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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は,本日の日経の朝刊の経済教室に載っていた一橋大学の相澤英孝教授(そう言えば,昔とんねるず石橋のやってた◯◯◯◯◯◯◯に似てますね。)の論文です。

 部分部分に納得できる所もあるのですが,全体としては,イマイチ〜。
 ま,要するに相澤センセ,アメポチ(アメリカのポチのこと。保守にも左翼にも両方いるので,質が悪い。)だったとは知りませんでしたって所でしょうか。

 まず,部分部分で納得できることから,いきましょう。
 これは,10年前の知的財産改革の失敗ですね。これはほぼそのとおりでしょう。勿論,出願数については,先進国でありながら停滞することなくイノベーションを続けたアメリカや新興国として日の出の勢いだった中国と,絶賛デフレ進行中だった我が国を比べるのは些かフェアじゃない気もしますが,出願人,ひいては権利者にもう少し厚くても良い気はします。

 つぎに,??の部分にいきましょう。
 上記の失敗の指摘は良いのですが,じゃあどうすれば良いかということについて,具体的な提言はほぼありません。あるのは,元気よくやろう,楽しく生きよう,みたいな抽象的な話ばかりで,あんた本当に専門家か?というものばかりです。

 そして,さらに問題なのが,「日本の知的財産法の適用を国内に限っていたのでは,海外生産や海外からのサービス提供により,日本の知的財産権が空洞化するおそれがある。」として,「海外で行われた日本の知的財産権の侵害に関わる製品が日本に輸入された場合は知的財産権の侵害と規定する制度を確立する必要がある。」云々のところです。

 ま,属地主義の原則を大胆に飛び越えようとする提言は,実現性はともかくも,そういう考えもありえる所でしょう。
 でも,輸入って侵害にならないんでしたっけ??
 
 特許法2条3項1号の「実施」には,「輸出若しくは輸入」とはっきり書いてますけどね。おっさん,調べんかったんとちゃうか〜♪

 で最悪なのは,こういう相澤センセの望む制度にするには,TPPに入りアメリカ様の素晴らしい”世界標準”に合わせることで実現できるのだ〜!としている点ですね。

 アホじゃねえのかねえ。

 一国の制度はその国の利益のためだけにあるのであって,あんたの言うことが本当に望ましいなら,TPPに関係なく,そうすりゃあいいだけじゃんっていう話です。今そうしてねえってことは何らかのデメリットがあるってことでしょ。それを何とか解決しないと,TPP交渉でもデッドロックに乗り上げるだけだと思いますがね。

 専門家と名乗ってこれだけ〜♪はあーん。

2 ま,人に文句を言うだけじゃあ面白くありませんから,じゃあTPPに入ると具体的にはどうなるか,あまり議論のない特許などを中心に見てみましょうか。と言っても,この話は,既に福井先生がかなりやられているので,それをそのままやっても面白くありません。

 既に発効したもので,韓米FTAがあります。私はあくまで内国制度の専門家で,韓国の制度の専門家ではありません。しかし,参考になる所が非常に多くあり,韓米FTAで韓国の特許制度等がどう変わったかは,今後TPPで日本の特許制度等がどう変わるかという点に多くの示唆を与えてくれると思います。ですので,概観してみましょう。

 ・登録の遅れによる特許の存続期間の延長制度
 現在日本にも,薬等の許可のプロセスで,存続期間が食われた場合に,延長の制度があります(特許法67条2項など)。ただ,特許庁自体の審査処理の遅れで存続期間が食われた場合に延長する制度はありません。韓米FTAでは,このような制度が追加になりました。

 ・新規性喪失の例外の期間の延長
 韓国はご存知のとおり,日本の植民地だったということもあり,その法律は日本と共通するものが多いのです(今でもメインの特許要件は,日本と同じ29条ですね。)。新規性喪失の例外の期間も日本と同じ6ヶ月だったのですが,これが韓米FTAにより,アメリカと同様1年になりました。

 ・秘密保持命令制度
 これは日本には既にあります(特許法105条の4)。

 ・特許と薬事の連携
 正確に言えば,特許法の話ではありませんが,後発薬の会社が後発薬の申請をした場合に,その申請手続きにおいて特許の処理も図られるというような制度を薬事法に設けるというものです。

 ・その他
 特許法の話ではありませんが,商標と著作権において法定損害賠償の制度が設けられたようですね。何故,特許でそうしなかったのはよくわかりません。
 あと,韓国でも医療行為は産業上利用できないとして,特許されないのですが,韓米FTAでもそこは維持されたようです。

 メインとなるのは,以上のとおりです。特許に関しては,ある意味,そんな大したことはないと言えるかもしれませんね。と言いますのは,WTOのTRIPS協定の締結に関し,世界のほぼメインの特許大国で,ある程度のコンセンサスが得られたからですね。

 ですので,韓米FTAを見ると,少なくともアメリカはこの程度を要求してくるだろうということが予想されます。他方,韓国が拒否ったものは,TPPでも拒否れる可能性があります。
 例えば,法定損害賠償(これは拒否らなくてもいいかなあ。),医療の取り扱い(これは拒否りたい。)などです。

 つーか,チンピラ弁護士が,こんな所でこんなまとめをするんじゃなく,本当は,日経でもこんなまとめをすべきだったんじゃねーのかな〜♪タリラリラ〜ン♪

3 追伸
 ホカホカの情報によりますと,我が母校高田高校は,二回戦を突破したようです。いやあ去年の優勝校を破るとはやりますねえ。こんなことがあると,もしかしてもしかすると~なんて期待しちゃうけど,いやあやめておきましょう。今日もさっき急に思い出しただけですので。

 ちなみに,次戦は,宇佐産業科学高校(訂正,正しくは別府青山)で,7/17の水曜です。で,宇佐産業科学高校って何じゃ?と思ったのですが,商業科を併合したのか~,とすると,兄弟校対決っちゅうことですわな。

 ま,折角の機会ですから,頑張ってみるといいんじゃないですかね~♪
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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