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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,被告会社(株式会社日本ジャーナル出版)が,原告らの肖像写真に裸の胸部(乳房)のイラストを合成した画像を用いた記事(本件記事)を掲載した本件雑誌(週刊実話,平成25年11月21日号)を出版し,販売したことについて,原告らが,原告らのパブリシティ権並びに人格権及び人格的利益が侵害されたと主張して,(1) 被告会社に対し,本件雑誌の印刷及び販売の差止め並びに廃棄を,(2) 被告会社,その代表取締役であった被告I(被告代表者),発行人である被告J(被告発行人)及び編集人である被告K(被告編集人)に対し,被告発行人及び被告編集人につき民法709条,被告代表者につき民法709条又は会社法429条1項,被告会社につき民法709条,715条又は会社法350条に基づく損害賠償金並びにこれに対する不法行為の後の日である平成25年11月8日(本件雑誌の販売開始日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案です。

 これに対して,東京地裁民事46部(長谷川さんの合議体ですね。)は,会社と発行人と編集者に,原告一人につき80万円の支払いの限度で請求を認容しました。

 先週,ちょっと話題になった例の女性芸能人の妄想ヌードの事件の判決ですね。

 知財って,固くって高尚~みたいなイメージがあるのかもしれませんが,結構やわらかい所もあります。所謂大人のおもちゃの形態が,不競法上の形態模倣かどうか話題になった事件なんて,記憶に新しい所じゃないですかね。

 今回は,上記のとおり,有名な女性芸能人の肖像に,恐らく,フォトショップで加工して,胸の部分が透けるような工夫を施し,そこにイラストレーターかだれかがおっぱいを書き込むというような感じですね。
 ま,はっきり言って,中学生がやるようなレベル(思い起こせばその頃私もやったような~)ですわな。

 しかし,こりゃ,何だか脱線必至の内容ですね。

2 問題点
 原告側は,パブリシティ権とともに,人格権的なものでも請求していますが,ここは知財メインなので,パブリシティ権の話メインで行きましょう。

 で,パブリシティ権って何?ていう話ですが,よくわかりません。だって,法律に,これがパブリシティ権だという風に書いているわけではないですからね。
 最大公約数的にいうと,名前とか肖像とかの持っている経済的な利益を独占的に利用できる権利のことをいうようです。

 で,物の場合,問題になったのが,ギャロップレーサー事件ってやつです。ゲームソフトに実在する競走馬の名前を何の許諾もなく使ったので,馬主のおっちゃんらが怒ってゲームソフトの販売差止等を請求した事件です(最高裁平成16年2月13日判決)。

 これはご存知のとおり,
「 (1) 1審原告らは,本件各競走馬を所有し,又は所有していた者であるが,競走馬等の物の所有権は,その物の有体物としての面に対する排他的支配権能であるにとどまり,その物の名称等の無体物としての面を直接排他的に支配する権能に及ぶものではないから,第三者が,競走馬の有体物としての面に対する所有者の排他的支配権能を侵すことなく,競走馬の名称等が有する顧客吸引力などの競走馬の無体物としての面における経済的価値を利用したとしても,その利用行為は,競走馬の所有権を侵害するものではないと解すべきである(最高裁昭和58年(オ)第171号同59年1月20日第二小法廷判決・民集38巻1号1頁参照)。本件においては,前記事実関係によれば,1審被告は,本件各ゲームソフトを製作,販売したにとどまり,本件各競走馬の有体物としての面に対する1審原告らの所有権に基づく排他的支配権能を侵したものではないことは明らかであるから,1審被告の上記製作,販売行為は,1審原告らの本件各競走馬に対する所有権を侵害するものではないというべきである。
 (2) 現行法上,物の名称の使用など,物の無体物としての面の利用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。
 【要旨】上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。したがって,本件において,差止め又は不法行為の成立を肯定することはできない。」という判示のやつです。

 ま,つまりは,物の場合のパブリシティ権を否定したものと解されております。
 
 他方,人の場合は?というと,これもご存知,ピンクレディー事件です。
 これは昔,ピンクレディーが撮影を許諾した写真が,ある雑誌にピンクレディーダイエットみたいに記事に流用されたことについて,ピンクレディーがやめんかこらっとした事件ですね(最高裁平成24年2月2日判決

 で,これもご存知のとおり,
「3(1) 人の氏名,肖像等(以下,併せて「肖像等」という。)は,個人の人格の象徴であるから,当該個人は,人格権に由来するものとして,これをみだりに利用されない権利を有すると解される(氏名につき,最高裁昭和58年(オ)第1311号同63年2月16日第三小法廷判決・民集42巻2号27頁,肖像につき,最高裁昭和40年(あ)第1187号同44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁,最高裁平成15年(受)第281号同17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁各参照)。そして,肖像等は,商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり,このような顧客吸引力を排他的に利用する権利(以下「パブリシティ権」という。)は,肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから,上記の人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる。他方,肖像等に顧客吸引力を有する者は,社会の耳目を集めるなどして,その肖像等を時事報道,論説,創作物等に使用されることもあるのであって,その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるというべきである。そうすると,肖像等を無断で使用する行為は,①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し,③肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に,パブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となると解するのが相当である。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,上告人らは,昭和50年代に子供から大人に至るまで幅広く支持を受け,その当時,その曲の振り付けをまねることが全国的に流行したというのであるから,本件各写真の上告人らの肖像は,顧客吸引力を有するものといえる。
 しかしながら,前記事実関係によれば,本件記事の内容は,ピンク・レディーそのものを紹介するものではなく,前年秋頃に流行していたピンク・レディーの曲の振り付けを利用したダイエット法につき,その効果を見出しに掲げ,イラストと文字によって,これを解説するとともに,子供の頃にピンク・レディーの曲の振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するというものである。そして,本件記事に使用された本件各写真は,約200頁の本件雑誌全体の3頁の中で使用されたにすぎない上,いずれも白黒写真であって,その大きさも,縦2.8㎝,横3.6㎝ないし縦8㎝,横10㎝程度のものであったというのである。これらの事情に照らせば,本件各写真は,上記振り付けを利用したダイエット法を解説し,これに付随して子供の頃に上記振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するに当たって,読者の記憶を喚起するなど,本件記事の内容を補足する目的で使用されたものというべきである。
 したがって,被上告人が本件各写真を上告人らに無断で本件雑誌に掲載する行為は,専ら上告人らの肖像の有する顧客吸引力の利用を目的とするものとはいえず,不法行為法上違法であるということはできない。」

