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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 先日,知財の相談で,どっかで聞いたことあるなあという話がありましたので,今日はその話にします。

 とある会社がウェブページにある写真素材を使用していたところ,海外に本社のある横文字の会社から,うちが著作権持っている写真を勝手に使うな,法務費用(これって何?)を含めて不正使用料よこせ,ただし,早めに連絡すれば,減額してやるという旨の弁護士名での通知書が届いたというのです。

 何だかちょっと前にネットで話題になっていたような気がしますが,まさにそれですね。個別の事件についてあまり突っ込まないというのがこのブログの方針ですので,「前提となる事実」はここら辺までとします。

2 この件については,当該通知をしてきた弁護士(61期の弁護士でしたね。ということは,弁護士になってまだ3年半ですか~。大きな仕事があって羨ましい~♫違うか。)の事務所がかなり大量に通知したらしく,ネットでもああすればいい,こうすればいいという色んな情報がありました。ただ,著作権侵害でないとするのはなかなか難しいと思いますね。種々の否認と抗弁を見てみましょう。

・著作物性がない。
 まずはこれです。
 ありふれた写真じゃんか,だれでも写せるじゃん。しかし,これはなかなか難しいと思います。建築現場でよくやっているような現場黒板の記録写真ならいざ知らず,通常は著作物性ありでしょう。争ってもいいけれど,筋は良くないですね。

・著作権者じゃない。
 これもよくある手ですが,カメラマン等からの契約書でも持ちだされたらアウトです。っていうか,欧米の会社はそこまでバカじゃありませんしね。

・損害なしだ。
 これは一般の不法行為だとよく使われる手ですが,著作権法には,114条3項ってありますから,ダメでしょうね。

・正当引用だ。
 まあこれは態様次第でしょう。ですので,HPの冒頭に大きくとか,全面に渡り使用,っていうのじゃダメでしょうね。

・使用権ありだ。
 結構あるのが,HPを委託して制作してもらっていて請負会社がどこから写真素材を持ってきて使ったらしいというパターンですね。その場合,インデムがあれば,責任を押し付けられるのですが,請負会社としても,危ない橋を渡りはしませんので,基本フリーの素材しか使わないというものらしいです。そりゃそうですね。
 ところが,そのフリーのアーカイブ自身,料金がフリーなのか,著作権がフリーなのか,よくわかりません。著作権がフリーなものについて,俺のものだとすれば,そりゃ詐欺にもあたりますが,上記のとおり,欧米の会社はそこまでバカじゃありませんからね。プロパティ等に識別番号を付与して管理をし,すぐに検索できるようになっているらしいです。
 他方,問題なのは,以前料金がフリーだった場合です。著作権は譲渡できますので,今権利行使をやっている外国会社はどこかの誰かの著作権を買い取ったものかもしれません。その場合,以前はロイヤリティフリーのライセンスだったとしても,新著作権者にはそのようなことを対抗できません。何故か?売買は賃貸借を破るという大原則とおりだからです。
 勿論,それには問題もあり,そのことはここでも書きました。ですが,立法論としてはいろいろあっても,今の著作権者から使用権をもらっていなければ,この抗弁はダメです。
 消尽っていう手も考えられなくはないけど,物との結びつきが薄いこういう素材(デジタルデータ)の場合は,まあ無理でしょうね。

 以上のとおり,外国企業には権利があり,それを行使すること自体,なかなか防げないというところですね。

3 ただ,そうは言うものの座りが悪いのも事実です。
 スキームとしては,エロサイト見たろ,え,見たろ,おまえ,じゃあ金払え,というのとそう変わりありません。
 確かにエロサイトは見た,確かに写真素材は使った,このような後ろめたさにつけ込んで,それで素直にお金を払ってくれる気の弱そう~,人の良さそうな方を見つけるべく,片っ端から登録の携帯電話番号ないし,上記プロバティで確認できたウェブサイトの持ち主に,連絡するというやり方はおんなじです。

