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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 ということで,本日が新年度実質一日目でしょうね。

 昨年は,結構,ここ五反田にも新入社員ぽい人が歩いていたのですが,今年はあまり見当たりません。何だか大学の新歓ぽい人達はいましたが。。
 さて,昨日に引き続き若干の昔話をすれば,22年前,この五反田近くの会場で,入社式を迎えたものでした。その後,オリエンテーションは,今は綺麗なビルの立っている大崎の西側へ移動し,大崎テック内の体育館でやったわけですね。その昔はソニーの大崎と言えば,女子バレーで有名なところでしたので,その名残だったのでしょう。

 そういえば,これで,ソニーを辞めてから11年も経ったことになります。つまり,ソニーに居た年数と同じです。あっという間だなあ。

2 この1年さまざまな判決を紹介しました。昨年は,主に特許の分野の判決の紹介をしていたということで,特許の判決のみしかランキングしませんでしたが,今年は,結構色んな分野の判決を紹介しましたので,ランキングも特許に拘りません。ということで,注目度ランキングというのを今年も勝手にやりたいと思います。今年は,ベスト5にしますね。

・それでは,まず,次点の6位から。
平成23(行ケ)10086号(知財高裁平成23年09月14日判決)
 これは,いわゆる「BLUE NOTE」事件ですね。はなっから,特許ではない商標の事件です。
 そして,これは審決取消訴訟なのですが,小売役務商標の権利範囲について判示があったので,結構重要なものだと考え,ここに来ました。
 でも,結局,審決取消訴訟ですので,まあこういう順位ですかね。

・ベスト5内の5位です。
平成22(ネ)10043号(知財高裁平成24年01月27日判決)
 これは,知財高裁大合議の,例のプロダクトバイプロセスクレームの事件です。やはり,重要なことは重要です。プロダクトバイプロセスクレームにおける技術的範囲の認定でのクレーム解釈と発明の要旨認定でのクレーム解釈の,二つの判示があったわけですから。
 でも,所詮,為にする大合議ということで,この順位です。新聞の扱いも以前の大合議判決に比べれば,やはり小さいものでしたね。

・つぎは,4位です。
平成23(行ケ)10191号(知財高裁平成24年2月28日判決)
 これは,「ポリウレタンフォーム事件」です。といっても,大して有名ではありません。私が独断と偏見により,選んでいるから,こういう事件がノミネートされるのでしょうね。ちなみに,今回最高裁判決は1つも選んでおりません。へそ曲がりなもので,そんなのはみんな重要だと思うでしょうから,選ぶ気が起きないのです。
 さて,この事件,何が注目に値するかというと,除くクレームの進歩性ですね。従前,除くクレームが問題になったときは,いつも同一性が問題になったものばかりでした。それが今回同一性をクリアした後の,本丸といってよい進歩性が問題になったわけですから,注目しないわけにいかないでしょう。実務では,こういうのが問題になるのですよ~と,学者との格の違いを見せつけるわけ?かな。

・そして,3位です。
平成23(行ケ)10121号(知財高裁平成24年1月31日判決)
 これは「半導体装置事件」です。さらに,マニアックで,格の違いを見せつけます。これも進歩性,特に周知技術の認定についての判示があったので,取り上げました。
 結局,特許って進歩性なんですよ。本当,釣りが鮒釣りに始まり,鮒釣りに終わるというように,特許は進歩性に始まり,進歩性に終わります。学者ならともかくも,実務家ならここからは逃げられません。非常に重要で,しかも非常に難しいものです。
 さて,進歩性の具体的認定はどうやっているかというと,ちょっと前の審判便覧?で初出で,何年か前の進歩性検討会でさらに有名になった「進歩性の判断手順例」に拠っていると思います(さらに,中山先生の基本書のp136にも載っています。)。これ,「例」とありますが,少なくとも裁判官はみんなこれに従っていますね。
 個人的に,このフローチャートの問題点と思っているのは,相違点があってもそれが設計事項等だと,証拠によって示す必要がないように読めることですね。そして,周知技術,技術常識もまた然り,のように読める点です。

 本来,証拠により周知技術等を指し示すようにしなければならない筈で(民訴法179条にあたれば,別ですけど。でもこの議論をすると,「進歩性」で何が主要事実で,何がそうでないかで,また紛糾しそうなので,この辺で。),その点の判示があったので,これを3位にしたのですね。

・2位です。
平成22(ネ)10076号(知財高裁平成24年02月14日判決)
 商標の侵害訴訟の控訴審です。いわゆる「チュッパチャップス事件」ですね。チュッパチャップスの会社が,直接の商標侵害者でなく,その直接侵害者の商品等を展示していた楽天市場の楽天を訴えたという事件です。
 著作権だとこういうパターンはよくあるのですが,間接侵害規定の充実している工業財産権の分野では,この手の事件はなかなかお目にかかれません。ですので,こりゃ珍しい,そしてこういうのが重要になるときも来よう~,ということで2位にしました。

・さあ輝く第1位は。
平成23(ネ)10002号(知財高裁平成23年09月07日中間判決)
 切り餅事件です。まあこれは当然ですね。一般の方へのインパクトも絶大だったし,いわゆるプロの間でも喧々諤々という,非常に話題になったものですからね。まあ色々な事情があるのでしょうが,これで原告勝ちのまま確定したら,禍根が残るパターンでしょうね。しかも法改正されましたので,特許無効を確定した後,再審で争うということができなくなりましたので,今やっている最高裁の審理で何とかしないと,被告はお陀仏です。
 個人的には,幻の大合議になった技術的範囲の認定でのクレーム解釈と発明の要旨認定でのクレーム解釈の統一(まあ統一しなくても良いけど,どうすべきかということ)を,最高裁で判示して欲しいけど~,無理だろうなああ。

 この判決の追伸です(4/4)。
 漸く,終局判決のアップ(平成24年03月22日判決)がありました。
 侵害論は上記のとおりで,損害論も報道のとおりであり,その部分は目新しいものはありません(アップが遅れたのは,損害論での塗りつぶしに時間がかかったのでしょうね。)。

 目新しいのは,被告(被控訴人)代理人の交代等です。その経緯は,判決文にも載っていますが,最初の代理人はfired!になっちまったようですね。そして,新しい代理人は日本一でかいところの,元知財高裁の裁判官を含んだ方々。さすがの飯村さんもその方々へのフォローは忘れておりませんが(じゃないと,裁判官を辞めた後,雇ってもらえないかもしれませんからね。),基本時機に後れた攻撃防御方法だとして,色んなものを却下して,判決に至ったようです。
 まあ色々考えさせられる判決です。さすが,一位です。

3 さあ平成24年度はどんな判決を紹介できますやら,乞うご期待。
 NEC_0463.JPG
左は本日の日比谷公園です。この部分はかなり咲いておりますが,一分咲きくらいですね~。



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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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