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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,被告(弁護士法人ボストン法律経済事務所)が,平成25年7月5日から平成26年1月15日までの期間,別紙写真目録記載1ないし6の各写真(本件写真)を「BOSTON law firm(ボストンローファーム)」の名称で被告が運営するウェブサイト(被告ウェブサイト)に掲載したことに関して,本件写真の著作権者,独占的利用権者又は著作者であると主張する原告らが(株式会社アマナイメージズと自然人ら),被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求をするとともに,当該請求の一部と選択的に不当利得返還請求をした事案です。

 これに対して,東京地裁民事29部(嶋末さんの合議体ですね。)は,原告らの請求を一部認めました。つまり,著作権等の侵害はあったということですね。

 まあ,予告に反して特許の記載不備に関する判決ではなく,こっちの基本ゆる系の判決にしました。
 その理由は~?被告に注目です。

 そう!パッと判旨を見ると気付かないのですが,よくよく見るとうぇ~!っということに気づきます。何ということか,弁護士の事務所自体が被告代理人ではなく,被告!そのものなのです。

 いやあ,何ちゅうか本中華なのですが(古くてごめんねー),こんなこともあるんだなあって感じのする事例です。

2 問題点
 つーことで,問題点なのですが,法律上の問題点はありますよ~。でもそんなことよりも,本件で気になるのは事実上の問題点です。つまり,何故気付かなかったのか?この事務所の弁護士連中は?ってことです。

 原告の主張によると,原告のアマナイメージズは,「ケ 本件サービスに供する写真その他のコンテンツは,使用媒体・使用期間・エンドユーザーの履歴を管理しているライツマネージドとよばれる種類の作品(以下「RM作品」という。)とエンドユーザーの履歴を管理せず,他社でも販売しているロイヤリティフリーとよばれる作品(以下「RF作品」という。)とからなるが,原告アマナイメージズは,本件各写真(本件写真1及び2については,上記エのとおり,原告アマナイメージズが当該写真の著作権を有しており,本件写真3ないし6については,上記オないしキのとおり,原告アマナイメージズが当該写真の著作権を独占的に利用する権限〔第三者に再利用許諾する権限を含む。〕を有している。)をRM作品として本件サービスに供している。」ということをしていたらしいです。

 他方,これも原告の主張によると,被告の法律事務所の方は,「イ 被告又は被告の被用者であるE1ことE(以下「E」という。)は,本件各写真(なお,本件写真3ないし6につき,著作者の氏名が表示されることはなかった。)を別紙「被告ウェブサイトにおける使用態様」に示される態様により,少なくとも平成25年7月5日から平成26年1月15日までの期間,被告ウェブサイトに掲載した。」そうです。

 この点については,被告の事務所の方も,「被告ウェブサイトを作成するに当たり,同サイトに本件各写真を掲載したのは,被告の従業員のEであるが,同人は,第三者が原告アマナイメージズから購入し,又は何らかの方法で取得した後,フリー素材としてウェブサイト上に流出させたものを「フリー素材である」と誤信したものと思われる(Eは,被告ウェブサイトのデザインを検討するうえで,様々なところから写真を取得しており,かつ,既に一定期間経過していることから,本件各写真のデータをどのように手に入れたか記憶していない」ということで,積極的には争ってはおりません。

 ま,つまりは,事務所内でのウェブサイトの担当者がどっかから写真を持ってきて,サイトを作ったけど,その写真がフリー素材ではなかった~アチャー~ってことなわけです。

 なので,被告の事務所としても,そんなのわかんねーしチェックもできねーよ~って主張をしているわけなのですね(まあ,知財のことをちょっと理解している方々からすると,そんな言い訳通るわけねえのですけどね。)。

 そこそこ有りそうな話と言えましょう。

3 判旨
「(2) 故意・過失について
ア 被告の被用者であるEは,前記(1)アのとおり,本件掲載行為に際し,何らかの手段により本件各写真を複製し,これを公衆の用に供されている電気通信回線に接続された自動公衆送信装置に入力したものであって,本件各写真を複製し,送信可能化した直接の主体者である。
イ  Eがどのような手段により本件各写真にアクセスしたのかは明らかでないが,証拠(乙2,24)及び弁論の全趣旨によれば,Eは,ホームページを作成する会社に勤務してホームページ作成技術を学んだ後,平成20年に独立してホームページの作成を業務として行うようになり,平成21年にコンピューターシステムの設計,開発及び販売のほか,インターネットのホームページの作成,企画,立案及び運営などを目的とする株式会社オプティクリエイションを設立して,平成24年まで同社の事業としてホームページの作成業務を行っていたところ,同年10月からは,弁護士法人である被告の従業員として被告ウェブサイトの作成業務を担当していたことが認められるから,このようなEの経歴及び立場に照らせば,Eは,本件掲載行為によって著作権等の侵害を惹起する可能性があることを十分認識しながら,あえて本件各写真を複製し,これを送信可能化し,その際,著作者の氏名を表示しなかったものと推認するのが相当であって,本件各写真の著作権等の侵害につき,単なる過失にとどまらず,少なくとも未必の故意があったと認めるのが相当というべきである。
ウ この点,被告は,フリーサイトから写真等を入手する際に,識別情報のない著作物についてまで権利関係の調査を要するとすれば,表現の自由(憲法21条)が害されるとし,警告を受けて削除すれば足りるかのような主張をする。
 しかし,仮に,Eが本件写真をフリーサイトから入手したものだとしても,識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべきことは,著作権等を侵害する可能性がある以上当然であるし,警告を受けて削除しただけで,直ちに責任を免れると解すべき理由もない。被告の上記主張は,いずれも独自の見解に基づくものであって,採用することができない。」

4 検討
 まあ,判旨はそのとおりなのですが,未必の故意~!まで認められて,結構シビアに書かれています。

 ウェブサイトを内製すると,そりゃあお金関係は少くてもいいのですが,こういう権利侵害みたいなことがあったときには結構ヤバイですよね。外注すると,契約でインデムできるので(例えば,第三者から権利侵害だと訴えられたときには,弁護士費用も含めてベンダーの貴様が全額費用を出しやがれ~このやろー,みたいな条項を入れる。),お金はかかりますが,その点安心です。

