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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 ということで,本日も予習の要らない話で行きましょう。
3つあります。

2 まずは,一つ目,これは弁理士をはじめとするちゃんとした実務家なら,本日の知財ネタで知らないならモグリと言っていい話です。

 そう,特許情報プラットフォームが,本日から,開始です(IPDLはもうありませんので。)。ですので,ちょっと使ってみました。

 良い所を書いても仕方ないので,IPDLから変わった所とか,気に入らない所とかを中心に書いてみます。

・グーグル検索で,一発で検索できない。
 前のIPDLもそうだったのですが,「特許情報プラットホーム」と検索すると,工業所有権情報・研修館が一番上に検索されます。それから,特許情報プラットホームまで行こうとすると,結構なアクションをしないといけません。勿論,迷路というほどひどくはないですが,あーもう!って感じになります。
 まあ,ブックマークを一回していれば良い問題ですが,ブックマークで飛ぶよりグーグルで飛ぶ方が早い場合だってありますからね。そのとき,なんでもう!と思うのは結構なストレスです。

・何が変わったのかようわからん。
 と,苦労して特許情報プラットホームに辿り着くと,UIはそりゃ変わっていますが,メニューを見るとIPDLとほぼ変わりません。
 私のように訴訟中心の実務家だと,殆ど前と変わらねーじゃんって感じじゃないでしょうか。

・強いてあげれば
 そんなあんまり変わっていない特許情報プラットホームですが(この名前も長過ぎる!),一番の売りは,J-Globalとの連携ですね。ただ,これも何かイマイチです。
 というのは,私の名前をフリーワードで入れたところ,検索結果は0です。ところが,本家のJ-Globalで私の名前で検索したところ,文献で3件もヒットします。
 はあ?って感じです。なんで?

 あとテキスト検索で,複雑な論理式が使えるのは良いかもしれません。ラジオボタンみたいなものから選ぶと,それじゃあ書けない論理式があったりするので,ヘビーなユーザーには便利な所だと思います。

 それと実際の検索結果について,文献単位PDF表示,経過情報に加えて,審査書類情報も見れるようになっています。これは便利だと思うのですが,本日はアクセスが集中し過ぎか,エラーで見れません。何とかしてちょ。

 特許庁のシステムと言えば,汚職事件の余波を受けて,従前のNTTデータに発注することができず,東芝ソリューションとアクセンチュアにやってもらおうとしたところ,能力不足で頓挫したのは極めて有名な話です。
 こんなの,関係者全員腹かっさばいて死にゃあいいのになあと思いますが,基幹システムは新たに構築するはずですので,今回の特許情報プラットホームとの関係が気になるところです。
 というのは,その頓挫したシステム更新の謳い文句としては,審査官の検索システムと同様のものを外部からも使えるようにする,という話だったと記憶しておりますので。

 そうなると,この今回の特許情報プラットホームは,それまでのつなぎなのか,それとも,これがそうなるのかようわかりませんなあ。

 ま,兎も角も習うより慣れろでどんどん使った方がいいとは思います。

 あ,あと,私の本「知財実務のセオリー」早くも改訂する必要が出て来ましたねえ,あーあ。

3 次は地理的表示です。
 先週の日経のいつだったかなあ,夕刊に地理的表示(GI)の話が載っていたのはびっくりしました。

 このGIというのは,その夕刊の記事とおり,「特定の産地と製法や品質、食文化が結びついた農水産品の名称を保護する「地理的表示(GI)」制度」のことです。

 長州黒かしわとか市田柿とかがその例ですが,制度自体は今年の6月~スタートです。

 で,これって今ある地域団体商標とかと同じじゃんという話のように聞こえます。主体が,経産省-特許庁ラインから農水省に移るだけじゃんみたいに思えます。

 しかし,これ一個非常に大きな違いがあるのです。エンフォースメントを行政がやってくれるので,いちいち弁護士なんかに頼んで警告状→民事訴訟→強制執行なんかしなくていいのです。農水大臣が,地理的表示の抹消命令などを出し,従わない場合には罰則があるという,独禁法のエンフォースメントに似た感じのものなのですね。

 だから,結構ニーズがあると思いますね。ただ,農水省としては年に100件程度の申請を見越しているらしく,商標が年に10万件程度あるのと比べると,わずか1000分の1です。これじゃあこれを代理してもそれだけじゃあ食っていけません。

 ですので,実務家には大して関係ない(代理を頼まれるのはごく一部ですので。)けど,各地の生産者にとっては結構良い話だと思います。

4 最後は分裂迷走気味って所でしょうか。
 今日の日経の法務面です。「TMI事業再生を強化 ビンガムから 弁護士の一部移籍」だそうです。

 要するに,ビンガムがつぶれたので,アンダーソン・毛利に行こうとしたら,或る大ボスが年齢制限に引っ掛かりそうなので,その大ボスとともに一部の弁護士はTMIに行き先変更!っちゅう話らしいのです。

 このビンガムの話は,このログでも散々皮肉たっぷりに書きましたが(ま,男の批判の90%は嫉妬原因らしいので,堪忍してちょ),今回のこの件を見るにつけ,いやあ奴隷根性ってなかなか抜けねえんだなあって思いますね。