 これを見ると,人のパブリシティ権の定義があります。そして,それは人格権由来のものだという判示があります。ただ,そうは言うものの受忍すべきときもあるとされ,最高裁は,3つの類型の場合のみ,パブリシティ権の侵害だと言っているように思えますね。

 まあ,それは妥当な所なのじゃないでしょうか。
 有名人って雑誌を初めとしたマスコミに,タダで宣伝してもらうようなときもあるわけですよね。新しい,ドラマ,映画ができました~,レコード,シングル,アルバムができました~,こんな写真集を出しました~などなどです。
 とすると,都合のいいときの,タダでの宣伝は見逃して,都合の悪いような記事を書かれた際にはクレームをつけるっちゅうんじゃあ,そりゃあどうなの?って感じですからね。世の中の99%はプロレスなのです,お互い持ちつ持たれつなのです。

 ですので,今回のパブリシティ権に関しても,上記の最高裁の3つのパターンのどれかに入ってないと,そりゃ無理ってやつです。

3 判旨
「(1) 個人の氏名,肖像等(以下,併せて「肖像等」という。)を無断で使用する行為は,① 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する,② 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する,③ 肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とすると認められる場合に,パブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となると解される(最高裁平成24年2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁参照)。
 原告らは,本件記事は肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用するもの(上記①)であり,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするから,パブリシティ権の侵害となる旨主張する。
(2) そこで判断するに,本件記事は,幅広く芸能活動を行って広く知られた原告らの肖像等を用いたものであるが,前記前提事実(2)及び(3)のとおり,裸の胸部のイラストを合成し,性的な表現を含むコメント等を付したものであり,肖像等そのものを鑑賞させることではなく,原告らを含む女性芸能人の乳房ないしヌードを読者に想像させる(妄想させる)ことを目的とするとみることができる。しかも,本件記事は,全248頁の本件雑誌中の巻末に近いモノクログラビア部分に掲載されたもので,表紙には取り上げられていない上,各原告の肖像等は1頁当たり9名又は10名のうち1名として掲載されるにとどまっている。これらの事情によれば,原告らのファン等が本件記事中の肖像写真を入手するために本件雑誌を購入することがあるとはおよそ考え難い。そうすると,本件記事に原告らの肖像等を無断で使用する行為は,上記①の肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用するものとはいえず,また,上記①以外の理由により専ら原告らの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするものと認めることもできない
以上によれば,原告らの肖像等を用いた本件記事を本件雑誌に掲載する行為が原告らのパブリシティ権を侵害するとは認められない。」

4 検討
 確かに,有名人だからこその,妄想ヌードではあるのですが,だからと言ってこれでパブリシティ権侵害にはならないでしょうね。この妄想ヌードだけで写真集なんか出すとまた違うとは思いますが。

 というわけで,パブリシティ権の侵害はないということです。で,損害賠償が認められたということは,人格権侵害の方は認めたということです。
 判旨は,「・・・少なくとも第一印象として原告ら女性芸能人が自らの乳房を露出しているかのような誤解や印象を読者に生じさせる可能性があるものである。このような表現行為が,肖像を無断で利用された女性に強い羞恥心や不快感を抱かせ,その自尊心を傷付けるものであることは明らかである。・・・本件記事は,上記のような加工がされた肖像に,原告ら女性芸能人の芸能活動に関係する性的な表現を含むコメントや,露骨な性的関心事を評価項目とするレーダーチャートが付されたものを複数羅列したものであり,読者の性的な関心をかき立てて原告らの羞恥心等を生じさせるだけでなく,原告ら及びその芸能活動を揶揄することをも目的とするものということができる。・・・」と結構な調子で非難しております。

 あと,損害額は,75万円(人格権侵害ということですので,内訳は慰謝料ということになるのでしょうね。)+弁護士費用5万円で80万円です。

 まあ,しょうがない所です。ただ,判決に大まじめにパイズリとか載っているのには笑いますねえ。ちなみに,パイズリって,竿をおっぱいに挟んで摺動運動するってやつです。いやあ,近頃なかなか巡りあうチャンスがないっちゅうか~♡ですね。

 あと今回の話で,思い出したのは東スポに連載していた(今もしているのかなあ)玉門占いですねえ。今回のは勝手におっぱいを想像するのですが,東スポのやつは,勝手にお○○○を想像するってやつです(さすがに自主規制)。
 はっきり言って,このITだ何だかんだって言っている2015年においては,何と言いましょうか,ほぼ古典芸能ちっくな趣すらありますね。