 なので,企業法務とか知財とか今風の仕事をしたいんだったら,もうちょっとその点に明るい人に相談するとか~,なんかした方が良かったすよね~。ミイラ取りがミイラじゃないけど,イケイケなのも結構だけど,それだけじゃ困ることもあるでしょうに。
 営業の方に関心が行って,そういう所が疎かになったのかもしれませんがね。

 とは言え,私も気をつけましょう~。著作権って本当こんなことが関係あるの~っていうことが結構問題になりますからね。

 あ,ところで,この被告の事務所,有名なコンサル会社のボストン・コンサルティンググループと何か関係あるんですかね~。もし関係ないとしたら,今度は,こっちから何らかの反応があるかもしれませんよ。

 あと,こんな事例で,判決が出るとかなりダメージになるだろうし,認容額もそんな大したことないのに,判決いや裁判になる前に落とし所はなかったのかなあという点も気になりますね。いやあそれにしても鼻から茶が出そうになりましたよ。
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1 概要
 本件は,控訴人ら(ノルウェーの家具屋さん)が,被控訴人に対し,被控訴人の製造,販売する被控訴人製品(幼児用椅子ですね~。TRIPP TRAPPというやつです。)の形態が,控訴人らの製造等に係る別紙1「控訴人ら製品目録」記載の製品(控訴人製品,こちらも幼児用椅子です。)の形態的特徴に類似しており,被控訴人による被控訴人製品の製造等の行為は,①控訴人オプスヴィック社の有する控訴人製品の著作権(控訴人オプスヴィック社の著作権)及び同著作権について控訴人ストッケ社の有する独占的利用権(控訴人ストッケ社の独占的利用権)を侵害するとともに,②控訴人らの周知又は著名な商品等表示に該当する控訴人製品の形態的特徴と類似する商品等表示を使用した被控訴人製品の譲渡等として,不正競争防止法2条1項1号又は2号の「不正競争」に該当する,仮に,上記侵害及び不正競争に該当すると認められない場合であっても,少なくとも③控訴人らの信用等を侵害するものとして民法709条の一般不法行為が成立する旨主張して,①控訴人らにおいて,不競法3条1項及び2項に基づき,控訴人オプスヴィック社において,著作権法112条1項及び2項に基づき,被控訴人製品の製造,販売等の差止め及び破棄を求め,②控訴人オプスヴィック社において,著作権法114条3項,不競法4条,5条3項1号,民法709条に基づき,控訴人ストッケ社において,著作権法114条2項,不競法4条,5条2項,民法709条に基づき,それぞれの損害賠償金及びこれらに対する原審訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,③控訴人らにおいて,不競法14条に基づき,謝罪広告の掲載を求めた事案です。

 原審の東京地方裁判所平成25年(ワ)第8040号(平成26年4月17日判決)(46部で長谷川さんの合議体ですね。)は,「①控訴人製品のデザインは,著作権法の保護を受ける著作物に当たらないと解されることから,控訴人らの著作権又はその独占的利用権の侵害に基づく請求は,理由がない,②控訴人製品は,従来の椅子には見られない顕著な形態的特徴を有しているから,控訴人製品の形態が需要者の間に広く認識されているものであれば,その形態は,不競法2条1項1号にいう周知性のある商品等表示に当たり,同号所定の不正競争行為の成立を認める余地があるものの,被控訴人製品の形態が控訴人製品の商品等表示と類似のものに当たるということはできず,よって,控訴人らの不競法2条1項1号に基づく請求は,理由がない,③本件の各関係証拠上,控訴人製品の形態が控訴人らの著名な商品等表示になっていたと認めることはできず,また,上記のとおり,被控訴人製品の形態が控訴人製品の商品等表示と類似のものに当たるとはいえないことから,控訴人らの同項2号に基づく請求は,理由がない,④被控訴人製品の形態が控訴人製品の形態に類似するとはいえず,また,取引者又は需要者において,両製品の出所に混同を来していると認めるにも足りないから,被控訴人製品の製造・販売によって控訴人らの信用等が侵害されたとは認められず,したがって,上記製造・販売が一般不法行為上違法であるということはできない旨判示し,控訴人らの請求をいずれも棄却し」ました。

 これに対して,知財高裁2部(清水さんの合議体ですね。)は,控訴をいずれも棄却しました。

 ま,この概要だけ普通に書くと,ナンテーことはない,工業製品を著作権法でとっちめるというただの筋悪事案のように見えます。結論も控訴棄却ですしね。

 でも,でも!でも!!,今年最大の話題の判決になると思います。もうねえ,仮にこの判決のとおりだとすると,知財の実務が大きく変わります!それくらいの問題判決です。

 実は,例のまっことに可哀想な切り餅訴訟の第2弾の判決が漸くアップされたので,本当はそっちの紹介にしようかなあと思ったのです。しかし,この著作権の判決に比べれば・・・ということで,こっちにしました。
 もう,色んな学者も弁護士も,そして弁理士も,兎に角色んな所で評釈,論評が繰り広げられるでしょう~。いやあ,デザインビッグバン!と言ってもよいでしょう。あと,特許庁は頭を抱えるでしょうね。

 さて,ブログにうまく貼り付けられたかどうかわかりませんが,これが控訴人の製品です。

 
 で,この控訴人の製品の著作権,つまりは著作物性が問題になったのです。

2 問題点
 問題点は,上記のような工業製品のデザイン~,こういうやつが著作権法で保護されるか?っていうよくあるバターンです。

 著作権法を見てみましょう
 著作権法2条1項1号
一  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
 著作権法2条2項
2  この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。

 とあります。
 つまりは,純粋美術のものが保護されるのは当然として,応用美術のものについては,美術工芸品についてしか述べてないわけです。ですので,美術工芸品以外の応用美術のものが著作権法で保護されるかどうか問題となるわけです。

 この点,学説は色々あるのですが,応用美術と純粋美術って一刀両断に切り分けできないことから,通説的には,美術工芸品以外の応用美術のものも著作権法で保護されるだろうということになっております。

 ですので,問題は,著作権法でどこまでの応用美術のものが保護されるかどうかってところです。
 これの嚆矢としては博多人形事件っていうのがあります(長崎地裁佐世保支部昭和48年2月7日決定)。
 ただ,この後も色んな判決ありますが,判決は,ある程度,保護の範囲を抑えているように見えます。
 中山先生(「著作権法第2版」p170)の言葉を借りれば,「要するに純粋美術と同視しうるものか否かを問題としているだけであり」っちゅうことですね。