 違うのは,元の権利が適法だということですね。ですので,余計,質が悪いというか,巧妙というか,です。

 ですが,私としては無視しちゃえとアドバイスしております。
 勿論,写真素材の削除はやらせますが,それ以上にお金を取りたいなら,本来,裁判をしてくる筈です。
 ところが,上記の相談者に来た通知書を見ると,連絡してくれと書いているものの,連絡しなかったら法的措置をとる,という記載がないのです。弁護士名義で通知しているくせに,何ちゅうヘナヘナぶり~。というか,本当に裁判したら,持ち出しが大きく(写真素材一枚の著作権侵害の損害ってせいぜい数万円でしょうね。),とてもペイしないわけですよ。
 ですので,こういうところを見ても,お気軽に払ってくれる方のみを相手にしているのがミエミエなのです。

 以上のとおり,変な通知が来てもビビることはないですよ。

 おっと,結論等まで書いてしまったから,このブログで事足りて私にまで相談が来なさそうですね~♫61期の先生を見習って私も商売に徹しないとね。光り輝く大物金権弁護士になるべく!
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1 概要
 本件は,原告であるグリー㈱,が,被告である㈱ディー・エヌ・エーらに対し,被告らが共同で製作し公衆に送信している携帯電話機用インターネット・ゲームソフト「釣りゲータウン2」(被告作品)は,原告が製作し公衆に送信している携帯電話機用インターネット・ゲームソフト「釣り★スタ」(原告作品)と,魚を引き寄せる動作を行う画面の影像及びその変化の態様や,ユーザーがゲームを行う際に必ずたどる画面(主要画面)の選択及び配列並びに各主要画面での素材の選択及び配列の点等において類似するので,被告作品を製作してこれを公衆送信する行為は,原告の原告作品に係る著作権(翻案権,公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害する,などと主張して,著作権及び著作者人格権侵害を理由とする被告作品の公衆送信等の差止め及び被告作品の影像の抹消などと,不法行為に基づく損害賠償として金9億4020万円等を求めた事案です。

 何だか日が経って,出涸らし感は否めませんが,例の釣りゲームのグリー対ディー・エヌ・エーの訴訟の判決です。ようやくのアップだと思います。今日現在でもいくつか報道も残っていましたので,マスコミでのまとめから見たい人はこちらへ。

 さて,東京地裁47部(阿部さんの合議体です。)は,差止めと損害賠償金2億3460万円を認めました。ですので話題になったわけです。

 ポイントは色々あると思うのですが,ゲームの影像等(こういう字を使います。)が著作物としても,デッドコピーじゃないときに,どのくらいまで許せるか,ということに尽きるのではないでしょうか。

2 問題点
 本件では争っておりませんが,まず,この原告作品が著作物なのかという話はあります。
 ゲームソフトは従来原則として著作物だということにはなっております(パックマン事件がこの最初ですかね。)。更に,これが映画の著作物に当たるかどうかということで,大問題になったこともありますが,本件ではこれは関係ない話です。
 例の著作で,高部さんも,「ゲームソフトは,プログラムの側面でも影像の側面でも著作物性を有する」(「実務詳説 著作権訴訟」 きんざいp320)と書いてありますから,まあここはいいのでしょうね。

 つぎに本題です。まあ何の著作物かは知らないが,その著作物性はあるとして,海賊版でないデッドコピー品でない,ゲームについて,その影像が似ていた場合,どういうときに翻案権などの侵害になるのかということです(複製権は無理。あとソースコードの複製権でも無理だったのでしょうね。)。

 この問題点は今まであまり無かったと思います。勿論,ゲームソフトの著作権が問題になったことはありますし,翻案権が問題になったことはあります。でも,ゲームソフトの影像の翻案権が問題になったことって,私の知る限り,無いでしょうねえ。だってあまりに曖昧過ぎますから。
 中山先生も「原著作物に依拠し,かつ原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる場合は,二次的著作物となり,感得できない場合は別個の著作物となると説明されているが,現実に翻案であるか否かの判断は難しく,著作物のジャンル,あるいは具体的事例によっても異なるものであろう。」と書かれております(「著作権法」 有斐閣 p128。 なお,江刺追分事件は,こちら。)。