 どちらも思うのは,これ誰かがマジで読んでるのでしょうか?,一体誰得なの?っていう感想です。

 だって,ネットを探せば今回の記事以上にもっとリアルな,コラージュしたやつとかたくさん出てきますよね。なのに,この記事って,本当中学生レベル~♪しかも昔の。いやあある意味,脱力系ですね。


 そうだそうだ,今回の原告は全部で8人なのですが,記事にされたのは10人のはずです。つまり,2人訴えていないないしは別訴?となっております。
 事務所の方針など色んなことがあるのでしょうね~。

5 追伸
 早くも控訴審での判決がでました。
 知財高裁平成27(ネ)10021号(平成27年8月5日判決)です。

 原告被告とも控訴したらしく,そして両者の控訴棄却だったので,原審のままです。

 ま,それはいいとして,パブリシティ権侵害を否定した箇所で,「一方,本件記事における乳房のイラスト部分は,それ自体としては肖像写真を離れて独立の意義があるとは必ずしもいい難いものの,上記のような目的を踏まえると,コメントやレーダーチャートとともに本件記事における不可欠の要素となっており,これらを単なる添え物と評価することは相当ではない。」とあります。

 つまりは,ある意味,おっぱいの絵があるため,パブリシティ権の侵害じゃないよ~としたのですね。
 すごいぞ,おっぱい~,やるなあ,おっぱい~ああおもしろい~♫

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1 何か知財の判決のアップは凍結しちゃいましたね。早い部は,来週から夏休みになると思いますので,もう判決どころじゃないかなあ。

 そうそう,裁判所の夏休みは,20日もあるのです。いいですね~。こんなに夏休みがあるのはあとは学校の先生くらいですよね~。両方に共通している点があります。それは公務員だということです。やっぱ公務員ですかな~。私の高校の同級生も公務員多いもんなあ。
 これからの日本は,公務員になれる階級と公務員になれない階級の二つになると思いますよ。そして,ギリシャのように公務員天国~♪の世の中になるんでしょうな~♡

 さて,そんな当てこすりはいいとして,判決の代わりに小ネタで行きましょう。

2 まずは,商標です。
 例の無効にされたIGZOの標準文字商標を巡って,審決取消訴訟の最初の口頭弁論が開かれたようです。

 私のブログで取り上げたのは,今年の4月のことでした。それから3ヶ月なので,平均的な時間経過ですね。まだお互いの主張を一回ずつくらい述べただけの段階と思われますので,何とも結論はわかりません。でも,それだけなのに,ニュースになるってことはデカイ話ですね。
 
 ただ,勘違いしてほしくないのは,この審決取消訴訟で無効審決を追認することになっても,シャープが標準文字系でのIGZO商標を使うことは止められないってことです。
 ???ハ?ハ?ハ?ってな感じですかね。

 だって,今回の一連の紛争で得られるのは,商標登録が無効になるだけです。しかも,その理由は誰かの商標と同じだからって理由じゃありません。記述的で,識別力がないからっていう理由だけです。ですので,商標登録を失うだけで,使用しちゃならん!っていうわけじゃないのですね。恐らく,シャープに対して,使用しちゃならんと言える人はいないでしょうね。

 まあですので,シャープとしては,このIGZOの標準文字商標が無効となってもそんなに大事じゃありません。構わず使用し続け,いやあもうIGZOと言えばシャープだよね~って識別力が生じたときに(数年後か数十年後かわかりませんが。),もう一回商標登録出願すればよいのです!

 商標制度は,結局商標に化体した信用を保護するもので,創作物を保護する特許制度とは違います。ですので,何度でも何度でもやり直しが効くのですね。

3 次は不正競争防止法です。と来れば,例の名簿の件です。
 新聞などによると,今回は,不正競争防止法21条1項3号ロのようですね。

第二十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
・・・
 営業秘密を保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
・・・
 ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。」

 この罰は結構重いです。少なくとも,ドロボー(物のパクリ)よりも重いです。
 刑法235条の窃盗罪は,「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」というだけです。これよりも罰金の上限額が20倍で,しかも併科される場合があるため,確実に重いです。

 つまり,懲役10年をくらい,その上罰金も1000万円くらう可能性があるのですね。ドロボーの場合,懲役の場合には罰金はありません。勿論,ドロボーした物が1億円の現金だったりしたら,民事上1億円を返さないといけなくなりますが,それはあくまで民事の話ですわな。

 今回,名簿の売買(情報のパクリ)ってえのが実に重い罪だというのが結構色んな人にも分かったのではないでしょうかね。法改正の話もありますが,取り敢えずは実刑で,一罰百戒とするのではないでしょうかね。

4 で,梅雨明けはまだですが,ここ数日非常に蒸し暑い東京です。昨日は,出版記念パーティーと称して,ソニー時代からの友人と飲みに行ったのですが,飲み過ぎと暑さにやられた~って感じです。午前中外出していたのですが,この時期の外出は堪えますな。

 

 
1 本日も判決のアップはないようなので,こんな話題です。

 弁理士会の方から,税関主催の首記のセミナーがあるという連絡が10日ほど前に来たので,早速申し込み,本日行ってきました。

 内容は,
1)税関における知的財産侵害物品取締りの有効性及び権利者の協力(財務省関税局)
2)認定手続及び輸入差止申立て手続に係る基礎知識(東京税関)
が第一部です。
 第二部は,企業と代理人の,いわばユーザー側の税関の輸入差止申立制度ってすごいよね~というサクラというか出来レースの話でした。

