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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 以前このブログで,「特許権など知的財産権侵害リスクに対応する保険を中小企業向けに販売」する保険のことを書きました。これは,他者の知財権(特許権,著作権など)を侵害した場合のリスクを保険でヘッジしようというものです。

 ただ,当時上限が1000万円までということで,今後の成り行きを見守りましょうという結論にしました。というのは,ちょっと上限が低過ぎると思ったからです。ちなみに,保険会社は,AIUでしたね。

 今回は,上限が10億円です。記事によると,スマートフォン向けアプリに限るような趣旨が見受けられますので,AIUに比べれば,その点に限定があるのでしょうが,日本で10億円というと,これを越える訴訟はほぼないと言っていいと思いますので,額は十分だと思います。ちなみに,保険会社は,東京海上日動火災保険です。

2 さて,今回話題になったスマートフォン向けアプリに限らず,今のいろんなソフトウェアって,その名義人が直接作成している場合って,ほぼないと思います。

 私の古巣のソニーでも,組み込み系のソフトについては,殆ど外注,しかも海外(その方が安いようですよ。)に発注しているようですから,それ相応の企業でないところでは推して知るべし,というところではないでしょうか。

 こういう外注すると何が問題かって,そりゃ動かないときは問題ですが,もっと問題なのは,著作権等の知財権の問題ですね。いやこんなこと書くと,そうそう誰しも自分が得意なことが問題だって言いたがるんだよね~,司法書士はいつも登記が問題だって言い,税理士は税務が問題だって言い,弁理士は御社の知財が問題だって言うんだよね~,まだ正直に仕事が欲しいって言った方が可愛げがあるっちゅうのに,と思う人も多いと思います~♪

 私もその点は否定しません。でも,アプリの外注で問題になるって言う時の問題って,アプリそのものがプログラムという無体なものなので,占有できず,知財権しか問題にしようがなく,あとは作成者の労働問題くらいしか問題にはならないのも事実だと思います~。

 つまりは,内部者ならわかると思いますが,SEをやっていると,結局サスライの人生ではないですが,中小零細を渡り歩くということになりがちです。また,転職も頻繁です。そうすると,この今コーディング等しているモジュールは,自分に著作権があるのか,この今勤めている会社にあるのか,それとも,前の会社だったか,いやオープンソースか,それとも,それ以外か,というのをまあどれだけ気にしているか,ということになるわけです。

 昨今,結構零細同士でもある程度きちんとした契約書を結ぶことも多くはなっていますが,じゃあ,違反したとき,つまりは,外注したモジュール等をぶっこんだソフトを客先に納入した後で,これって似ている,またはホニャララってクレームが客先から来た場合に,どれほど外注先を締め上げられますかね~。

 外注先としたら,いやそのコーディングした奴は,もう辞めていないんだよね~,となるのが落ちで,それが気に入らなきゃ訴訟するしかないのでしょうけど,自分と同じその日銭暮らしの同業者を訴えたところで,どれ程回収できるかは疑問ですわな。そんな話だとすると,弁護士に相談したとしても,回収できない,又は弁護士費用が出ない,でチャンチャンという結末です。

 ですので,そういう悲惨な話が少しでも上向き,私のような貧乏弁護士にも少しは実入りのある話になればいいなあということで取り上げたわけです。

 どうですか,契約書作成でのインデムの攻防なんていう不毛な闘いをするよりも,よっぽど建設的な話だと思いませんか。今後は,インデムより,付保対応が,ソフトウェア制作契約書のデフォー条項になるかもしれませんね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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