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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 ついこの間,相対論の破れについて,記事を書いたと思ったら,今度は量子論ですか~。いやはやすごいですね。報道関係は,こちらなどで。
 前回の相対論の破れも名古屋大学だったのですが,今回も名古屋大学で,素晴らしいことです。

 ただ,この報道を読んだのですが,よくわかりませんわ。
 まあ理論物理をやっていたと言っても,若干相対論寄りのことをやっていた関係上,正直量子論は不得意だったのですね(恩師は,こんな本の翻訳をしているというのに。。)。

 ただ,それでも,これは説明がわかりにくい~というところを,私の読んだ日経紙を俎上に載せて,ちょっとメモしておきます。

2 日経紙は,朝刊の一面にも載せているのですが,詳細な記事は11面でした(東京)。

 そこの図解が,まず,不正確だと思います。
 「粒子に光を当ててその位置と運動量を測ろうとすると・・・」と,題して説明しております。
 そして,この説明によると,光を当てて測定すると,運動量は分かるけど,その影響によって位置の測定誤差が生じる,ように書いております。
 確かに,不確定性原理の父であるハイゼンベルクは,そう考えたのかもしれませんが,通説は違いますね。法曹に馴染みのある喩えをしますと,条文解釈において,立法者の意図と最高裁の判断が異なる,ようなものです。

 ハイゼンベルクの解釈だと,本当は決定論的に位置も運動量も決まっているんだけど,人間の測定方法がアホだから,不確定が生じる,ような意味合いになってしまいます。
 通説のコペンハーゲン学派は,そんな解釈ではないですよね。平たく言うと,位置も運動量も本質的に不確定であるから,その不確定さは,人間の測定なんかに依らないのだ!ということですよね。まあ,ハイゼンベルクの解釈は,あそうなんだ~という風にはわかりやすいのかもしれませんが,量子論の本質とは相容れない考えだと思いますね。

 じゃあ,おまえがその本質的に不確定というのを説明しろ,と言われても困りますね。私では全くの力不足ですので。

 次に,小澤の式,Δq×Δp +Δq×σpq×Δp≧ 一定値,の説明も誤解を生みそうな感じです。
 記事では,「この式では,粒子の位置や運動量の誤差がゼロになっても成立し,測定の精度が上がる。」と書いております。
 では,この式で,Δq=0,Δp=0とすると,どうでしょうか?左辺=0になってしまい,不等式が矛盾してしまいます。つまりは,この式はそんなことを言っていないというわけです。
 じゃあ何を言っているかというと,例えば,Δp=0のみとすると,Δq ×σp≧ 一定値,が残ります。そうすると,σpがかなり大きい場合には,Δqをかなり小さくできるということを言うのみなのですね(元のハイゼンベルクの不確定性原理だと,Δq× Δp≧ 一定値,なので,一方が小さいと他方は大きくならざるを得ない。これに対して小澤の式では,ΔqかΔpかの一方が0の場合でも他方が大きくならずに済むというのが画期的なわけです。)。

 まあこの不確定性原理というのは,量子論の本質とも言ってよいものですが,正直わかりにくいというか,そういうもんだと思うしかないようなものです。

 今回の日経紙の一面の記事は,この小澤の式を導き出した小澤先生自身が,自分の理論を実験で確かめたということなのですね(理論と実験を両方やるなんざ,近頃の学者では珍しいですね。)。

 いやあしかし,相対論といい,量子論といい,100年ぶりの物理の進歩に遭遇できる物理学者の皆さんは羨ましい限りですね~。自分と同じくらいの年代の方はまさに今絶好調でしょうから。

 ところで,この小澤先生,私の隣の学科,情報科学科出身なのですね。東工大の理学部は,数学,物理,化学とトラディショナルな科に加えて,私のいた応用物理と情報科学という学際的な科がありました。
 応用物理は,菅前首相や私のような真底の変わり者しか生んでおりませんが,情報科学は,何だかノーベル賞がとれそうでよいですね。

3 さて,こんな半可通の話じゃよくわからんという方には,この話を解説している本がありますので,それを読むとよいと思います。

 「ハイゼンベルクの顕微鏡~不確定性原理は超えられるか」石井茂著(日経BP)

 私もこれを随分前に読んだのですが,どこになおしたかなあ(方言ですよ。)と思って探したのですが,引越しのときに捨てたか,見つかりませんでした。
 ただ,アマゾンの購入履歴が残っていて,2006/3/15に到着したようです。その頃と言えば,検察修習のころで,まだ,相模原に住んでいたころです。皆さん検察修習で,取調べ修習をしていたというのに,私の興味は些か異なった所にあったようですね。
 結局,常に,変わり者だったということで,これにてお開きです。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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