2 相変わらず,セミナーの内容自体にはあまり触れませんが,輸入差止申立制度って,俗にいう水際取り締まりのやつで,最初に財務省のキャリアの方も言ってましたが,麻薬とか覚醒剤の取り締まりが有名です。でも,知財の侵害品も同様に違法な品なので,税関の取り締まりもできるというやつです。

 私が代理人をやったのはたった一回きりなので何とも言えませんが,まあうまくハマれば実に良い制度だと思います。

 裁判は本当長くかかりますからね。アメリカのように,普通の訴訟で差止が厳しくなると,差止を求めるにはこういう税関でしか出来なくなるのかもしれません。

3 ほんで,300人を超える出席者だったらしいです。弁理士も多かったでしょう。
 挨拶に立った弁理士会の副会長は,裏で総会やっているのに,皆さん勉強熱心ですね,と皮肉を言ってとっとと総会に戻ってしまいました。

 まあ総会も重要ですが,こういう実際にやる所が,その実際の場所でセミナーを開くなんてあんまりないですから,人気があったのだと思います(青海の東京税関の大きな会議室での開催でした。)。

 ただ,2つほど苦言を。税関長の挨拶は無駄に長すぎ~。いい歳をこいたおっさんの話は何故あんなに長いのですかねえ。

 以前,弁護士の同期の結婚式に呼ばれたとき,相手も弁護士だったもんだから,お互いの上司が双方30分づつも下らねえ話をして(乾杯前に~),1時間後に漸く乾杯と思ったら,今度は乾杯の音頭をとるおっさんも,また15分位話されたときがありましたねえ。
 本当,このバカ3名をビール瓶でぶん殴ってやろうかと思いましたが,一応私も弁護士なもんで,それはやめておきました。

 あと,今日の東京はまたまた暑かったのですが,だからと言ってクーラーを効かせすぎ。まだ5月なんだから,そこそこでいいですよ。無駄なことはしないに限ります。

 ま,全体としては悪くはありませんし,東京税関の本庁みたいな所に行けたのは良かったですよ。
1 これは,今日の日経の朝刊の法務面の特集ですね。

 内容は,「山口大学は全学部で入門講座を必修とし」た件を鏑矢として,様々な大学や院で,知財の講義が活発になっているということですね。

 まあこれに関しては,実際の企業の知財部から,カネカの知的財産部上席幹部,セイコーエプソンの常務知的財産本部長らが積極,他方,旭化成の研究・開発本部知的財産部長は,消極のコメントを寄せておりました。

 個人的にはどっちでもいいと思いますね。大学の所謂般教の1つとして,カリキュラムがあり,そういうものを選択できるようにすることまでを否定する人はいないでしょう。
 さらに,山口大学のように全学部での必修化とまでとなると議論があるかもしれません。私は,理系の学部出身なので,その観点から言わせてもらうと,もっと大事な事がいくらでもあると思いますね。

 若いうちに,何を勉強するか,それは歳をとるとキツイなあと思えるようなものをやっておいた方がいいと思います。自然科学はその典型でしょう。
 数式を追うのは歳をとるときつくなります。そりゃ,大学の先生や研究職で,毎日毎日数式を追っている人達は,歳をとっても何てことは無いでしょうが,いくら理系出身とは言え,数式を追うのはキツイですよ~。ましてや理系出身じゃなきゃ,って所です。

 ところが,ある重要な仕事にとって数式を追ったりするのが必要な場合もあります。世の中には,数学を学んで何になるんだろうと思う人も多いと聞きますが,そりゃ,あんたのレベルじゃ数学は必要ないだろうな~♪と答えるしかありません。
 そうすると,逆に,数式を追える仕事があるというのはそれなりのレベルの話です。そのときに,きちんと追えるかどうかはやはり若いうちの経験がモノを言うんじゃないですかね。

 他方,知財の話なんて,いくつになっても学べるもので,自然科学に比べりゃ随分敷居の低い話です。34歳で弁理士に受かった私が言うのですから間違いありません。
 そうそう,物理とか数学とかに比べると,特許法もそうですが,法律は随分簡単ですよ。ムフフフ。

2 日経の記事では,中国の特許出願数が急増しているから,それに対抗するには~みたいな論調ですが,中国の特許出願数の急増って,別に知財の人材育成が大成功したからじゃないですよね。

 そう,何か勘違いしていませんか~人材育成をいくらやろうが,そんなんで知財立国なんてなるわけねーじゃん。馬鹿かって感じですよ。

 人材育成の話は,法科大学院と同様,そこに利権のある奴等が,俺の所に来ると給料が上がるよ~良い生活できまっせ~ボクの言うこと聞くと売上が伸びるよ~この御札を買うと悪霊が退散できるよ~これを飲むと腰痛が治るよ~と言ってるだけで,何の裏付けもありません。

 どこの大学でもどこの大学院でもいいんだけど,講義を受ける前,平均の給料が**円だったのが,講義を受けた後,**円に上がっとかさ~具体的なデータ出せないのかなあ。
 今のままじゃ,このお祓いを受けないと災いが起こりまっせ~ていうインチキコンサルと変わらねーじゃねーの。

 下らねえことに金使うんだったら,ソープでも行った方がいいと思いますね~。ああこりゃこりゃ。
1 ということで,予告とおり,年度が変わって,紹介判決のまとめの時期となりました。別段忙しかったわけじゃないのですが,昨年と同時期くらいになってしまいました。まあしょうがないですね。色々あるのです。