 だって,そもそも今回のビンガムの吸収の話って,親会社のBingham McCutchen LLPが,それより大手のMorgan, Lewis & Bockius LLPに吸収されたってのが発端です(Morgan, Lewis & Bockius LLPは別途東京事務所があるのです。)。

 それを嫌がって少人数で独立した知財系の弁護士は見上げたものです。
 でも,残りの約60人は,親会社がなくなったら,独立することもなく,やはり大手に行こうとするのですからね~。ほんで,そこでも条件が合わないと,また違う大手に救済を求めるわけです。どこまで行っても大手,大手,大手~なんですねえ。

 え!,60人も優秀な弁護士が居るんでしょ,独立してやっていきゃあいいじゃんって話ですよ。頭がパーか。
 例えば,この質の悪い私が,どこかの大手事務所の採用担当者だと称して,うちに来たいならいますぐ後ろ向いてズボン脱いでケツ出してもらわないと~,いい感じにオカマ掘れた人だけ雇います~♡って言ったら,本当にケツ出しそうですもんね(男女差別なくていいでしょ)。

 一旦奴隷になったら死ぬまで奴隷か~♪考えられん人生だなあって,おっと,inagawarawセンセ,ただでさえ仕事の依頼がないんだから,そのくらいにしておかないとますます無くなりますよ~てな所ですかな,ムフフフ。

 でも本当,TMIに行ってもTMIAにはしてくれませんぜ~。ネームドパートナーとそうじゃない人には雲泥の差があるもんですけどね~♫。

5 ということで,悪口の後は,お口直しに高血圧ボーイのお散歩のコーナです。
 
 まずはよく出る山本橋から川下方面です。桜,わかりますかね,ぼんやりとピンクっぽいってことを。
 
 この山本橋のたもとの左側の木の枝がこんな感じです。咲いている枝があります。
 さらに,川下方面に下りました。
 
 国道15線にかなり近い所では,こんな感じで,もう2分咲きかなあっていう木もありました。
 いやあ,これは今週末は絶好のお花見になりそうですね。

PS. 本日は東京で桜が開花したそうです。いよいよですね。
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1 2月の2週目と同様,先週はこのブログの更新が滞っておりました。

 ここをよく見て頂いている人にはわかると思いますね,その理由は。ま,多少忙しかったということです。
 何かねえ,波というかタイミングというか,そういうのって,結構色んな周期があると思うのですが,重ね合わせの原理か何かで一緒に来て一緒に去っていくっていう場合もありがちです。
 
 この2月3月って,まさにそんな感じ~。まあ,無理して書くこともないので,いいのですけどね。

 ということで,本日は久々の更新で,予習の要らない話で行きましょう。

2 まずは,本丸です。

 特許法の改正は,つい去年終わったばかりで,現在は職務発明規定の改正に議論の中心が移っています。私は,ここで色んなことを書いていますが,はっきり言ってどうでもいい~というのが本音です。

 え!どういうこと?と思うかもしれませんが,そのとおりです。え,考えが変わった?そういうわけではありません。勿論基本,私は中二病ならぬ小二病なので,気はよく変わるのですが,今回はそうではありません。
 私は,基本企業寄りの弁護士なので,元々特許法35条の改正に賛成でした。古い記事を見るとよくわかると思います。でも,企業のやり方が汚いから,うたちいことんじょうすっやつんじょうじゃのう,ってことでアンチの姿勢になっただけです。

 そして,どうやら合理的な範囲に収まりそうなので,私の怒りも収まる,ということです。

 で,今の特許関係の最大の問題って,当然この職務発明のことではありません。それは何か?

 それが,本日の日経の朝刊の一面に載っていた話です。「特許侵害、立証容易に 被告の証拠不提出に罰則 政府方針」です。

 記事をよく読むと,文書提出命令に違反する場合には罰則を,というように読めますし,今の段階だとまあよくわかりませんね。
 で,記事に出ていますが,そういうようなことを通じて賠償額も高くするような感じにしたいようです。でも3倍賠償までは導入しないとか・・・。

 こう書くとわかると思いますが,特許関係最大の問題は,賠償金の低さですね。勿論,勝訴前提なので,勝ちやすくしないと意味がないわけですわ。

 本当,職務発明なんかどうでもいいのです。結局特許制度の限界的能力って訴訟でナンボのもんかって所ですので,ここをどうにかせんとしょうがないのですね。
 ま,普段使いでは,40キロしか出さない普通の車だって,スピードメーターには,150kmとか載っていたり,5年で売り飛ばすのに,20年以上使える性能があったりするわけです。

 訴訟で実際に問題になる特許って,30万件中の,現在では300件程度です。つまりは1/1000です。でも,そういう限界事例で,いやあ訴えた意味がありましたね~そうですね~となれば,特許出願数が伸びますし,それは弁理士だけが儲かるわけでもなく,じゃあ投資しようかってことにもつながります。