 ということは,裁判官の胸先三寸次第ということになるのですが,そうすると,予見可能性ねえー!ってことにもなりますね。

3 判旨
「(2)原告作品と被告作品の魚の引き寄せ画面とを対比すると,両者は,① 水面及びその上の様子は画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向の視点で描かれている点,② 水中の画像には,中心からほぼ等間隔である三重の同心円が描かれ,同心円の中心が画面のほぼ中央に位置し,最も外側の円の大きさは,水中の画像の約半分を占める点,③ 水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に薄暗い青で,水底の左右両端付近に,上記同心円に沿うような形で岩陰が描かれ,水草,他の生物,気泡等は描かれていない点,④水中の画像には,一匹の黒色の魚影が描かれており,魚の口から画像上部に向かって黒い直線の糸(釣り糸)が伸びている点,⑤ 釣り針にかかった魚影は,頻繁に向きを変えながら水中全体を動き回り,その際,背景画像は静止しており(ただし,被告作品では,同心円の大きさや配色,中心の円の画像が変化する。),ユーザーの視点は固定されている点,⑥ 上記同心円中の一定の位置に魚影がある場合にユーザーが決定キーを押すと,魚を引き寄せやすくなっている点,などにおいて共通することが認められる。また,証拠(甲3)によれば,原告作品以前に公表された携帯電話機用釣りゲームにおいて,上記共通点をいずれも備えるゲームは存在しなかったことが認められる。
(3) 他方,原告作品と被告作品の魚の引き寄せ画面とは,①被告作品では,同心円が表示される前に,水中の画面を魚影が移動する場面が存在する点,②同心円の配色,③魚影の描き方及び魚影と同心円との前後関係,④魚影が動き回っている間,被告作品では,同心円の大きさ,配色及び中央の円の部分の画像が変化する点,⑤同心円のどの位置に魚影がある際に決定キーを押すと魚を引き寄せやすくなっているのかという点,⑥被告作品では,中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと,円の中心部分の表示に応じてアニメーションが表示され,その後の表示も異なってくる点,などにおいて相違することが認められる。
(4) 携帯電話機用釣りゲームにおける魚の引き寄せ画面は,釣り針に掛かった魚をユーザーが釣り糸を巻くなどの操作をして引き寄せる過程を,影像的に表現した部分であり,この画面の描き方については,①水面より上や水面,水面下のうちどの部分を,どのような視点から描くか,②仮に,水面下のみを描くこととした場合,魚の姿や魚の背景をどのように描くか,③魚が釣り針に掛かった時から,魚が釣り上げられる又は魚に逃げられるまでの間,魚にどのような動きをさせ,どのような場合に魚を引き寄せやすいようにするか(ユーザーが釣り糸を巻くタイミングをどのように表現するか)などの点において,様々な選択肢が考えられる。原告作品は,この魚の引き寄せ画面について,上記(2)ア(エ)のような具体的表現を採用したものであり,特に,水中に三重の同心円を大きく描き,釣り針に掛かった魚を黒い魚影として水中全体を動き回らせ,魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の所定の位置に来たときに引き寄せやすくすることによって表した点は,原告作品以前に配信された他の釣りゲームには全くみられなかったものであり(甲3),この点に原告作品の製作者の個性が強く表れているものと認められる。
 他方,被告作品の魚の引き寄せ画面は,上記のとおり原告作品との相違点を有するものの,原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴といえる,「水面上を捨象して,水中のみを真横から水平方向の視点で描いている点」,「水中の中央に,三重の同心円を大きく描いている点」,「水中の魚を黒い魚影で表示し,魚影が水中全体を動き回るようにし,水中の背景は全体に薄暗い青系統の色で統一し,水底と岩陰のみを配置した点」,「魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の一定の位置に来たときに決定キーを押すと魚を引き寄せやすくするようにした点」についての同一性は,被告作品の中に維持されている。
 したがって,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面との同一性を維持しながら,同心円の配色や,魚影が同心円上のどの位置にある時に魚を引き寄せやすくするかという点等に変更を加えて,新たに被告作品の製作者の思想又は感情を創作的に表現したものであり,これに接する者が原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。また,これらの事実に加えて,被告作品の製作された時期は原告作品の製作された時期の約2年後であること,被告らは被告作品を製作する際に原告作品の存在及びその内容を知っていたこと(甲1の1,2)を考慮すると,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面に依拠して作成されたものといえ,原告作品の魚の引き寄せ画面を翻案したものであると認められる。」