 そうじゃないと意匠法との切り分け,つまりは意匠法での保護範囲と重なるとおかしなことになってしまうからです。

 ここも中山先生の言葉を借りましょう。
「判例が応用美術について要求しているレベルを不要とすると,家具什器,自動車,アパレル,電気器具等までも著作権法の守備範囲となってしまう恐れがある。」(同p172)てなことになりますよ。
 そうすると,何が困るかというと,「著作権法との重畳適用を認めると存続期間を短く定めた意匠法の趣旨が没却されることになる。」(同p167)し,「例えば,当該応用美術品を写真に撮ったり絵に描いたり,あるいはテレビで当該応用美術品を放映しただけで侵害となるおそれがある。」(同p167)のです。

 いやあ大変だ。だって,上記に,控訴人の製品の写真をコピペしていますが,これも著作権侵害~なんてこった!

 ですので,中山先生も,結論として,著作権法で保護される応用美術とは,「著作権法で保護される純粋美術と同視できるものであると解すべきである。」(同p171)としています。

 私も賛成!大賛成!~ということで,この事件の一審も,こういう中山先生と同様の,謂わば通説的見解をとったものと言えるわけです。

 つーことは?散々ひっぱったということは?ですよ。

3 判旨
「ア 控訴人製品の著作物性の有無
(ア)a⒜ 著作権法は,同法2条1項1号において,著作物の意義につき,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と規定しており,同法10条1項において,著作物を例示している。
 控訴人製品は,幼児用椅子であることに鑑みると,その著作物性に関しては,上記例示されたもののうち,同項4号所定の「絵画,版画,彫刻その他の美術の著作物」に該当するか否かが問題になるものと考えられる。
 この点に関し,同法2条2項は,「美術の著作物」には「美術工芸品を含むものとする。」と規定しており,前述した同法10条1項4号の規定内容に鑑みると,「美術工芸品」は,同号の掲げる「絵画,版画,彫刻」と同様に,主として鑑賞を目的とする工芸品を指すものと解される。
 しかしながら,控訴人製品は,幼児用椅子であるから,第一義的には,実用に供されることを目的とするものであり,したがって,「美術工芸品」に該当しないことは,明らかといえる。
⒝ そこで,実用品である控訴人製品が,「美術の著作物」として著作権法上保護され得るかが問題となる。
 この点に関しては,いわゆる応用美術と呼ばれる,実用に供され,あるいは産業上の利用を目的とする表現物(以下,この表現物を「応用美術」という。)が,「美術の著作物」に該当し得るかが問題となるところ,応用美術については,著作権法上,明文の規定が存在しない。
 しかしながら,著作権法が,「文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的と」していること(同法1条)に鑑みると,表現物につき,実用に供されること又は産業上の利用を目的とすることをもって,直ちに著作物性を一律に否定することは,相当ではない。同法2条2項は,「美術の著作物」の例示規定にすぎず,例示に係る「美術工芸品」に該当しない応用美術であっても,同条1項1号所定の著作物性の要件を充たすものについては,「美術の著作物」として,同法上保護されるものと解すべきである。
 したがって,控訴人製品は,上記著作物性の要件を充たせば,「美術の著作物」として同法上の保護を受けるものといえる。
b 著作物性の要件についてみると,ある表現物が「著作物」として著作権法上の保護を受けるためには,「思想又は感情を創作的に表現したもの」であることを要し(同法2条1項1号),「創作的に表現したもの」といえるためには,当該表現が,厳密な意味で独創性を有することまでは要しないものの,作成者の何らかの個性が発揮されたものでなければならない。表現が平凡かつありふれたものである場合,当該表現は,作成者の個性が発揮されたものとはいえず,「創作的」な表現ということはできない。
 応用美術は,装身具等実用品自体であるもの,家具に施された彫刻等実用品と結合されたもの,染色図案等実用品の模様として利用されることを目的とするものなど様々であり(甲90,甲91,甲93,甲94),表現態様も多様であるから,応用美術に一律に適用すべきものとして,高い創作性の有無の判断基準を設定することは相当とはいえず,個別具体的に,作成者の個性が発揮されているか否かを検討すべきである。
c そして,著作権侵害が認められるためには,応用美術のうち侵害として主張する部分が著作物性を備えていることを要するところ,控訴人らは,控訴人ら主張に係る控訴人製品の形態的特徴,すなわち,別紙3「控訴人製品及び被控訴人製品の概要」のⅠ⑵(以下「控訴人製品の概要」という。)のとおり「左右一対の部材Aの内側に床面と平行な溝が複数形成され,その溝に沿って部材G(座面)及び部材F(足置き台)をはめ込んで固定し,部材Aは床面から斜めに立ち上がっている」という形態に係る著作権が侵害された旨主張するものと解される。
 そこで,控訴人ら主張に係る控訴人製品の形態的特徴につき,著作物性の有無を検討する。
(イ)a オフィスチェア,ソファ,スツール等を別として,ダイニングチェア,リビングチェア,学習用の椅子など,一般的に家庭で用いられる1人掛けの椅子は,子供用のものも含め,4本脚のものが比較的多い(甲45,甲84,乙17の1から3,乙21,乙22等)。独立行政法人国民生活センターが実施した乳幼児用チェアの安全性のテストに係る報告書においても,4本脚の乳幼児用チェアが図示されている一方,2本脚のものは示されていないこと(乙29の1,2)にも鑑みると,控訴人製品及び被控訴人製品が属する幼児用椅子の市場においても,4本脚の椅子が比較的多いものと推認できる。
 以上によれば,控訴人ら主張に係る控訴人製品の形態的特徴は,「左右一対の部材A」の2本脚である点において,特徴的なものといえる。・・・
ⅲ 控訴人製品における「部材A」と「部材B」の成す角度は,前述した「シャート」,「ダックチェア」,「パロットチェア」,「コイノドチェア」及び「T-5427」に比しても,小さい。また,「部材A」と「部材B」の結合態様についても,控訴人製品と同様のものは,上記のうち「シャート」のみである。控訴人製品は,上記の「部材A」と「部材B」の成す角度及び結合態様によって,他の2本脚の椅子に比して,鋭角的な鋭い印象を醸し出している。
c 幼児用椅子としての機能に着目してみると,財団法人製品安全協会作成に係る「乳幼児用ハイチェアの認定基準及び基準確認方法」(乙30)において,乳幼児用ハイチェアの安全性品質につき,「項目」,「認定基準」及び「基準確認方法」(以下「安全性品質基準」という。)が定められているところ,「外観,構造及び寸法」の項目の「認定基準」においては,「⑴ 各部の組付けが確実であること。」などの抽象的記載や,「床面から座前縁中央までの最高位の高さは450㎜以上600㎜以下であること。」など安全性の観点から許容される高さや各部材の寸法の範囲,強度などの記載がみられるにとどまり,具体的な形態を指定する記載はない。
 また,幼児用椅子という用途に鑑みると,使用する幼児の身体の成長に合わせて座面及び足置き台の高さを調節する必要性は認められるが,同調節の方法としては,控訴人ら主張に係る控訴人製品の形態的特徴における方法,すなわち,「左右一対の部材Aの内側に床面と平行な溝」を「複数形成」し,「その溝に沿って部材G(座面)及び部材F(足置き台)をはめ込」み,適宜,「部材G(座面)及び部材F(足置き台)」をはめ込む溝を変えて高さを調節するという方法以外にも,ボルトやフック,ねじ等の留め具を用いるなど種々の方法が存在する(乙8の4,5など)。
 以上に鑑みると,控訴人製品の概要のとおりの,控訴人ら主張に係る控訴人製品の形態的特徴が,幼児用椅子としての機能に係る制約により,選択の余地なく必然的に導かれるものということは,できない。
d 以上によれば,控訴人ら主張に係る控訴人製品の形態的特徴は,①「左右一対の部材A」の2本脚であり,かつ,「部材Aの内側」に形成された「溝に沿って部材G(座面)及び部材F(足置き台)」の両方を「はめ込んで固定し」ている点,②「部材A」が,「部材B」前方の斜めに切断された端面でのみ結合されて直接床面に接している点及び両部材が約66度の鋭い角度を成している点において,作成者である控訴人オプスヴィック社代表者の個性が発揮されており,「創作的」な表現というべきである
 したがって,控訴人製品は,前記の点において著作物性が認められ,「美術の著作物」に該当する。」