 ですので,兎に角,この本丸に漸く政府が切り込む覚悟を決めたというのは実にいいことだと思いますよ。

3 次は,拡張です。これも日経の木曜の記事でした。「国際商標、漢字・ひらがなもOK ブランド守りやすく」です。

 これは要するに,マドプロ経由で出願する場合でも,アルファベットじゃなくてもいいよ~ってやつです。

 そう,商標の国際出願制度というものがあり,これは日本の特許庁に手続きすればいいのですが,「国際」ということもあり,アルファベット等だけなのです。
 でも,ちょっと問題になった中国での窃用の問題とか,アルファベットでの国際出願では対処できません。じゃあわざわざ国際出願を使わずにやると費用が嵩みます。

 ですので,例えば「森伊蔵」とか「さぬき」とか,それをそのまま,国際出願できるというのは実に大きなメリットです。

 あんまり話題になっておりませんが,実に大きな話だと思いますね。記事では,今秋と書いてますが,早い所実現して欲しいもんです。

4 最後は身から出た錆です。
 これも今日の日経の記事からです。「「他人装い引用」3弁護士を戒告 匿名で判決批判記事」です。社会面にひっそりと載っておりましたが,まあこういうところに載るってことは大問題ってわけです。

 勿論,この話は例の西村あさひ事件のことです。いやあ日経に載るような会社も西村あさひを使っていると思いますが,頓着しないのでしょうかね。

 ですので,まさに身から出た錆~ってやつでしょう。いやあ他人の不幸は蜜の味~♡,そのとおりですね。

 明日は更新できるかなあ。


1 概要
 本件は,被告会社(株式会社日本ジャーナル出版)が,原告らの肖像写真に裸の胸部(乳房)のイラストを合成した画像を用いた記事(本件記事)を掲載した本件雑誌(週刊実話,平成25年11月21日号)を出版し,販売したことについて,原告らが,原告らのパブリシティ権並びに人格権及び人格的利益が侵害されたと主張して,(1) 被告会社に対し,本件雑誌の印刷及び販売の差止め並びに廃棄を,(2) 被告会社,その代表取締役であった被告I(被告代表者),発行人である被告J(被告発行人)及び編集人である被告K(被告編集人)に対し,被告発行人及び被告編集人につき民法709条,被告代表者につき民法709条又は会社法429条1項,被告会社につき民法709条,715条又は会社法350条に基づく損害賠償金並びにこれに対する不法行為の後の日である平成25年11月8日(本件雑誌の販売開始日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案です。

 これに対して,東京地裁民事46部(長谷川さんの合議体ですね。)は,会社と発行人と編集者に,原告一人につき80万円の支払いの限度で請求を認容しました。

 先週,ちょっと話題になった例の女性芸能人の妄想ヌードの事件の判決ですね。

 知財って,固くって高尚~みたいなイメージがあるのかもしれませんが,結構やわらかい所もあります。所謂大人のおもちゃの形態が,不競法上の形態模倣かどうか話題になった事件なんて,記憶に新しい所じゃないですかね。

 今回は,上記のとおり,有名な女性芸能人の肖像に,恐らく,フォトショップで加工して,胸の部分が透けるような工夫を施し,そこにイラストレーターかだれかがおっぱいを書き込むというような感じですね。
 ま,はっきり言って,中学生がやるようなレベル(思い起こせばその頃私もやったような~)ですわな。

 しかし,こりゃ,何だか脱線必至の内容ですね。

2 問題点
 原告側は,パブリシティ権とともに,人格権的なものでも請求していますが,ここは知財メインなので,パブリシティ権の話メインで行きましょう。

 で,パブリシティ権って何?ていう話ですが,よくわかりません。だって,法律に,これがパブリシティ権だという風に書いているわけではないですからね。
 最大公約数的にいうと,名前とか肖像とかの持っている経済的な利益を独占的に利用できる権利のことをいうようです。

 で,物の場合,問題になったのが,ギャロップレーサー事件ってやつです。ゲームソフトに実在する競走馬の名前を何の許諾もなく使ったので,馬主のおっちゃんらが怒ってゲームソフトの販売差止等を請求した事件です(最高裁平成16年2月13日判決)。

 これはご存知のとおり,
「 (1) 1審原告らは,本件各競走馬を所有し,又は所有していた者であるが,競走馬等の物の所有権は,その物の有体物としての面に対する排他的支配権能であるにとどまり,その物の名称等の無体物としての面を直接排他的に支配する権能に及ぶものではないから,第三者が,競走馬の有体物としての面に対する所有者の排他的支配権能を侵すことなく,競走馬の名称等が有する顧客吸引力などの競走馬の無体物としての面における経済的価値を利用したとしても,その利用行為は,競走馬の所有権を侵害するものではないと解すべきである(最高裁昭和58年(オ)第171号同59年1月20日第二小法廷判決・民集38巻1号1頁参照)。本件においては,前記事実関係によれば,1審被告は,本件各ゲームソフトを製作,販売したにとどまり,本件各競走馬の有体物としての面に対する1審原告らの所有権に基づく排他的支配権能を侵したものではないことは明らかであるから,1審被告の上記製作,販売行為は,1審原告らの本件各競走馬に対する所有権を侵害するものではないというべきである。
 (2) 現行法上,物の名称の使用など,物の無体物としての面の利用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。
 【要旨】上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。したがって,本件において,差止め又は不法行為の成立を肯定することはできない。」という判示のやつです。