4 検討
 本件のような系統のゲームソフトにおいては,魚の引き寄せ画面がポイントで,原告作品には従来なかった創作性のある部分があり,これが「水中に三重の同心円を大きく描き,釣り針に掛かった魚を黒い魚影として水中全体を動き回らせ,魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の所定の位置に来たときに引き寄せやすくすることによって表した点」だったわけです。
 他方,被告作品も基本この部分は同じ表現だったため,翻案権侵害としたようですね。

 いやあでもこれは本当微妙です。そう言われればそうかもしれませんが,まさにこれはアイデア(同じ無体の情報と言っても,アイデアを保護するのは特許権です。)で,著作権法では保護できない,また保護しちゃいけないものなんじゃないのかなあっていう気がしてきます。

 しかも,本件は携帯電話用のゲームの話なので,具体的表現も簡単なものですし(PC用や専用機器用のゲームソフトのように,凝った意匠や細工ができず,なるべく容量を小さくするために,単純な表現にならざるを得ない。),創作性の幅はそもそも小さいと考えられます。

 そうですから,これは,上級審でひっくり返される可能性は大ありですね。

 なお,個人的には,今後非常に参考になるものでしたね。

5 蛇足
 昨日,日弁連の会長選の上位2名による決選再投票が行われたのですが,これでも決まりませんでした(最大得票数だった山岸さんが18会を制すことができなかった。)。ですので,選挙自体最初からやり直しになります。

 本日の日経紙の社会面には解説まで入った記事が出ておりました。いやあ笑いますね。自分のトップすらまともに決めることもできないくせに,人権だとか,死刑だとか,原発だとかに口を挟んでいるのですからね。
 そういうことは,幼稚な団体には荷が重いことですから,金輪際,偽善的言動を慎むべきでしょうね。


1 表題は,本日の日経朝刊3面にあった記事の見出しです。ま,ということは,適当な判決がなかったのねん,なわけです。
 はなっから脱線しそうですが,こういうとき,ブログを書くかどうかという問題があります。
 判決や知財に纏る話がなくても,何かそれで書きたいなあと思うようなものがあれば書きます。しかし,書きたいなあと思わなければ,お休みです。
 できれば毎日書きたいところですが,別に絶対毎日続けるとか,継続は力なり~とか,そういうノイローゼ的発想は私にはありませんので。あくまで,このブログは,変わらず,お気楽・適当を旨としております。

 そうそう,法曹の方の間には,結構広まって来ました。
 知財関係の法曹のブログはそもそも少ない上(弁理士はありますよ。),しがらみがあるのか,それとも金持ち喧嘩せずなのかわかりませんが,読んでいてつまんないものが多かったと思います。
 他方,私と言えば,顕名した上,言いたい放題ですから,暇つぶしになるくらいは面白いのではないかなあと思っております。

 ただ,これ言いたい放題のようですが,かなり気を使っているのですよ。というのは,仕事柄,インターネット上の名誉毀損,信用毀損,プライバシー侵害関係の紛争も扱っておりますので,自分が当事者になってもなあ~というところだからです。いや,それで,仕事が増えて金がガッポガッポ入るなら,悪徳金権弁護士としては願ったり叶ったりなのですが,そんな訳ないですからね~♫

 さて,本題に入りましょうかね。

2 内容は,記事を見ていただくとして,興味を引く点がいくつもありました。

 まず,記事にあった棒グラフです。
 昨年末これも日経紙だと思いますが,音楽市場で,日本が世界一になりそうだという報道がありました。長い間,アメリカがぶっちぎりの一位で,日本が二位,という状況が続いていたのです(これも知らない人が多いのではないでしょうか。スポーツで言えば野球みたいなもので,日本はかなりの大市場なのです。)。ところが,アメリカの市場規模が急速にシュリンクして,タナボタ的に日本が世界一になるという内容だったと思います。

 今日の記事はまさにそれを裏付けるものです。日本のCDの売上げは2006年と比べると3300億円くらいのものが,昨年2000億円少しになっております。他方,アメリカのCD売上げは,2006年が55億ドルくらいのものが,昨年20億ドル弱と,半分以下です~♫。さらに,音楽配信って,両国ともあまり伸びていません(日本で,500億円のオーダー,アメリカでも20億ドルを少し超えたくらいで,ここ数年はほぼ横ばいです。)。
 