4 検討
 どうですか?
 いや,判旨も途中までウンウンそうだよね~,そうそう,ってなりますが,規範がちょっと今までと違うなあ(兎に角,作成者の何らかの個性が発揮されたものでいい)となった後,うー,うーん,ブー(茶を吹き出した音)となりますね。

 しかし,清水部長は侮れない男だね~,全く。

 まあ,聞く話によると,一部の弁護士連中の中では,工業製品のデザインもヨーロッパでは著作物として保護されることから(工業デザインの著作物というらしいです。),日本でも・・・ちゅう要望があるということです。でも,それって意匠との兼ね合いを考えた末のことでもありますから,短絡的に日本でも~なわけがありません。

 しっかし,仮にこのとおりとすると,中山先生の危惧がそのままです。
 例えば,今,ジェネリック家具というのがあります。知ってますかね。意匠権切れのコピー品を安く売るという商売です。
 でも,家具に上記のように著作物性が認められるとなると,こんなコピー品はダメです。
 本件で,棄却になったのは,類似していない,っていうことだけだからですからね!デッドコピー品はダメに決まっています。

 家具だけじゃありません。おしゃれな電化製品~デザイン家電と言うらしいですね~これもデッドコピーはダメです。自動車も,アパレルも・・・です。

 勿論,こういうのも従前不競法の形態模倣(不競法の2条1項3号)で捕捉できました~。ただ,この不競法の場合は,「日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品」については適用除外になるのです。
 ところが,著作物の場合は,いつ権利がなくなるかというと・・・著作者の死亡から50年です(著作権法51条2項)。しかもTPPで伸びそうですしね。もう形態模倣も不要!です。

 さらに,著作権法で保護されると,きっつい人格権での捕捉も可能です。
 となると,家具を勝手に改造したら,同一性保持権違反になるわけです。これ,刑事罰までありますからね(著作権法119条2項)。ギエ―!!

 当然,出願なんかしなくてもいいわけですしね~。

 いやあ,考えれば考えるほど憂鬱になってきますわ。
 しかも,これ,被告っつーか被控訴人は,全部棄却なので,不服申立てできないのですよ!(形式上は全面勝訴ですのでね。)やりやがったなあ~って感じですよ。

 弁理士の皆さんも,これから相談に来た依頼者に,意匠出願しないとダメですよ~著作権じゃあ工業製品は保護されませんからね~って言ったら過誤になるわけです。
 特許庁も折角ハーグ協定の締結で,意匠権の保護が多少厚くなると思った矢先にねえ。

 いやあ,兎も角大問題も大問題です。負けた控訴人が上告しないかなああ。
1 ということで,知財の面白い話はないようですので,もうこんないつもとは丸っきり関係ない話にいきましょう。

 首記は,昨日から,日本橋三越本店の本館6F,特選画廊で開かれている日本画の個展です。
 で,その昔,私は発明者だったころがあり,ある意味それはクリエイターだったわけです。でも,今や杓子定規な弁護士のおっさんと化しておりますので,創作っていうことはよくわかりません。

 と書いたのですが,いやいや今年は私は本書いたがな~忘れてましたわ。まあいいや,兎に角,現役のクリエイターの話ですね。

2 で,まあこれは何度かここで紹介している私の妹です。今は愛知県立芸術大学の准教授となり,名古屋方面に居るのですが,たまには東京の百貨店で個展をやって荒稼ぎというわけです。

 で,折角の機会ですので,私も見に行こうと思います。ただ,絵って何がどうなのか,どういう絵がいいのかさっぱりわかりませんね。
 文章って結構わかりますね。裁判所に出す書面とか,判決とか,事件の客観的なレベルとは異なる文章の良し悪しってかなりわかります。
 音楽もわかりますね。でも,絵ってわからんですねえ。うまいか下手かはわかりますよ。でもうまい絵だって,うまさ自体は写真には負けるでしょうから,写真ではない絵の良さ~っちゅうのがさっぱりですわ。