2 さて,今年も去年同様,統計データから入ります。

 何と昨年度の紹介判決は64件でした。結構な量ですね。平均すると週に1件以上,判決を読んでときには明細書まで読んで~ということですので,いかに私が暇だったかわかります。確定申告がイマイチだったのも,しょうがない所ですね。ま,いいか。

 ほんで特許は40件で一番多いです。地裁の判決が6件,知財高裁の控訴審が3件,審決取消訴訟が30件で,その他が1件でした。さらに,審決取消訴訟のうち,進歩性が16件,記載要件が7件でした。やっぱ進歩性が多いですね~。

 商標は12件でした。地裁が4件,高裁の控訴審は0件,審決取消訴訟が8件でした。

 意匠は相変わらず0件です。

 著作権は,4件で,地裁の本案が3件で,保全が1件でした。

 不正競争防止法は,今年は3件もあり,どれも地裁のものでした。
 
 最高裁は,5件でした。どれも知財じゃありません。

 で,この64件のうち,独断と偏見でベスト3~と言いたいところですが,紹介判決が多いので,ベスト5+次点2つにしました。

3 まず,次点その1です。
 不正競争防止法の平成23(ワ)28857号(東京地裁平成25年7月19日判決)追伸ありにしました。
 この事件は平たく言うと,電動こけし事件というわけです。ほんで今年の2月に控訴審の判断もありました。こういうのを判決の発表会でやるとやっぱセクハラになるんですかねえ。

 イ号物件をちょっと試してみましょうか~,そこの若手の女性の先生パンツ脱いでささこちらへ~どうですか~ちょっと下の毛の処理がイマイチなので,うまく入りませんネ~なんてやるとこりゃセクハラ?つーかセクハラ以上ですね。
 そのうち,形態模倣の案件で,アナルプラグとかラッキーホールとか出てくるのかなあ。面白そうだけど,キテレツな世界だなあ。

 ということで,イ号と形態が面白かったので,一応次点。でもそれ以上じゃないので,次点とまりです。

 で,次点その2です。
 特許の平成24(行ケ)10306号(知財高裁平成25年07月18日判決)です。打って変わって,固い感じです。で,これは国内優先権の効果が認められる要件が問題になったわけです。
 こういうのって,補正・訂正・分割の例の新たな技術的事項~の規範か,記載された発明,つまりは公知文献,サポート要件でよく使われる規範のどちらか?一応気になりますが,今回は後者だとしたわけです。

 さて,いよいよベスト5です。
 5位です。
 商標の平成25年(行ケ)10158号(知財高裁平成25年12月17日判決)レディ・ガガ事件にしました。やはり,世間的にも有名だし,昔良かったのに今はダメ,今後もこういう事件がたくさん出るだろうけど,どうするんだろう,という所が気になったからです。でも気になっただけなので,5位です。

 続いて4位です。
 またまた商標の平成25年(行ケ)10256号(知財高裁平成26年01月29日)です。エコルクス事件ですね。これは切ないというか,ミスったというか,兎に角企業の商標担当者は,必見の事件です。自信があるのは程々にしておいた方がいいよという話です。いやあアイリスオーヤマには粛清の嵐が吹き荒れたのではないかと戦々恐々としちゃいますね。

 ほんでベスト3,3位です。
 最高裁から,最高裁平成25年6月6日判決(平成24(受)349号)を選びました。これは,明示の一部請求で,残部の扱い(消滅時効)はどうなるのかという,民法というか民事訴訟法で有名な論点の判示があるものです。しかも,これは知財にも関係があり,特に職務発明の相当対価請求訴訟で問題になったりするから,載せました。
 どういうことかというと,やっぱ発明者って個人のことが多いので,印紙代とか大変なのですね。だから,大きな請求でもOKそうだとなってから,請求を拡張したり,別訴を提起したりしたいわけです。ところが,大きな請求がOKそうという判断には結構時間がかかったりします。ただでさえ職務発明の相当対価請求訴訟は消滅時効でアウトの事が多いのに,明示の一部請求をしていて残部の請求の要件が厳しいと,無理して印紙代を出さないといけなくなったりします。そのときの論点に一応の決着がついたので良かった良かったということでしょうね。

 2位です。
 またまた商標で平成25年(行ケ)10226号(知財高裁平成26年03月13日判決)のカムイ事件です。何と言っても,法改正後初めて(恐らく)商標法56条1項で準用する特許法167条の「同一の事実及び同一の証拠」の解釈が問題になった事件だったので,取り上げました。
 法改正前は,この要件は厳格に解釈して,特許法167条はなるべく適用されないようにしていたようです。ところが,法改正後は,第三者を縛ることはありませんので,逆に変な当事者の変な再アタックを防ぐため,どんどん適用しよう,緩やかに解釈しようという雰囲気になったわけです。この判決も飯村さんの合議体ですが,そんな雰囲気が現れております。

 で,いよいよ1位です。何でしょうかね?!
 特許から,平成25年(行ケ)10163号(知財高裁平成26年01月30日 判決)を選びました。おめでとうございます~。
 何と言っても,この事件の審決,引用発明の認定にあたって,本願発明の明細書の記載から認定したのです。すごいでしょ。
 ほんで,当然,訴訟で取り消されたのです。これは無効審判の取消訴訟だったので,審決で勝った請求人(東芝ホームアプライアンス)も,いやあこりゃまずい勝ち方だなあと思ったに違いありません。仮に思わなかったとしたら,バカです。
 しかし,特許庁の審判合議体,何か悪いものでも食ったか,どうしたんでしょうね。今回,これを1位にしたのは,猛省してもらうためです。実は,この判決以外にも,変な事実認定が相次いで見られました。