 ま,つまりは,物の場合のパブリシティ権を否定したものと解されております。
 
 他方,人の場合は?というと,これもご存知,ピンクレディー事件です。
 これは昔,ピンクレディーが撮影を許諾した写真が,ある雑誌にピンクレディーダイエットみたいに記事に流用されたことについて,ピンクレディーがやめんかこらっとした事件ですね(最高裁平成24年2月2日判決

 で,これもご存知のとおり,
「3(1) 人の氏名,肖像等(以下,併せて「肖像等」という。)は,個人の人格の象徴であるから,当該個人は,人格権に由来するものとして,これをみだりに利用されない権利を有すると解される(氏名につき,最高裁昭和58年(オ)第1311号同63年2月16日第三小法廷判決・民集42巻2号27頁,肖像につき,最高裁昭和40年(あ)第1187号同44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁,最高裁平成15年(受)第281号同17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁各参照)。そして,肖像等は,商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり,このような顧客吸引力を排他的に利用する権利(以下「パブリシティ権」という。)は,肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから,上記の人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる。他方,肖像等に顧客吸引力を有する者は,社会の耳目を集めるなどして,その肖像等を時事報道,論説,創作物等に使用されることもあるのであって,その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるというべきである。そうすると,肖像等を無断で使用する行為は,①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し,③肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に,パブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となると解するのが相当である。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,上告人らは,昭和50年代に子供から大人に至るまで幅広く支持を受け,その当時,その曲の振り付けをまねることが全国的に流行したというのであるから,本件各写真の上告人らの肖像は,顧客吸引力を有するものといえる。
 しかしながら,前記事実関係によれば,本件記事の内容は,ピンク・レディーそのものを紹介するものではなく,前年秋頃に流行していたピンク・レディーの曲の振り付けを利用したダイエット法につき,その効果を見出しに掲げ,イラストと文字によって,これを解説するとともに,子供の頃にピンク・レディーの曲の振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するというものである。そして,本件記事に使用された本件各写真は,約200頁の本件雑誌全体の3頁の中で使用されたにすぎない上,いずれも白黒写真であって,その大きさも,縦2.8㎝,横3.6㎝ないし縦8㎝,横10㎝程度のものであったというのである。これらの事情に照らせば,本件各写真は,上記振り付けを利用したダイエット法を解説し,これに付随して子供の頃に上記振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するに当たって,読者の記憶を喚起するなど,本件記事の内容を補足する目的で使用されたものというべきである。
 したがって,被上告人が本件各写真を上告人らに無断で本件雑誌に掲載する行為は,専ら上告人らの肖像の有する顧客吸引力の利用を目的とするものとはいえず,不法行為法上違法であるということはできない。」

 これを見ると,人のパブリシティ権の定義があります。そして,それは人格権由来のものだという判示があります。ただ,そうは言うものの受忍すべきときもあるとされ,最高裁は,3つの類型の場合のみ,パブリシティ権の侵害だと言っているように思えますね。

 まあ,それは妥当な所なのじゃないでしょうか。
 有名人って雑誌を初めとしたマスコミに,タダで宣伝してもらうようなときもあるわけですよね。新しい,ドラマ,映画ができました~,レコード,シングル,アルバムができました~,こんな写真集を出しました~などなどです。
 とすると,都合のいいときの,タダでの宣伝は見逃して,都合の悪いような記事を書かれた際にはクレームをつけるっちゅうんじゃあ,そりゃあどうなの?って感じですからね。世の中の99%はプロレスなのです,お互い持ちつ持たれつなのです。

 ですので,今回のパブリシティ権に関しても,上記の最高裁の3つのパターンのどれかに入ってないと,そりゃ無理ってやつです。

3 判旨
「(1) 個人の氏名,肖像等(以下,併せて「肖像等」という。)を無断で使用する行為は,① 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する,② 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する,③ 肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とすると認められる場合に,パブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となると解される(最高裁平成24年2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁参照)。
 原告らは,本件記事は肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用するもの(上記①)であり,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするから,パブリシティ権の侵害となる旨主張する。
(2) そこで判断するに,本件記事は,幅広く芸能活動を行って広く知られた原告らの肖像等を用いたものであるが,前記前提事実(2)及び(3)のとおり,裸の胸部のイラストを合成し,性的な表現を含むコメント等を付したものであり,肖像等そのものを鑑賞させることではなく,原告らを含む女性芸能人の乳房ないしヌードを読者に想像させる(妄想させる)ことを目的とするとみることができる。しかも,本件記事は,全248頁の本件雑誌中の巻末に近いモノクログラビア部分に掲載されたもので,表紙には取り上げられていない上,各原告の肖像等は1頁当たり9名又は10名のうち1名として掲載されるにとどまっている。これらの事情によれば,原告らのファン等が本件記事中の肖像写真を入手するために本件雑誌を購入することがあるとはおよそ考え難い。そうすると,本件記事に原告らの肖像等を無断で使用する行為は,上記①の肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用するものとはいえず,また,上記①以外の理由により専ら原告らの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものと認めることもできない
以上によれば,原告らの肖像等を用いた本件記事を本件雑誌に掲載する行為が原告らのパブリシティ権を侵害するとは認められない。」