 まあそんなことは兎も角も,1週間ほどやっていますから,お時間がある方は見に行って,ついでに絵もお買い求め頂くと,妹も三越も大喜びなので,よろしくお願いします。

3 宣伝ついでに自分の宣伝もしておきますかな。
 まさか架空の人物だと思っている人はいないと思いますが?,私は弁護土です。小さな法律事務所を五反田で開いております。ソニー通り(八ツ山通りというらしいですが。)沿いで,五反田の駅から歩いて5分もかかりません。

 扱う分野は,知財,特に特許が多いですね。あとは,技術系,つまりはメーカーとかIT系の企業法務(債権回収,契約書作成,労使の調整,訴訟)がメインです。

 未だに,時々,家事関係でお電話を頂くことがあるのですが,いやあ夫婦げんかは犬も食わないんですし,親族間の骨肉の争いに入ったって碌なことにはなりません。要するに,全くやっていません。
 あと交通事故とかもやりませんね~。消費者系の事件もやりません。

 こんなんで,よく独立してやっていけるなあって話なのかもしれませんが,細々と,そして私が面白いと思えるものでやっております。

 基本いつも暇しておりますので,知財の仕事がありましたら是非ご検討いただければ非常にありがたいです。あと,飲み会の誘いも大歓迎です。人見知りなもので,パーティーとか全く出る気はありませんが,飲み会ならOKです。

 ついでにもう一つ,今年の夏,レクシスネクシス・ジャパン社から,「知財実務のセオリー」という本を出しました。いまだ原稿料はもらっておりませんが,これが売れると多少は潤いますので,こちらも是非お願いします。

 ま,こんな所ですかな。閲覧数の影響のあるうちに,うっしっし~。
1 概要
 本件は,小説家,漫画家又は漫画原作者である被控訴人ら(原告ら)が,控訴人ドライバレッジ(被告)は,顧客から電子ファイル化の依頼があった書籍について,著作権者の許諾を受けることなく,スキャナーで書籍を読み取って電子ファイルを作成し,その電子ファイルを顧客に納品しているところ,注文を受けた書籍には,被控訴人らが著作権を有する原判決別紙作品目録1~7記載の作品(原告作品)が多数含まれている蓋然性が高く,今後注文を受ける書籍にも含まれる蓋然性が高いから,被控訴人らの著作権(複製権)が侵害されるおそれがあるなどと主張し,①著作権法112条1項に基づく差止請求として,控訴人ドライバレッジに対し,第三者から委託を受けて原告作品が印刷された書籍を電子的方法により複製することの禁止を求めるとともに,②不法行為に基づく損害賠償として,控訴人らに対し,弁護士費用相当額として被控訴人1名につき21万円の連帯支払を求める事案です。

 これに対して,原審(平成24年(ワ)33525号(東京地裁平成25年09月30日判決))の東京地裁民事第29部(大須賀さんの合議体ですね。)は,原告らの請求の一部(差止については全部)を認めました。
 ま,要するに,巷で話題の自炊代行業者に対する訴訟事件のやつです。

 で,上記のリンクのとおり,原審は,ここでも述べたとおり,もう本当杓子定規っていう感じのつまらない判決でした。例の,枢要な行為をしたのは誰か?っていう基準です。ほんで,原審は,これが自炊業者だからって,原告らの請求を認めたわけですね。

 さて,控訴審の知財高裁はどうだ?っていう話です。
 
 結論としては,知財高裁4部(富田さんの合議体ですね。)は,控訴を棄却しております。つまりは,原審のとおりでよし!というわけです。

2 問題点
 問題点は,もう誰が複製行為の主体か?っていうそれだけです。ただ,原審のときに私がちょっと書いたとおり,この論点自体原被告双方,何かイマイチ主張立証が不足していて,不意打ちのような気がしたのです。
 ですので,知財高裁できちんと原被告双方の主張立証を踏まえた判断があれば,いいなあと思っていました。

 で,原審がイマイチなのは,主張立証が不十分な上,上記の最高裁の規範をそのまんま使用したという点です。要するに悩みがないんだよねえ。

 いやあ裁判所って,お高くとまっているけど,所詮税金で賄われている役所に過ぎないわけです。
  官僚のシステム同様,試験を受かればそうなれますが,別にそれが絶対じゃあありません。米国のように選挙で選んだり,弁護士の中から選んだりしてもいいわけです。

 要するに,裁判官の地位なんかアプリオリなもんじゃありません。にも関わらず,納税者のオファーについてサボタージュするようなことがあれば,これは背信行為であり,給料泥棒と言っていいと思います。

 原審が腹立つのは,こういうサボりが見られたからですね。

 ま,とっとと判決に行きましょうか。

3 判旨
「「著作者は,その著作物を複製する権利を専有する。」(著作権法21条)ところ,「複製」とは,著作物を「印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製すること」である(同法2条1項15号)。そして,複製行為の主体とは,複製の意思をもって自ら複製行為を行う者をいうと解される。
 本件サービスは,前記1(1)で認定したとおり,①控訴人ドライバレッジに書籍の電子ファイル化を申し込む,②利用者は,控訴人ドライバレッジに書籍を送付する,③控訴人ドライバレッジは,書籍をスキャンしやすいように裁断する,④控訴人ドライバレッジは,裁断した書籍を控訴人ドライバレッジが管理するスキャナーで読み込み電子ファイル化する,⑤完成した電子ファイルを利用者がインターネットにより電子ファイルのままダウンロードするか又はDVD等の媒体に記録されたものとして受領するという一連の経過をたどるものであるが,このうち上記④のスキャナーで読み込み電子ファイル化する行為が,本件サービスにおいて著作物である書籍について有形的再製をする行為,すなわち「複製」行為に当たることは明らかであって,この行為は,本件サービスを運営する控訴人ドライバレッジのみが専ら業務として行っており,利用者は同行為には全く関与していない。
 そして,控訴人ドライバレッジは,独立した事業者として,営利を目的として本件サービスの内容を自ら決定し,スキャン複製に必要な機器及び事務所を準備・確保した上で,インターネットで宣伝広告を行うことにより不特定多数の一般顧客である利用者を誘引し,その管理・支配の下で,利用者から送付された書籍を裁断し,スキャナで読み込んで電子ファイルを作成することにより書籍を複製し,当該電子ファイルの検品を行って利用者に納品し,利用者から対価を得る本件サービスを行っている。
 そうすると,控訴人ドライバレッジは,利用者と対等な契約主体であり,営利を目的とする独立した事業主体として,本件サービスにおける複製行為を行っているのであるから,本件サービスにおける複製行為の主体であると認めるのが相当である。」