 昨年1年は,特許でこれは画期的!というような判決はなく,どれも小粒だったのですが,気になるのは,特許庁の変テコぶりです。審判官のレベルが落ちているのか,それとも外注に出している先行技術調査の質が悪いのか,ちょっとどちらかわかりませんが,週刊ダイヤモンドの特集の働きがいのある官庁という記事で,非常に高ランキングに居たっていうのに,奢りじゃありませんかね(こんなのまでよく見てるでしょ。)。

 兎に角,特許庁には今年一年褌を締め直してもらわないと困ります。このブログにもめちゃくちゃしょっちゅう見に来ているのはバレバレなのですから,本当,技監とか審判部長クラスにはよく言っておいてください。長官は1年で変わるので,どうでもいいですが。

 いやあちょっと残念というか,そういう結果になりましたが,今年度はどんな判決を紹介できるでしょうかね。さすがに今年は去年並の数はなるべく避けたいなあ,少しは仕事もしてえなあということではありますが,果たしてどうなりますやら。

4 追伸
 ということで,恒例の桜です。

 まずはいつものイマジカ前。いやあ結構散ってますね~。残骸って感じです。ただ,目黒川沿いも場所によって木によっては残っているものもあります。


 かなり海側です。この辺はまだ残っていますね。


 続いて,これです。某会社の元の本社ビルです。もう建物収去土地明渡に入っているかどうかわかりませんが,こんな工事用の覆いがされております。ただ,中に社員が出たり入ったりしてましたので,本格的な撤去工事はもうしばらく後でしょうね。


 4号館とか3号館とかようわからんというあなたには,この案内地図をどうぞ。これも4号館の端っこにあるので,そのうち無くなるんでしょうね。
1 判決のアップはありませんので,報道で話題になった知財のお題2つ行きましょう。
 
 あ,あれとあれですね,と思われたでしょうが,どっちからにしようかなあ。ま,一応特許専門という触れ込みなので,特許の方から行きましょう。

2 「パナソニック、再び首位に 特許国際出願数」です。
 WIPOが管轄している国際特許出願(国際特許でないところに注意!ですよ。)で,パナソニックが昨年首位に返り咲いたということです。パナソニックが一位で,2,881件,ZTEは2位で2,309件ということですね。

 で,この報道とは直接関係ありませんが,パナソニックの国内の出願がどれほどあるのか,ちょっと検索してみました。今は便利で,物好きな弁理士の人がまとめてくれております(知財ラボさんからの情報です。)。
 それによると,パナソニックは,2013年は9,276件で1位です。2位は,キャノンで7,644件だそうです。ただ,出願の件数は出願公開しないと明らかにならないでしょうから,1年半のタイムラグが生じます。ですので,2013年と言っても,2011~2012年にかけて出願されたものというのが正しいと思います。

 ま,そういう細かい話はさておき,つまりはパナソニックは,1年でいまだに1万件近い出願をして,その3割を国際特許出願しているというわけです。国際特許出願にせずに直接出願もそこそこあるでしょうから(専門家ならこの違いはわかりますよね。),恐らく,国内出願している出願の半数近く又はそれ以上に外国出願しているのではないかなあということが推測されるわけです。

 次は,じゃあそんな大量の出願をどうさばいているのか,それが気になりますね~まあなんて下世話なんでしょう。

 やはり物好きな弁理士の方がいて,事務所毎の弁理士数のランキングを作ってくれております(暇人弁理士のためのIPIブログさんからの情報です。)。
  そこで,弁理士数が一位の事務所は,何とパナソニックなのです。弁理士数135人です。
  2位がこれまた企業の日立製作所で,105人です。3位が漸く普通の事務所で,志賀国際特許事務所で,97人,4位が法律事務所としても有名な青和特許法律事務所で91人,5位が大阪で一番大きい青山特許事務所で87人ですね(2014年初のデータです。)。

 弁護士数の方は四大渉外なんて俗に言われるだけあって,普通の事務所がズラーっと一位から並んでいます。つーか,他の士業もそうだと思いますよ。
 弁理士だけ,すげー異常な世界なわけです。

 だって,弁理士の数って1万人くらいしか居ません。その2割の2,000人くらいは,企業に勤めている所謂インハウスです。2割ですよ,2割!こんなにサラリーマンの割合の多い士業ってないと思います(私も昔そうだったのですが。)。
 そして,更に,その1割以上は,パナソニックと日立製作所に勤めているってわけです。何かおかしい感じがしますよね。

 何故,パナソニックと日立製作所にこんなにたくさんの弁理士がいるか?そりゃ簡単です。所謂内製(サラリーマン弁理士に明細書を書かせていること)をやっているからですね。

 ま,日立製作所は昔から有名でした。知財部の新人は,弁理士試験の勉強の優遇期間などがあり,仕事をしなくて勉強だけしていればよい期間が,確か1年か2年位あったはずです。
 異動してきた人も,新人ほどじゃないにせよ,択一と論文の前にやはり仕事をしなくてよい期間があったと思います(弁理士試験の受験ゼミの日立製作所の方から聞いた話なので,今は違うかもしれません)。なので,日立製作所の弁理士は多いのです。