4 検討
 確かに,有名人だからこその,妄想ヌードではあるのですが,だからと言ってこれでパブリシティ権侵害にはならないでしょうね。この妄想ヌードだけで写真集なんか出すとまた違うとは思いますが。

 というわけで,パブリシティ権の侵害はないということです。で,損害賠償が認められたということは,人格権侵害の方は認めたということです。
 判旨は,「・・・少なくとも第一印象として原告ら女性芸能人が自らの乳房を露出しているかのような誤解や印象を読者に生じさせる可能性があるものである。このような表現行為が,肖像を無断で利用された女性に強い羞恥心や不快感を抱かせ,その自尊心を傷付けるものであることは明らかである。・・・本件記事は,上記のような加工がされた肖像に,原告ら女性芸能人の芸能活動に関係する性的な表現を含むコメントや,露骨な性的関心事を評価項目とするレーダーチャートが付されたものを複数羅列したものであり,読者の性的な関心をかき立てて原告らの羞恥心等を生じさせるだけでなく,原告ら及びその芸能活動を揶揄することをも目的とするものということができる。・・・」と結構な調子で非難しております。

 あと,損害額は,75万円(人格権侵害ということですので,内訳は慰謝料ということになるのでしょうね。)+弁護士費用5万円で80万円です。

 まあ,しょうがない所です。ただ,判決に大まじめにパイズリとか載っているのには笑いますねえ。ちなみに,パイズリって,竿をおっぱいに挟んで摺動運動するってやつです。いやあ,近頃なかなか巡りあうチャンスがないっちゅうか~♡ですね。

 あと今回の話で,思い出したのは東スポに連載していた(今もしているのかなあ)玉門占いですねえ。今回のは勝手におっぱいを想像するのですが,東スポのやつは,勝手にお○○○を想像するってやつです(さすがに自主規制)。
 はっきり言って,このITだ何だかんだって言っている2015年においては,何と言いましょうか,ほぼ古典芸能ちっくな趣すらありますね。

 どちらも思うのは,これ誰かがマジで読んでるのでしょうか?,一体誰得なの?っていう感想です。

 だって,ネットを探せば今回の記事以上にもっとリアルな,コラージュしたやつとかたくさん出てきますよね。なのに,この記事って,本当中学生レベル~♪しかも昔の。いやあある意味,脱力系ですね。


 そうだそうだ,今回の原告は全部で8人なのですが,記事にされたのは10人のはずです。つまり,2人訴えていないないしは別訴?となっております。
 事務所の方針など色んなことがあるのでしょうね~。

5 追伸
 早くも控訴審での判決がでました。
 知財高裁平成27(ネ)10021号(平成27年8月5日判決)です。

 原告被告とも控訴したらしく,そして両者の控訴棄却だったので,原審のままです。

 ま,それはいいとして,パブリシティ権侵害を否定した箇所で,「一方,本件記事における乳房のイラスト部分は,それ自体としては肖像写真を離れて独立の意義があるとは必ずしもいい難いものの,上記のような目的を踏まえると,コメントやレーダーチャートとともに本件記事における不可欠の要素となっており,これらを単なる添え物と評価することは相当ではない。」とあります。

 つまりは,ある意味,おっぱいの絵があるため,パブリシティ権の侵害じゃないよ~としたのですね。
 すごいぞ,おっぱい~,やるなあ,おっぱい~ああおもしろい~♫

1 何か知財の判決のアップは凍結しちゃいましたね。早い部は,来週から夏休みになると思いますので,もう判決どころじゃないかなあ。

 そうそう,裁判所の夏休みは,20日もあるのです。いいですね~。こんなに夏休みがあるのはあとは学校の先生くらいですよね~。両方に共通している点があります。それは公務員だということです。やっぱ公務員ですかな~。私の高校の同級生も公務員多いもんなあ。
 これからの日本は,公務員になれる階級と公務員になれない階級の二つになると思いますよ。そして,ギリシャのように公務員天国~♪の世の中になるんでしょうな~♡

 さて,そんな当てこすりはいいとして,判決の代わりに小ネタで行きましょう。

2 まずは,商標です。
 例の無効にされたIGZOの標準文字商標を巡って,審決取消訴訟の最初の口頭弁論が開かれたようです。

 私のブログで取り上げたのは,今年の4月のことでした。それから3ヶ月なので,平均的な時間経過ですね。まだお互いの主張を一回ずつくらい述べただけの段階と思われますので,何とも結論はわかりません。でも,それだけなのに,ニュースになるってことはデカイ話ですね。
 
 ただ,勘違いしてほしくないのは,この審決取消訴訟で無効審決を追認することになっても,シャープが標準文字系でのIGZO商標を使うことは止められないってことです。
 ???ハ?ハ?ハ?ってな感じですかね。

 だって,今回の一連の紛争で得られるのは,商標登録が無効になるだけです。しかも,その理由は誰かの商標と同じだからって理由じゃありません。記述的で,識別力がないからっていう理由だけです。ですので,商標登録を失うだけで,使用しちゃならん!っていうわけじゃないのですね。恐らく,シャープに対して,使用しちゃならんと言える人はいないでしょうね。

 まあですので,シャープとしては,このIGZOの標準文字商標が無効となってもそんなに大事じゃありません。構わず使用し続け,いやあもうIGZOと言えばシャープだよね~って識別力が生じたときに(数年後か数十年後かわかりませんが。),もう一回商標登録出願すればよいのです!