4 検討
 控訴人の主張の中で,枢要な行為をしたのは俺じゃあねえよ~利用者だよ~という主張があるのですが,判決は,枢要な行為を判示したのは,これに対する応答のみです。
 ですので,上記のとおり,メインの判示の部分で,規範としても,当てはめとしても,枢要な行為という言い方は避けております。

 ですので,まあ多少原審よりは悩みも見えるかなあ,給料分くらいの仕事はしているかなあという所です。
 ただ,意思を持って行為するのが,その行為主体だと言ってるだけですので,そんなの当たり前じゃん,サッカーをするというのはサッカーをする行為のことを言うのであるとか,読書とは本を読むことであるとか,勿体つけて言ったり難しく言ったりすることはバカか若しくは極めて質の悪いやつがすることである,ってのと同じです。

 もう何なんでしょ。

 こういう著作権の判決を読んでよく思うことは,本当大企業寄りだなあってことです。
 テレビ番組のネット配信サービスの一連の判決で,何がどうなったかというと,ベンチャー企業を駆逐して大手電機会社を利することになった,ただそれだけです。
 これはソニーのサービスです。これはパナソニックです。このように,基本,ベンチャー企業がいろいろ頭を使っていたことを大企業はパパっとやっちまったわけです。ひどいと思いませんか。
 勿論,放送局がソニーやパナソニックを訴えることはありません。だって,スポンサーなんですよ,客を訴えるバカがどこにいますかいな。

 今回の自炊の話も同じですよね。バーターは何かというと,今般改正のあった電子出版権です(来年1/1から施行)。
 つまり,デカイ会社が自分の所で,電子書籍化するんだから,ゴミクソみたいなベンチャー企業がやる必要はねえんだよ,オタクは家でアニメ見てマスかいてりゃいいんだよ,バーカっていうのが,裁判所を初めとする偉い大人の皆さんの判断なわけですね。

 どうですか~お客さん~何かつまらん話だと思いませんかねえ。
 一事が万事,この調子~♪これで,アベノミクス第三の矢とかありえねえって思うのが普通ですよね。だって,イノベーションが大事なはずの知財の分野で,これだけ既得権益を守ることが明明白白に見られるわけですからね。いやあ,見通し暗いぜ,ベイベー。
1 まあ特に知財の面白い話題もないようですので,こういった話にします。

 タイトルでピンと来たあなたは,かなりすごいですね。他には,20ten,Lotusflow3r・・・という所でしょう。

 何かというと,これprinceのニューアルバムですね。10月の初めから売出していたようですが,私の方は漸く入手です。
 やっぱ音楽基本聞かないので,どうしても遅れるのですね。ああ,あと本も読みませんね~。別に何の自慢にはならないのですが,所謂本ってやつを全く読みません。あ,ここでいう本ていうのは,小説とかの嘘話の類のやつのことですね。

 私が理系たる所以は,小さいころから全く本を読まなかったことでしょうかね。
 だってつまんなかったからです。そんな嘘話よりも実際の世の中の事柄,回りでの自然現象とかの方がよっぽど興味深かったですもん。虫や,草や,川の流れ,魚や鳥,星や土,そんなのばっかに興味があれば,本なんか読みませんよ。だから,漫画も読まなかったですね~。

 作家の東野圭吾さんも理系ですが,何かのインタビューで,やはり本を読まなかった,読書が嫌いだったみたいな話をしていて,ああ一緒だなあと思ったことがあります。

 何か最近出来る人は本を読む~みたいな話が多いですが,そんなことないですよ。
 本なんか所詮過去の話しか書いてませんから,鵜呑みにすると間違ったりしますし,誇張してたり,そもそも丸っきり作り話ってえのも多いですからね。何事も実践,実戦です。

 おお,かなりまた脱線しましたが,ということで,プリンスの新しいアルバムを入手したというわけです。

2 そのために,前のアルバムのことを書いた記事を見ていたのですが,もう4年も前ですね。いやあ,かなり時間があきました。プリンスにしては,4年って長いですね。基本多作の人なもので。

 で,早速聞いてみましたが,どんどん先祖がえりしているって感じですね。私はそんなブラックミュージック詳しい方ではありませんが(パブリックエネミーくらいで止まっています。),プリンスのアルバムでいうと戦慄の貴公子,くらいの感じですね。

 勿論,昔の,それこそ夢中で聞いていたサイン・オブ・ザ・タイムスのころのように,出すアルバム,出すアルバム,最先端のバリバリってわけではないと思うのですが,私はこれで良いと思うのですね。新しけりゃいいってもんじゃないですよ。特に私のような保守的なネトウヨ弁護士大先生ともなれば,昔っぽいことにしかシンパシーは感じませんもんね。

 ただ,今回このアルバムだけじゃないのです。Plectrum Electrumという,バックアップしているガールズバンドとの共作アルバムも発売になりました。
 これはまだ聞いていないのですが,やはり多作なところが凄いなあと思いますね。

 で,今回,輸入盤で購入したのですが,国内盤も発売されております。国内盤が発売されるというのは嬉しいことなのですが(もしかすると呼び屋が呼んで,久々生で見れるかも~ってことにつながりますので。),輸入盤との価格差が約1000円ありますよね。

 とすると,残念ながら輸入盤を買ってしまいますよ。国内盤は,歌詞とその訳と,ライナーノートとかいうどうでもいい駄文がついてくるだけですからね。そんなのいいから安くせーよ,と思うのは私だけでしょうかね。

 この前はクレイジーケンバンドの新譜も出ましたし,久々音楽を聞く機会も増えるかなあって所です。

 

1 知財の判決のアップはないようですので,ちょっと古いこんなもので行きます。

 実は,昨日,例の安請け合いした弁護士知財ネットの判決勉強会でした。
 実にやる気の起きない判決だったので,準備も進まず,非常に憂鬱に昨日を迎えたのですが,大過なく終えることができ,まずは肩の荷が下りました。あーあ,特許の審決取消訴訟での進歩性の技術的に難しい話がしてえや~とずっーと思いながら話してましたけどね。