 他方,パナソニックは昔はこうじゃなかったと思います。私がもと居たソニーと同様,基本外注だったと思います。ところが,方針が変わったのでしょうね。ま,恐らく,コストを下げて出願数を稼ぐとなると,この内製の方法がいい!となったのでしょう。

 例えば,インハウスの弁理士は,サラリーマンですので,普通の従業員と給与水準は一緒です。グーグルでググると,パナソニックの場合,平均で731万円と出てきます。お,結構高いですね,税込みとはいえ。

 で,一般に,弁理士の明細書の作成能力は1週間に1本と言われております。もっと早い人遅い人もいますし,技術の難易によっても違うと思いますが,きちんとした内容のものを書くとなるとこれくらいは見た方がよいと思います。
 そうすると,年間50本の明細書が作成できるということになります。これで,731万円を割ると,14万6千円ですね。うーん,微妙な値段です。

 というのは,最近,明細書代のデフレが急速に進み,単価が14万6千円くらいで量をこなす特許事務所も多いんじゃないかと思うのです。ま,明細書書き以外にも,中間処理や権利行使系の仕事やそれこそ上記の外国出願の仕事もあるでしょうから外注とそんな変わんねえじゃんと一概に言えないでしょうが,どうなんでしょ。
 サラリーマンとして雇うと,日本では解雇規制が厳しく,外注の事務所をバンバン切るようには切れないとか,社会保障や福利厚生で意外と経費がかかるとか,デメリットも結構あると思うのですね。

 まあそれでもパナソニックは,内製重視の方に大きく舵を切ったというわけです。これも知財戦略の一環ですね。

3 「東芝の技術漏洩容疑、提携先元社員を逮捕」です。パナソニックときて,次は東芝です。東芝と提携しているサンディスクの元従業員が,ハイニックスに営業秘密を漏洩した疑いです。

 不正競争防止法の条文はこうですね。
第二十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいう。以下この条において同じ。)又は管理侵害行為(財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律 (平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項 に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の保有者の管理を害する行為をいう。以下この条において同じ。)により、営業秘密を取得した者
二  詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示した者
三  営業秘密を保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
イ 営業秘密記録媒体等(営業秘密が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体をいう。以下この号において同じ。)又は営業秘密が化体された物件を横領すること。
ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。
ハ 営業秘密記録媒体等の記載又は記録であって、消去すべきものを消去せず、かつ、当該記載又は記録を消去したように仮装すること。
四  営業秘密を保有者から示された者であって、その営業秘密の管理に係る任務に背いて前号イからハまでに掲げる方法により領得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用し、又は開示した者
五  営業秘密を保有者から示されたその役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。次号において同 じ。)又は従業者であって、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、 又は開示した者(前号に掲げる者を除く。)
六  営業秘密を保有者から示されたその役員又は従業者であった者であって、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その在職中に、そ の営業秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込みをし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受けて、その営業秘密をその職を 退いた後に使用し、又は開示した者(第四号に掲げる者を除く。)
七  不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、第二号又は前三号の罪に当たる開示によって営業秘密を取得して、その営業秘密を使用し、又は開示した者

 営業秘密関係の罰則は,罰則規定の最初に出てきます。報道によると,東芝の従業員等だったことはないようで,しかも研究データにアクセスする権限はあったようなので,この1項3号か4号に該当しそうな感じがします。

 しかも,この事件,これで終わらず,東芝はハイニックスを民事で提訴したようですね(うーん幻の大合議以来)。
 民事の場合は,この条文です。
第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
四  窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
五  その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
六  その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
七  営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
八  その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反して その営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により 知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
九  その取得した後にその営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

 上記のとおり,今回の被疑者はアクセス権限があったようで,しかも,この被疑者ではなく,その営業秘密を使ったとされるハイニックスを訴えておりますので,不正競争行為は,2条1項8号か9号ですね。はじめから知っていたのなら8号ですが,8号がだめでも警告書を一本打っておけば9号で行けますので,こちらの方かもしれませんね。

4 このお題2つを並べたのは,偶然ではあるのですが,ある共通点はありますよね。一方は特許,一方は営業秘密ですが,これは無体の情報,特に技術的情報に関するものです。

 特許とノウハウ(営業秘密)の切り分けってわかりますかね。ここで何度も書きましたが,その基準はたったひとつです。リバースエンジニアリングでわかるかどうかです。リバースエンジニアリングでわかるなら特許出願すべきだし,そうじゃなければノウハウで秘匿です。

 ということは,技術的情報って元は一つのものです。つまり是非に及ばず,技術的な情報の価値はますます上昇し,それをどう守っていくかが重要になっていってるわけですね。そうすると,そういう値の張る情報を創作した人々には高待遇があってもいいんじゃねえかなあと思うわけです。

 ここまで来たら何が言いたいかわかりますかね。人は理屈で生きてるわけじゃないですよ。
 あの糞会社のクソ野郎どもめ,と思えば,色んなやり方で復讐を遂げる方法はあるわけです。でも,それが適法,許されたやり方,おおっぴらにできる事,だったらその方がいいと思いませんか~犯罪よりも。そそ,職務発明の件ですね。

 職務発明での対価請求もできなくなったら,さあ,鬱憤のたまり金に困った元従業員は何をやるでしょうね~♫実に楽しみですよね。罰則や罰金を重くする~?は?抑止力があるとはとても思えませんね。発想を根本から変えないと,こういう問題はどんどん起きると思いますね~。

5 追伸
 私がマスコミをバカにしているのは,ここでよく書くとおりですが,何故バカにしているかというと,クソサヨクが多いからってえのもありますが,それよりも自分の頭で考えていない馬鹿さ加減が頭にくるからです。