 商標制度は,結局商標に化体した信用を保護するもので,創作物を保護する特許制度とは違います。ですので,何度でも何度でもやり直しが効くのですね。

3 次は不正競争防止法です。と来れば,例の名簿の件です。
 新聞などによると,今回は,不正競争防止法21条1項3号ロのようですね。

第二十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
・・・
 営業秘密を保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
・・・
 ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。」

 この罰は結構重いです。少なくとも,ドロボー(物のパクリ)よりも重いです。
 刑法235条の窃盗罪は,「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」というだけです。これよりも罰金の上限額が20倍で,しかも併科される場合があるため,確実に重いです。

 つまり,懲役10年をくらい,その上罰金も1000万円くらう可能性があるのですね。ドロボーの場合,懲役の場合には罰金はありません。勿論,ドロボーした物が1億円の現金だったりしたら,民事上1億円を返さないといけなくなりますが,それはあくまで民事の話ですわな。

 今回,名簿の売買(情報のパクリ)ってえのが実に重い罪だというのが結構色んな人にも分かったのではないでしょうかね。法改正の話もありますが,取り敢えずは実刑で,一罰百戒とするのではないでしょうかね。

4 で,梅雨明けはまだですが,ここ数日非常に蒸し暑い東京です。昨日は,出版記念パーティーと称して,ソニー時代からの友人と飲みに行ったのですが,飲み過ぎと暑さにやられた~って感じです。午前中外出していたのですが,この時期の外出は堪えますな。

 

 
1 本日も判決のアップはないようなので,こんな話題です。

 弁理士会の方から,税関主催の首記のセミナーがあるという連絡が10日ほど前に来たので,早速申し込み,本日行ってきました。

 内容は,
1)税関における知的財産侵害物品取締りの有効性及び権利者の協力(財務省関税局)
2)認定手続及び輸入差止申立て手続に係る基礎知識(東京税関)
が第一部です。
 第二部は,企業と代理人の,いわばユーザー側の税関の輸入差止申立制度ってすごいよね~というサクラというか出来レースの話でした。

2 相変わらず,セミナーの内容自体にはあまり触れませんが,輸入差止申立制度って,俗にいう水際取り締まりのやつで,最初に財務省のキャリアの方も言ってましたが,麻薬とか覚醒剤の取り締まりが有名です。でも,知財の侵害品も同様に違法な品なので,税関の取り締まりもできるというやつです。

 私が代理人をやったのはたった一回きりなので何とも言えませんが,まあうまくハマれば実に良い制度だと思います。

 裁判は本当長くかかりますからね。アメリカのように,普通の訴訟で差止が厳しくなると,差止を求めるにはこういう税関でしか出来なくなるのかもしれません。

3 ほんで,300人を超える出席者だったらしいです。弁理士も多かったでしょう。
 挨拶に立った弁理士会の副会長は,裏で総会やっているのに,皆さん勉強熱心ですね,と皮肉を言ってとっとと総会に戻ってしまいました。

 まあ総会も重要ですが,こういう実際にやる所が,その実際の場所でセミナーを開くなんてあんまりないですから,人気があったのだと思います(青海の東京税関の大きな会議室での開催でした。)。

 ただ,2つほど苦言を。税関長の挨拶は無駄に長すぎ~。いい歳をこいたおっさんの話は何故あんなに長いのですかねえ。

 以前,弁護士の同期の結婚式に呼ばれたとき,相手も弁護士だったもんだから,お互いの上司が双方30分づつも下らねえ話をして(乾杯前に~),1時間後に漸く乾杯と思ったら,今度は乾杯の音頭をとるおっさんも,また15分位話されたときがありましたねえ。
 本当,このバカ3名をビール瓶でぶん殴ってやろうかと思いましたが,一応私も弁護士なもんで,それはやめておきました。

 あと,今日の東京はまたまた暑かったのですが,だからと言ってクーラーを効かせすぎ。まだ5月なんだから,そこそこでいいですよ。無駄なことはしないに限ります。

 ま,全体としては悪くはありませんし,東京税関の本庁みたいな所に行けたのは良かったですよ。
1 これは,今日の日経の朝刊の法務面の特集ですね。

 内容は,「山口大学は全学部で入門講座を必修とし」た件を鏑矢として,様々な大学や院で,知財の講義が活発になっているということですね。

 まあこれに関しては,実際の企業の知財部から,カネカの知的財産部上席幹部,セイコーエプソンの常務知的財産本部長らが積極,他方,旭化成の研究・開発本部知的財産部長は,消極のコメントを寄せておりました。