 ま,そんな愚痴はいいとして,折角なので,その判決をここでも紹介することにします。

2 概要
 本件は,平成14年4月15日に設立され同年6月28日に文化庁長官から著作権等管理事業者の登録を受けた一審原告(株式会社アジア著作協会)が,日本において通信カラオケ業を営む一審被告(株式会社第一興商)に対し,原著作権者(原権利者)である韓国内の作詞家・作曲家・音楽出版社等が権利を有する音楽著作物に関し,韓国法人である「株式会社ザ・ミュージックアジア」(日本語訳)・「The Music Asia」(英語訳)(TMA社。ただし,平成18年10月4日に解散決議がなされ,平成19年3月28日に清算結了登記済み)を通じ又は原権利者から直接に,著作権の信託譲渡を受けた等として,平成14年6月28日から平成16年7月31日までの著作権(複製権,公衆送信権)侵害に基づく損害賠償金又は不当利得金9億7578万6000円及びこれに対する平成16年9月9日(訴状送達の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案です。

 一審(東京地裁平成16年(ワ)第18443号,平成22年2月10日判決)では,原権利者らが一審原告に対し信託の清算事務として訴訟を追行することを認めるとの意思を表明している場合に限って一審原告の原告適格が認められる等として,その表明をしない原権利者に係る請求部分につき訴えを却下し,本件訴訟係属中の平成19年4月から6月にかけて書面(確認書B)によりその表明がなされた部分及び直接契約に係る部分に関しては,JASRAC規程の個別課金方式によって一審原告の損害額を算定して,一審被告に対し2300万5495円及び遅延損害金の支払を命じたものです。

 これに対して,両当事者とも不服として,控訴したのが,今回の事件です。

 そして,知財高裁1部(中野さんの合議体ですね。)は,一審被告に対し642万6464円及び遅延損害金の支払を命じました。つまり,一審よりかなり低くなったのですね。

 時系列はこんなところです。

 平成16年8月31日 X→Y訴訟提起(東京地裁)    
 平成18年7月14日    ②契約の解除通知    
 平成18年10月4日 TMA解散決議。    
 平成19年3月28日 TMA閉鎖登記(清算結了)。    
 平成19年3月31日 ②契約解除(「本契約は,通知の到達の日から6か月を経過した後最初に到来する3月31日をもって終了する。」という条項あり。)(ただし多少争いあり。)
 成22年2月10日 一審判決

 あ,②契約というのは,原告とTMA社の間の契約のことです。

3 問題点
 いわゆる争点はすごくあります。韓国の著作権管理団体と著作権者との話ですから,渉外事件として,あとは中に入っていたTMAが解散していますので,それによる信託譲渡契約の後処理の問題です。さらには,損害額についても,一審原告方式では高すぎるんじゃないかという争点まであります。

 なので,法的には結構複雑で,判決も長いです~。ただ,上記のとおり,そういうのって私はあまり興味がありませんね。しかも,韓国の著作権の話~,つまりK-popの上がりをどうのこうのっていう話ですからね,はっきり言って従軍慰安婦問題をきちんと片付けてから,日本で商売せいーや,われ!って所も非常にありますからね。

 おっと,また議題から逸れそうですが,ただ,一審と二審で判断が違う所は一箇所しかありません。それは,中に入っていたTMA経由での信託譲渡楽曲の取扱いです。

 一審では,信託譲渡契約が終了していても,場合によっては,ただちに訴訟提起中の損害賠償請求権が元に戻ることはないとしていたのですね。ですので,一審原告にも当事者適格が認められ,TMA経由での信託譲渡楽曲についても請求が一部認められたわけです。

 ただ,信託譲渡契約が終わったら著作権は元に戻るはずなのに,この損害賠償請求権が戻らないのは何故?っていうところがイマイチよくわかりませんね。

 この辺,L&Tに道垣内正人先生の論文があり,そこには詳しいです(L&T6361頁)。でも,何か為にする議論って感じで,実にどうでもいいや~って気がしますね。

 私としては,著作権が戻るんだから,それに基づく損害賠償請求権も戻るのが当然で,場合によってまずいときには信義則か何かで阻めばいいじゃんというところです(事案を解決できりゃあいいのです。)。

 というところで,二審はどうだったのでしょう。

4 判旨
「ウ  ところで,前記1の認定事実によれば,平成15年(2003年)9月18日付けでなされた著作権信託契約書(TMA・原告契約,乙24)の第19条には「甲は,信託期間内においても書面をもって乙に通知することにより本契約を解除することができる。この場合本契約は,通知の到達の日から6か月を経過した後最初に到来する3月31日をもって終了する」旨記載され,その後上記契約書の甲であるTMA社代表者P1は当時の一審原告代表者P13宛てに,平成18年(2006年)7月14日付けの書面(乙7の2)により,「本件契約第19条に基づき,貴社に対し契約の解約を通知致します」との通知を同年7月20日ころ発し,まもなく一審原告に到達しているのであるから,TMA・原告契約は,上記通知が到達した平成18年(2006年)7月20日すぎころから6か月を経過した後最初の3月31日である平成19年3月31日を以て終了したものというべきである。 
 上記終了により,一審原告の受託財産である原権利者の有する著作権(複製権・公衆送信権)は直ちに委託者であるTMA社に移転したというべきであり(TMA社が平成19年(2007年)3月28日付けで清算結了登記を経由していたとしても,返還を受けた著作権との関係では依然として法人格を有すると解される。),上記著作権の侵害を理由とする一審被告に対する損害賠償債権(請求権)もTMA社に移転すると解するのが相当である。 
 もっとも,一審被告に対する著作権侵害を理由とする損害賠償債権(請求権)は,一審原告が一審被告に対し原審の東京地裁にその支払を求める民事訴訟を提起し現に係属中であったから,その移転時期はいつかという問題がある。しかし,TMA社からの解約(解除)通知が発せられたのが平成18年(2006年)7月20日ころであり,契約終了時とされたのがそれから8か月余を経過した平成19年(2007年)3月31日であるから,係属中の損害賠償請求訴訟を一審原告からTMA社に承継させるための猶予期間としては十分であると解することができ,一審原告は平成19年3月31日の経過により,TMA・原告契約に基づく本件著作権と一審被告に対する損害賠償債権(請求権)の管理権限を全て失ったと認めるのが相当である。この結論は,その後一審原告が,原権利者の一部の者から確認書B(甲75,甲80の1~44(欠番部分を除く。))及び確認書D(甲145の1の1ないし甲145の62の1,甲150の1,甲151の1,甲152の1,甲153の1,甲158の1,甲160の1,甲161の1)を取得したことを考慮しても,影響を受けるものではない。 
 一審原告は,平成19年(2007年)3月31日を経過しても上記管理権を失わないと主張するが,これを採用することができない。」