 こう見ると,似たような傾向だけれども,アメリカにおけるCDの売れなさ加減はもの凄く,アメリカでもそんなに音楽配信は伸びていない,ということがわかりますね。

3 さらに,これらの原因は何だろうと思うところもあります。
 一つは,潜在的にいい曲はあり,そのニーズもあるんだけど,入手方法が少なかったり(CD屋がつぶれた。),面倒だったりして(音楽配信の著作権制限など),それで音楽を聞かなくなった,又は少なくともお金を払って聞かなくなった,というものです。
 この対処としては,それこそ今日の日経紙の如く,アップルのようにネット配信を安く,便利にすれば,回復するということになるでしょう。まあまあこれも一理はあると思います。テレビ離れと言われて久しいですが,昨年の「家政婦のミタ」のようなものも出てきますからね。

 でもそれがメインでしょうか。音楽なんてものは別に聞かなくても死にはしません~。上記で,テレビドラマのことを取り上げましたが,これは例外的だからこそ話題になったわけで,全体的にシュリンクしているのは明白です。つまりは,音楽業界も,いわゆるオワコン,というのがその最大の原因ではないかと思っております(大していい曲もねえし,大して興味もねえーってことでしょうかね)。

 この先,対処療法で,少しは売上げが上がることはあっても,長期的な下落傾向は変わらないと思いますよ。ですので,海賊版等を目の敵にしたり,著作権法をいじくり回したりしても,関係ないね~♫(柴田恭兵風)ってことのような気がします。

 それに,上で述べたように,音楽業界の市場規模って,5000億円ないのですね。日本とアメリカ併せても1兆円も満たない,かなり小さい市場です。ちなみに,新車の市場規模は約40兆円,家電の市場規模は約60兆円と,音楽業界は,これらの市場に比べてオーダーで二桁も小さいのです。

 別なことを探して,別なことをやった方がいいんじゃねえの~。ホホホ。
1 概要
 本件は,上告人(東宝です。)が,著作権法(新法)の施行日である昭和46年1月1日より前に公開された映画の著作権侵害を理由として,上記映画のDVD商品である原判決別紙「被告商品目録」記載の各商品(本件商品)を海外において製造して輸入し,頒布する被上告人に対し,民法709条,著作権法114条3項に基づき,損害賠償を求める事案です。
 
 原審(知財高裁平成21年(ネ)10050号、平成22年6月17日判決。当時1部の塚原さんの合議体でした。)は、一審の認めた差し止めは正当だとしたものの、損害賠償については、「被告が,その著作権の存続期間が満了したものと考えた点に過失はなく,」として、認めませんでした。
 
 そして、この原審に不服の東宝が上告受理申立てしたのが本件、というわけですね。

 これに対して、最高裁(第三小法廷)は、原判決を破棄して、差し戻ししました(要するに、過失あり!ということです。)。
 
 まあ一連の著作権切れ?廉価DVDを巡る争いの一つということです。
 
2 問題点
 最高裁の判決でもあがっているとおり、問題点は一つです。
被上告人は,上記映画の著作権の存続期間につき旧著作権法(昭和45年法律第48号による改正前のもの。以下「旧法」という。)6条が適用されると考え,既に上記映画の著作権の存続期間は満了したと誤信していたと主張するところ,被上告人が,本件商品の輸入及び頒布をしたことにつき,過失が認められるか否かが争点となっている。」のとおりです。
 不法行為に基づく損害賠償請求ですからね、過失が必要、というわけです。
 