 個人的にはどっちでもいいと思いますね。大学の所謂般教の1つとして,カリキュラムがあり,そういうものを選択できるようにすることまでを否定する人はいないでしょう。
 さらに,山口大学のように全学部での必修化とまでとなると議論があるかもしれません。私は,理系の学部出身なので,その観点から言わせてもらうと,もっと大事な事がいくらでもあると思いますね。

 若いうちに,何を勉強するか,それは歳をとるとキツイなあと思えるようなものをやっておいた方がいいと思います。自然科学はその典型でしょう。
 数式を追うのは歳をとるときつくなります。そりゃ,大学の先生や研究職で,毎日毎日数式を追っている人達は,歳をとっても何てことは無いでしょうが,いくら理系出身とは言え,数式を追うのはキツイですよ~。ましてや理系出身じゃなきゃ,って所です。

 ところが,ある重要な仕事にとって数式を追ったりするのが必要な場合もあります。世の中には,数学を学んで何になるんだろうと思う人も多いと聞きますが,そりゃ,あんたのレベルじゃ数学は必要ないだろうな~♪と答えるしかありません。
 そうすると,逆に,数式を追える仕事があるというのはそれなりのレベルの話です。そのときに,きちんと追えるかどうかはやはり若いうちの経験がモノを言うんじゃないですかね。

 他方,知財の話なんて,いくつになっても学べるもので,自然科学に比べりゃ随分敷居の低い話です。34歳で弁理士に受かった私が言うのですから間違いありません。
 そうそう,物理とか数学とかに比べると,特許法もそうですが,法律は随分簡単ですよ。ムフフフ。

2 日経の記事では,中国の特許出願数が急増しているから,それに対抗するには~みたいな論調ですが,中国の特許出願数の急増って,別に知財の人材育成が大成功したからじゃないですよね。

 そう,何か勘違いしていませんか~人材育成をいくらやろうが,そんなんで知財立国なんてなるわけねーじゃん。馬鹿かって感じですよ。

 人材育成の話は,法科大学院と同様,そこに利権のある奴等が,俺の所に来ると給料が上がるよ~良い生活できまっせ~ボクの言うこと聞くと売上が伸びるよ~この御札を買うと悪霊が退散できるよ~これを飲むと腰痛が治るよ~と言ってるだけで,何の裏付けもありません。

 どこの大学でもどこの大学院でもいいんだけど,講義を受ける前,平均の給料が**円だったのが,講義を受けた後,**円に上がっとかさ~具体的なデータ出せないのかなあ。
 今のままじゃ,このお祓いを受けないと災いが起こりまっせ~ていうインチキコンサルと変わらねーじゃねーの。

 下らねえことに金使うんだったら,ソープでも行った方がいいと思いますね~。ああこりゃこりゃ。
1 ということで,予告とおり,年度が変わって,紹介判決のまとめの時期となりました。別段忙しかったわけじゃないのですが,昨年と同時期くらいになってしまいました。まあしょうがないですね。色々あるのです。

2 さて,今年も去年同様,統計データから入ります。

 何と昨年度の紹介判決は64件でした。結構な量ですね。平均すると週に1件以上,判決を読んでときには明細書まで読んで~ということですので,いかに私が暇だったかわかります。確定申告がイマイチだったのも,しょうがない所ですね。ま,いいか。

 ほんで特許は40件で一番多いです。地裁の判決が6件,知財高裁の控訴審が3件,審決取消訴訟が30件で,その他が1件でした。さらに,審決取消訴訟のうち,進歩性が16件,記載要件が7件でした。やっぱ進歩性が多いですね~。

 商標は12件でした。地裁が4件,高裁の控訴審は0件,審決取消訴訟が8件でした。

 意匠は相変わらず0件です。

 著作権は,4件で,地裁の本案が3件で,保全が1件でした。

 不正競争防止法は,今年は3件もあり,どれも地裁のものでした。
 
 最高裁は,5件でした。どれも知財じゃありません。

 で,この64件のうち,独断と偏見でベスト3~と言いたいところですが,紹介判決が多いので,ベスト5+次点2つにしました。

3 まず,次点その1です。
 不正競争防止法の平成23(ワ)28857号(東京地裁平成25年7月19日判決)追伸ありにしました。
 この事件は平たく言うと,電動こけし事件というわけです。ほんで今年の2月に控訴審の判断もありました。こういうのを判決の発表会でやるとやっぱセクハラになるんですかねえ。

 イ号物件をちょっと試してみましょうか~,そこの若手の女性の先生パンツ脱いでささこちらへ~どうですか~ちょっと下の毛の処理がイマイチなので,うまく入りませんネ~なんてやるとこりゃセクハラ?つーかセクハラ以上ですね。
 そのうち,形態模倣の案件で,アナルプラグとかラッキーホールとか出てくるのかなあ。面白そうだけど,キテレツな世界だなあ。

 ということで,イ号と形態が面白かったので,一応次点。でもそれ以上じゃないので,次点とまりです。

 で,次点その2です。
 特許の平成24(行ケ)10306号(知財高裁平成25年07月18日判決)です。打って変わって,固い感じです。で,これは国内優先権の効果が認められる要件が問題になったわけです。
 こういうのって,補正・訂正・分割の例の新たな技術的事項~の規範か,記載された発明,つまりは公知文献,サポート要件でよく使われる規範のどちらか?一応気になりますが,今回は後者だとしたわけです。