5 検討
 上記のとおり,二審では,著作権も戻り,損害賠償請求権も戻り,原告は権利者ではないよ~,残念でした~という結論です。
 ただし,一審では,何故損害賠償請求権が戻らないか,ちょっとした理由は書いてあったのですが,二審では,そんな理由は書いておらず,猶予期間の話しかしておりません。ま,だから,これを見ても,あんまり理屈じゃないのではないかなあという気が実にするわけですね。

 この判決は,平成25年1月30日,上告不受理決定で,控訴審判決が確定しております。ですので,このとおりになったわけですね。

 以上,昨日の発表の判決の紹介でした。

 で,これで,H24年度に言い渡した審決取消訴訟以外の判決はすべて終了で,来月の勉強会からは違う感じになるらしいです。
 ただ,私としては,やっぱ審決取消訴訟をやって欲しいのですね。そして,特に進歩性が論点のものを,です。

 だって,元になった知財高裁判例集の収録判決176件のうち,特許の進歩性の判決は,何件だと思いますか?何と56件です!3割ですよ,3割!
 弁護士知財ネットと言いながら,知財における最重要の論点はスルーしているわけです~ちゃんちゃら可笑しいとはこのことです。

 だから,弁理士になめられるわけですよ。そうするとどうなるかというと,こんな重要な論点について,あ,弁護士なんか頼んでもしょうがねえってことで,大きなマーケットを失うことになる~それが現状なわけです。

 審決取消訴訟で,弁護士なく訴訟遂行されているものってたくさんありますよね。にも関わらず,勉強会でも進歩性を避けていたら,あ,やっぱ弁護士じゃ無理なんだって,クライアント筋は思ってしまいます。
 ということで,別に自分の得意分野の発表がしたいわけではなく,金を儲けるにはこういうことが大事じゃねえのかなあって話でした。

6 追伸
 本日の東京は,最高気温が25度にいかないくらいの肌寒い一日でした。
 8月でこんな涼しいのは珍しいんじゃないですかね。散歩に行っても普段ギャンギャン鳴いているセミが全く鳴いておりませんでした。気温には敏感なんですね。

 こういう北東からの冷たい風が吹くと,湘南の波は全く上がりません。不思議なもんですね。オフショアはオフショアなのですが,うねりが全くないので,何の足しにもならないってやつです。
 私が大分に帰省している間も,湘南は波があんまりなかったようですが,去年も確か夏は波が少なかったのですね。ただ,去年はずっと暑かったような気はします。

 このまま秋になるんですかね~。

1 本日も判決の良いアップはないので,こんなで。

 と言っても,この話は随分前から私は注目していたものなのです。で,それが実に残念な結果に終わりました。日本でも,放送局のインハウスや,それ系の代理人はほっとしているでしょうがね~。

2 問題点が何かは,昔の私のブログの記事に書いていますので,そこを見て下さい。テレビをネットで見るサービスは日本では悉くつぶされました。

 まねきTVまでは・・と思ったのですが,これもダメでした。しかも,最近は,放送局は大きな会社のため,民事ではなく,刑事,つまり刑事告訴を先行させてきています。
 大きな在京のキー局が雁首を並べて,どこかの警察署に告訴状を提出したら,あっという間に警察は動いてくれます。

 私のような弱小弁護士が,弱小クライアントの代理をしても,あーだこーだ,こーだあーだ言って全く動かないくせにな~。
 ま,世の中の99%はプロレスだと豪語したのはこの私ですが,まさにこういうのはブックとおりの出来レースです。

 そのため,海の向こうの話ではあったのですが,まねきTV事件以降,唯一残された論点が争われたこの事件について注目していたのですね。
 エアの入力,つまりアンテナ部分からして全部顧客のものだったら,OKなんじゃないだろうか?という問題です。

3 で,今日の報道によると,NGという判断だったわけです。勿論これは米国の連邦最高裁判所の判断であって,日本で同じことをやってOKの可能性も無いことは無いです。でも,通常は,だめでしょうね~♫

 今,サッカーW杯をやっており,スマホでテレビを見れたらなあという需要はすごくあると思うのですね。ワンセグ見たらいいじゃないの~という話ではあるのですが,ワンセグは地下鉄やトンネルでは見れません。Wi-Fiの環境がかなり整備された今,地下鉄やテレビの電波状況に関わりなく,W杯を見たいなあと思った人は多いと思いますよ。
 まあもう日本は負けてしまったけど,平日の通勤時間と重なったギリシャ戦なんか,そう思った人は数多いと思います。

 で,今この現在で,ネット経由でスマホでテレビを見ようとすると,方法は無いことは無いです。結局他人任せにするからそのサービスが違法になるということで,ソニーなんかは,HDDレコーダーにそういう機能をつけたやつを売りだしてます。まねきTVの元になったロケーションフリーよもう一度ってやつです。まあ,サードパーティの製品を探せば,同じ機能のやつはまだあると思うのですけどね。でも,外付けでグチャグチャやるのは,面倒くさいですわな。
 というわけで,このソニーのHDDレコーダーは結構良い所に目をつけたと思います。更に,この機能をHDDレコーダーだけじゃなく,テレビそのものに付けてくれるといいんだけどなあと思いますね。あとソニー以外の他社も。

 ということは,結局中小零細企業を駆逐し,大企業の援護射撃をしていただけってやつですか~,偉そうな放送局の皆さんに,偉そうなインハウスの皆さん。まさに,世の中の99%はプロレスですなあ,滾るぜ,オイ。
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