないタイプです。

 で,このようなものですので,公衆送信権(著作権法23条)の侵害だと放送局側が言っても,汎用品だし,一対一対応だし,「公衆」に送信してねえんじゃねえのと普通は思います。
 ところが,最高裁は,以下のような論理で侵害としたわけです。

 ①自動公衆送信装置に当たるかどうかは,その機械を中心に見るのではなく,誰がその機械を操っているかが重要。それによっては,一対一対応の機械であっても,自動公衆送信装置に当たることがある。
                  ↓
 ②誰が機械を操っているか,すなわち送信の主体は,場合によって異なるが,本件の事案のような場合,この機械(ベースステーションのこと)にエアを入力させたやつが送信の主体だ。
                  ↓
 ③なので,本件では業者が送信の主体だし,業者と顧客は,単に契約で結びついただけの赤の他人で,公衆と言えるので,自動公衆送信装置にも該当する。結果,公衆送信権を侵害をしているのは,業者の野郎だ~,コンチクショーめというわけです。

 まあ,最高裁のことを今更ヤーヤー言っても仕方ありません。ただ,実はこの論理だと抜け穴?があることに気が付きます。というのは,このまねきTV事件の場合,業者がエアの接続までやっているのですね。端的に言えば,アンテナは業者のものです。
 
 そう!だから,逆にアンテナまで顧客のものだったら?実は,今回のアメリカのAereo社の件は,まねきTV事件と同じ地平にある事件じゃないのかなあという気がします。ですので,非常に注目しているのです。

 アメリカで良くても日本ではダメの場合はよくありますが,最高裁の論理からしても,アンテナ入力から,手元でのストリーミング再生のすべての経路について,顧客の管理しているものと認定できるのだったら,まさに私的使用にほからならず(30条),とやかく言われる筋合いはないわけですからね。

 さて,こう考えると,テレビ放送のストリーミング再生については,もうちょっと動きがあってもいいのではないかと思います。

 都内の地下鉄ではほぼスマホや携帯がつながるようになりました。すなわち,インターネットが接続できるのです。これで,テレビが見れたらどんなに便利かしれません。
 私は地デジワンセグの見れるデバイスも持っているのですが,地下鉄だと当然見れなくなります。まあどうでも良い番組なら地下で見れないとなっても,我慢しようと思いますが,スポーツ中継だとどうですか?
 例えば,先週のサッカーのW杯予選,結構一進一退の攻防が続きましたよね。遠藤のPK前で,地下に潜って見れなくなったという人もいるんじゃないですかね。慌てて,ネットの一字一句中継に切り替えたものの,じれったいたりゃありゃしません。こんなとき,ネットでテレビが見れたらどんなにいいかって。

 民放のテレビ局がストリーミング配信に消極的なのは,地方局を守るためと聞いたことがあります。ネットでテレビを見れたら,それこそキー局しか見なくなり(つーかそれだけを見れば済むので),キー局は儲かるものの(スポンサーにネット配信での広告料を上乗せしてもらえば済むだけ。),地方局は競争力が落ちるわけです。

 でも,方法がないことは無いです。実はラジオの場合,既にストリーミング再生されております。知っている人は多いと思いますが,radikoというアプリを使えば,ネットでも主要な放送は聞けます。
 別に,このアプリ,非公式でもなければ,脱獄アプリでもありません。では,このアプリ,地方局を守るため,どうしているかというと,スマホの場所情報によって,実際にそこでアンテナを伸ばしたら聞ける局のみ,ストリーミング再生できるようにしているのですね。ですので,場所情報が得られない場合は,聞けないことになっております。

 テレビでもそうすればいいのに~ね。じゃなければ,Aereo社方式で私と一緒に頑張りませんか~ね。

3 次は,商標です。
 何と言っても,白い恋人と面白い恋人ですが,これは民事裁判で和解となりました。

 じゃあこれは?スターバー(ガールズバー)とスターバックスです。これは,刑事事件となり逮捕こそ免れたようですが,送検されてしまいました。

 ね~,皆さんどう思いますか。両方,パロディなんじゃないですかね。私はどっちかというと,スターバーの方が好きなくらいです。いやいや,スターバーは丸パクリじゃないですかって,面白い恋人も,結構似てたっすよ。

 商標の類否って,ここで述べたように,結構判断が分かれます。ですので,海賊版(デッドコピー)以外は,安易にどうのこうの言えないのが実情でしょう。

 ですので,このスターバーもどう転ぶか分かりません。
 で,私が言いたいのは,スターバーの方じゃなくて,面白い恋人の方です。この事件を民事じゃなくて,刑事告訴していたら,果たしてどうなっていたか,ということです。

 白い恋人の会社の代理人は,地元の代理人の方のようですし,穏当な解決を望んだのでしょうね。でも,これが,東京のリーガルギャングどもに依頼していたら果たして民事だけで済みましたかな。
 吉本興業,書類送検,営業部の**商標権侵害罪で逮捕!となったら,いやあ凄いダメージです。

 さらにさらに,私が言いたいのは,上の著作権に戻ります。実は,根絶やしと書きましたが,チャレンジングな方や企業は結構居て,テレビのストリーミングサービスについては,単発的に発生してはいるのです。

 ところが,放送局は,民事でやると長引くと思ったためか,やり方を変え,刑事告訴というのが今のデフォ―になってきているようなのです。
 そして,警察も個人の事件じゃ大して動かないくせに,デカイテレビ局がアホのように雁首揃えた告訴状が来たら,ハハーとばかりにすぐに逮捕しちゃいます。こういうことを何で知っているかというと,そういう事件の後始末を若干やったことがあるからですね。いやあ,本当酷い話です。

 小さい会社ですから,代表者が逮捕勾留なんてされたら,一発で潰れますね。どういう事務所がそういう告訴の代理人しているかというと,民事と基本同じですよ。これが私の言うところのリーガルギャング,というわけですね。
 ま,別に法を破れというつもりはないですが,なんちゅうかなあ,損して得取れっていう発想がないんですかね。

4 ということで,刑事を知財の便法に使うというのが,色々流行ってきているようですが(特に大企業がね。),何か嫌な感じ,と言っておきましょうね。

 


PR
633  632  631  630  629  628  627  626  625  624  623 
カレンダー
10 2017/11 12
S M T W T F S
3 4
5 7 8 11
12 13 14 15 16 18
19 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
ブログ内検索
プロフィール
HN:
iwanagalaw
HP:
性別:
男性
職業:
弁護士
趣味:
サーフィン&スノーボード
自己紹介:
理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
カウンター
アクセス解析
忍者アナライズ
Admin / Write
忍者ブログ [PR]