 例えば,この報道,いったい何が言いたいかわかりますか?
 参考のため,全文を書きます。

 雪原因の事故、半数がノーマルタイヤ…2月都内

2月に関東甲信を中心に2度にわたって降った記録的な大雪の際、東京都内で雪が原因で起きた車の人身事故のうち、タイヤの種類が判明したほぼ半数が、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを装着していなかったことが、警視庁のまとめでわかった。

 同庁は、積雪があった2月8日~10日と、同14日~16日に都内で発生した人身事故計237件を分析。雪が原因の事故は47件を数え、車に巻き込まれた歩行者を含め、52人が負傷した。

 タイヤの種類がわかった26件のうち、8件でスタッドレスタイヤ、3件でチェーンを装着していたものの、15件はノーマルタイヤのままだった。

 
わかるよ,そんなもん。
 ノーマルタイヤで雪道を走っちゃ事故になるよ!ってことだろ~と思ったあなたは,ちょっとまずいですねえ,すぐに何でも飛びついて火傷しそうな感じです。

 だって,見出しだけを見たって,半数がノーマルタイヤってことだから半数はスタッドレスとかチェーンをしてても事故になったんだなあってえのが読み取れます,普通に注意してたら。

 案の定,中身を見ると,タイヤの種類がわかった事故26件のうち,ノーマルタイヤは15件で,57.7%,チェーン又はスタッドレスは11件で42.3%の占有率ということがわかります。母数が26件しかありませんので,差の4件もほぼバラツキの範囲でしょうね。

 とすると,この中身からも読み取れるのは,ノーマルタイヤだろうと,チェーン又はスタッドレスだろうと,ほぼ同割合で事故に巻き込まれる!ということです。

 とすると,この見出しは何なのでしょうね。「雪原因の事故,半数がチェーン又はスタッドレスを装着してても・・・」としても良いはずです。

 ところが,見出しは上記のとおり。
 つまりは,大本営が大本営の意図を持って発表しているのに~そのとおりに何ら疑いも持たず~仕事は楽な方がいいや~間違っても俺のせいじゃねえや~これでよし~としたのでしょうね。

 何だよこれっ!て思いませんかね。きちんとしたデータから出るのは,雪のときは,チェーンとかスタッドレスとかしても事故になるから出ない方がいい,ってことくらいです。

 今回のは典型例だと思いますし,いつもここまでひどくないとは思いますが,ま,マスコミはこの程度,そして,それを支える国民もこの程度,僕ちゃんと同じ~ってわけでちゅね~。
 

1 知財の判決のアップはありましたが,ちょっと心くすぐられる程はなく~,知財のその他の話題もなく~ということで,卑近な話にします。

 実は,昨日私の所属している一弁の知財部会の忘年会がありました。
 基本,人見知りが激しく内向的な性格のため,滅多に人前には出ないのですが,その前の通常の判決の勉強会(一弁の部会の特徴は,判決の勉強会です。)からの流れもあり,忘年会に出たわけです。

 ま,こういう親しい人のいない飲み会ってえのはある種のバクチですね,少なくとも私にとっては。ほんで,出席すると,大体こうなります。

 パターン1 結局一人で飲むだけ,スマホが暇つぶしのお友達,会費分くらいは回収した所でとっとと退散~♫個室ビデオにでも行きゃあ良かった(こちらを参照)パターン

 パターン2 何故か思いもよらない共通の話題のある人が見つかり,ちゃんとした大人のような感じで無難に過ごすパターン

 勿論,大体はパターン1ですね。
 ほんで,最近は,そういうことを学習してきたので,次のパターン3がデフォーです。

 パターン3 知り合いのいない飲み会には出ないパターン

 いやあもう50歳近いのですけどね~♫だってしょうがないじゃな~い,理系なんだもん♫やっぱ理系~って便利ですよね。多少変わってても,偏屈でも,おかしくても,奇人変人でも,あ,理系だから,で結構許してもらえます,ムフフフ。

 で,本題に戻ると,昨日はそういう勉強会からの流れだったので,パターン3もちょっと変だなあということで,イチかバチか出席したのです。

2 で,隣の席に座った先生が何と同期(59期)で,しかもソニーの法務部出身とのこと。そう!まれに見るパターン2ってやつです。

 びっくりしましたね~。私がソニーの法務・知財にいたのは3年だけなので,ソニーくらいの大きい会社だと,面識のないことは勿論,全く共通の話がないことも多いのです。ところが,昨日は,あの人は~,あの事件は~で,ピンポイントな偶然で,その先生と私が法務・知財にいた時期とも重なり,私にしては珍しくかなり話題に事欠きませんでした。

 ということで,同期のソニー出身者は,私を含めてこれで4人目ですね。あとの二人は,私と同じ横浜での修習でした(私とは違う班だったのですが,やはり飲み会のときに判明しました。)。

 いやあ,修習が始まってすぐのクラスの飲み会で,刑裁の教官から,inagawarawサン以外にもソニー出身者って結構いるらしいんだよね,ソニー大丈夫なの?って聞かれたことがあったのですが,こういうことだったのですね。

 ま,偶には清水の舞台から飛び降りると思って(そのくらいの決意が要るのです。),そういう席に出てみるのもいいかもね~という話でした。
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理論物理学者を目指したのはもう30年以上前のこと。某メーカーでの液晶ディスプレイのエンジニアを経て,弁理土に。今は,弁護土です。次は何かな。
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