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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 先週までは結構夏の気配もあったのですが,本日は本当肌寒い週の始まりです。そして,今週は,ノーベル賞ウィークでもあります。

 医学生理学賞を皮切りに,物理学賞(本日),化学賞(明日),と発表が続きます。まあ文系の賞(文学賞,平和賞)はどうでもいいとして(あと,念の為書いておきますが,経済学賞などという賞はノーベル賞にはありませんので。うそーと思った方は,検索してみるといいと思います。),自然科学の分野は要注目ですね。

 そして,昨日の午後6時半,今年の医学生理学賞を京大の山中教授が受賞したという発表があったそうです。そうですと,書いたのは,休みの日だったので,眠気との戦いに負けたのですね。今朝のテレビを見て,おおそうだったのか,それはめでたいと思った次第です。

 ともかくも,おめでとうございます。

 まあしかし,ノーベル賞というのはイケズというか,去年,大本命と言われていたときには受賞できず,今年,やっぱり評価が固まってからだよなあみたいな雰囲気になって受賞するというのはよくわかりません。というのは,去年と今年で何が違うんだろう,大して変わらねえじゃんと思う次第だからです。

 とはいうものの,おめでたいことには変わりありません。

2 さて,私の仕事との関係でいうと,弁理士会はこの受賞対象となったiPS細胞の特許出願に会をあげて力をいれております。やはり,一番手は山中先生かもしれませんが,その後のアメリカ勢の追い上げが凄いのですね。

 物理学賞の対象となる基礎的なやつは,応用がなくお金にならないので,ヒッグス粒子の発見?のように各国力を合せてやるというインセンティブがあります。
 ところが,今回のiPS細胞は,はっきり言ってノーベル賞なんてどうでもいいのです(ノーベル賞の賞金ってせいぜい数千万円ですので。)。これが薬になったり,治療法として確立すれば,それこそ,数千億円,下手したら数兆円レベルの市場となるわけです。
 そうなった場合,又はそういうふうにするためにも,特許というのが非常に重要なわけですね。ですので,今や特許競争の段階にあると思います。

 弁理士会では,そのように力を入れておりますので,色んな講演などもやっており,私もたまに聞きにいきます。
 そのあるときの講演では,山中先生の最初の実験,体細胞に4つの遺伝子を導入したところ,iPS細胞になったというのを契機として,いや3つの遺伝子でも足りる,その4つだとガン化の虞が高い,こっちの違う4つだとガン化の虞が低い,など,その後の成果というか発見は日進月歩で,まさに,スマホ技術の進歩とあんまり変わらないなという気もしました。

 さらには,現在の日本では,人に対する治療法では,特許はとれないのですね。これは医療は仁術であるなどという伝統から,医者が治療等をしているときにいきなり差止が来るなどというのでは,そりゃおかしいじゃんということによるものです(特許法29条1項柱書の産業上利用性がない。)。
 ですので,山中教授が近時特許を取ったというがありましたが,iPS細胞そのものの物の発明として,又はそれを製造する製造方法の発明として,特許をとったんだろうと思います。

 他方,私が大反対のTPPですが,これに加入すると,人に対する治療法も特許の対象とせざるを得なくなります(少なくとも,アメリカがその要求をしていますので。)。もちろん,iPS細胞を使った人に対する治療法も特許の対象となるわけです。
 こうなると,例えば,現在山中教授が特許に対して有している方針(自分ができるだけ基本特許から応用特許まで取得し,これを安く広くライセンスして,難病患者の治療を促進するという方針)を保てるかどうかわかりません。
 というのは,アメリカは現在でも人に対する治療法を特許の対象としており,日本でもそれが解禁されると,アメリカの製薬会社等が一気に入り込む可能性が高いからです。そうなったら,突然自宅治療中の患者のところに,裁判所から送達がやってきて・・・,これ妄想だと思いますか?
 
 山中教授のノーベル賞とTPP,両者は縁もゆかりもないような話ですが,実に深く関連しております。そして,山中教授自身もよくわかっていると思います。
 わかっていないのは,何でもかんでもアメリカに差し出せばいいと考えているアメリカポチの連中ですかね~。経済界には多いでしょうが,法曹界にも結構多いからなあ。私が安倍さんをマシなんだけど,ここがイマイチだなあと思うのは,そこなんですよね。

 おっと,おめでたい話題から,きな臭い話題に,いつものことなんですけどね。

3 さて,本日は,私が毎年一番注目している物理学賞の発表です。
 昨年は宇宙の加速膨張,一昨年はグラフェン,3年前はCDD,4年前は光ファイバー,5年前は南部先生らの対称性の破れ,ですね。ここ数年,基礎物理学が連続して受賞するということはないので,今年は応用系,デバイス系でしょうね。
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自己紹介:
理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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