 さて,いよいよベスト5です。
 5位です。
 商標の平成25年(行ケ)10158号(知財高裁平成25年12月17日判決)レディ・ガガ事件にしました。やはり,世間的にも有名だし,昔良かったのに今はダメ,今後もこういう事件がたくさん出るだろうけど,どうするんだろう,という所が気になったからです。でも気になっただけなので,5位です。

 続いて4位です。
 またまた商標の平成25年(行ケ)10256号(知財高裁平成26年01月29日)です。エコルクス事件ですね。これは切ないというか,ミスったというか,兎に角企業の商標担当者は,必見の事件です。自信があるのは程々にしておいた方がいいよという話です。いやあアイリスオーヤマには粛清の嵐が吹き荒れたのではないかと戦々恐々としちゃいますね。

 ほんでベスト3,3位です。
 最高裁から,最高裁平成25年6月6日判決(平成24(受)349号)を選びました。これは,明示の一部請求で,残部の扱い(消滅時効)はどうなるのかという,民法というか民事訴訟法で有名な論点の判示があるものです。しかも,これは知財にも関係があり,特に職務発明の相当対価請求訴訟で問題になったりするから,載せました。
 どういうことかというと,やっぱ発明者って個人のことが多いので,印紙代とか大変なのですね。だから,大きな請求でもOKそうだとなってから,請求を拡張したり,別訴を提起したりしたいわけです。ところが,大きな請求がOKそうという判断には結構時間がかかったりします。ただでさえ職務発明の相当対価請求訴訟は消滅時効でアウトの事が多いのに,明示の一部請求をしていて残部の請求の要件が厳しいと,無理して印紙代を出さないといけなくなったりします。そのときの論点に一応の決着がついたので良かった良かったということでしょうね。

 2位です。
 またまた商標で平成25年(行ケ)10226号(知財高裁平成26年03月13日判決)のカムイ事件です。何と言っても,法改正後初めて(恐らく)商標法56条1項で準用する特許法167条の「同一の事実及び同一の証拠」の解釈が問題になった事件だったので,取り上げました。
 法改正前は,この要件は厳格に解釈して,特許法167条はなるべく適用されないようにしていたようです。ところが,法改正後は,第三者を縛ることはありませんので,逆に変な当事者の変な再アタックを防ぐため,どんどん適用しよう,緩やかに解釈しようという雰囲気になったわけです。この判決も飯村さんの合議体ですが,そんな雰囲気が現れております。

 で,いよいよ1位です。何でしょうかね?!
 特許から,平成25年(行ケ)10163号(知財高裁平成26年01月30日 判決)を選びました。おめでとうございます~。
 何と言っても,この事件の審決,引用発明の認定にあたって,本願発明の明細書の記載から認定したのです。すごいでしょ。
 ほんで,当然,訴訟で取り消されたのです。これは無効審判の取消訴訟だったので,審決で勝った請求人(東芝ホームアプライアンス)も,いやあこりゃまずい勝ち方だなあと思ったに違いありません。仮に思わなかったとしたら,バカです。
 しかし,特許庁の審判合議体,何か悪いものでも食ったか,どうしたんでしょうね。今回,これを1位にしたのは,猛省してもらうためです。実は,この判決以外にも,変な事実認定が相次いで見られました。

 昨年1年は,特許でこれは画期的!というような判決はなく,どれも小粒だったのですが,気になるのは,特許庁の変テコぶりです。審判官のレベルが落ちているのか,それとも外注に出している先行技術調査の質が悪いのか,ちょっとどちらかわかりませんが,週刊ダイヤモンドの特集の働きがいのある官庁という記事で,非常に高ランキングに居たっていうのに,奢りじゃありませんかね(こんなのまでよく見てるでしょ。)。

 兎に角,特許庁には今年一年褌を締め直してもらわないと困ります。このブログにもめちゃくちゃしょっちゅう見に来ているのはバレバレなのですから,本当,技監とか審判部長クラスにはよく言っておいてください。長官は1年で変わるので,どうでもいいですが。

 いやあちょっと残念というか,そういう結果になりましたが,今年度はどんな判決を紹介できるでしょうかね。さすがに今年は去年並の数はなるべく避けたいなあ,少しは仕事もしてえなあということではありますが,果たしてどうなりますやら。

4 追伸
 ということで,恒例の桜です。

 まずはいつものイマジカ前。いやあ結構散ってますね~。残骸って感じです。ただ,目黒川沿いも場所によって木によっては残っているものもあります。


 かなり海側です。この辺はまだ残っていますね。


 続いて,これです。某会社の元の本社ビルです。もう建物収去土地明渡に入っているかどうかわかりませんが,こんな工事用の覆いがされております。ただ,中に社員が出たり入ったりしてましたので,本格的な撤去工事はもうしばらく後でしょうね。


 4号館とか3号館とかようわからんというあなたには,この案内地図をどうぞ。これも4号館の端っこにあるので,そのうち無くなるんでしょうね。
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