 原審は、上記のとおり、過失なしとしております。理由は以下のとおりです。
 「旧著作権法における映画の著作物の著作者については,原則として自然人が著作者になるのか,例外なく自然人しか著作者になり得ないのか,映画を制作した法人が著作者になり得るのか,どのような要件があれば法人も著作者になり得るのかをめぐっては,旧著作権法時代のみならず,現在でも学説が分かれており,これについて適切な判例や指導的な裁判例もない状況であることは,証拠(甲4,86ないし89,乙1ないし7等)に徴するまでもなく,当裁判所に顕著である。
 旧著作権法下における映画著作権の存続期間の満了の問題については,シェーン事件における地裁,高裁,最高裁の判決が報道された当時,法律家の間でさえ全くといってよいほど正確に認識されておらず,この点は,チャップリン事件の地裁,高裁,最高裁の判決が出た今日でも,同事件に登場してくるチャップリンが原作,脚本,制作,監督,演出,主演等をほぼすべて単独で行っているというスーパースターであるため,十分な問題認識が提起されたとはいえない。この問題が本格的に取り上げられるようになったのは,映画の著作権を有する会社が,我が国で最も著名な映画監督の1人といえる黒澤明の作品について,本件の原告等が本件の被告に対し本件と同種の訴訟を提起したことに事実上始まっているにすぎない。そして,チャップリン事件では,最高裁は先例性のある判断を示しているが,黒澤監督の作品では,黒澤監督以外に著作者がいることが想定されており,明らかにチャップリン事件よりも判例として射程距離が大きく判断も難しい事件であるところ,最高裁は上告不受理の処理を選択し,格別,判断を示していない。そして,本件各監督は,有名な監督ではあるが,黒澤監督の作品よりも,その著作者性はさらに低く,自然人として著作者の1人であったといえるか否かの点は判断の分かれるところである。
 そうであるとすれば,本件において,何人が著作者であるか,それによって存続期間の満了時期が異なることを考えれば,結果的に著作者の判定を異にし,存続期間の満了時期に差異が生じたとしても,被告の過失を肯定し,損害賠償責任を問うべきではない。原判決は,被告のような著作権の保護期間が満了した映画作品を販売する業者については,その輸入・販売行為について提訴がなされた場合に,自己が依拠する解釈が裁判所において採用されない可能性があることは,当然に予見すべきであるかのような判断をするが,映画の著作物について,そのような判断をすれば,見解の分かれる場合には,裁判所がいかなる見解を採るか予測可能性が低く,すべての場合にも対処しようとすれば,結果として当該著作物の自由利用は事実上できなくなるため,保護期間満了の制度は機能しなくなり,本来著作権の保護期間の満了した著作物を何人でも自由に利用することを保障した趣旨に反するものであり,当裁判所としては採用することはできない。
 いろんな学説があり、個々の事実によっても分かれる話であって、こんなので過失ありとしたら、やりきれんわい、ってところなんでしょうかね。
 
3 判旨
 「旧法下の映画の著作者については,その全体的形成に創作的に寄与した者が誰であるかを基準として判断すべきであるところ(最高裁平成20年(受)第889号同21年10月8日第一小法廷判決・裁判集民事232号25頁),一般に,監督を担当する者は,映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与し得る者であり,本件各監督について,本件各映画の全体的形成に創作的に寄与したことを疑わせる事情はなく,かえって,本件各映画の冒頭部分やポスターにおいて,監督として個別に表示されたり,その氏名を付して監督作品と表示されたりしていることからすれば,本件各映画に相当程度創作的に寄与したと認識され得る状況にあったということができる。
 他方,被上告人が,旧法下の映画の著作権の存続期間に関し,上記の2(7)アないしウの考え方を採ったことに相当な理由があるとは認められないことは次のとおりである。
 すなわち,独創性を有する旧法下の映画の著作権の存続期間については,旧法3条~6条,9条の規定が適用される(旧法22条ノ3)ところ,旧法3条は,著作者が自然人であることを前提として,当該著作者の死亡の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間を定めるとしているのである。旧法3条が著作者の死亡の時点を基準に著作物の著作権の存続期間を定めることを想定している以上,映画の著作物について,一律に旧法6条が適用されるとして,興行の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間が定まるとの解釈を採ることは困難であり,上記のような解釈を示す公的見解,有力な学説,裁判例があったこともうかがわれない。また,団体名義で興行された映画は,自然人が著作者である旨が実名をもって表示されているか否かを問うことなく,全て団体の著作名義をもって公表された著作物として,旧法6条が適用されるとする見解についても同様である。最高裁平成19年(受)第1105号同年12月18日第三小法廷判決・民集61巻9号3460頁は,自然人が著作者である旨がその実名をもって表示されたことを前提とするものではなく,上記判断を左右するものではない。そして,旧法下の映画について,職務著作となる場合があり得るとしても,これが,原則として職務著作となることや,映画製作者の名義で興行したものは当然に職務著作となることを定めた規定はなく,その旨を示す公的見解等があったこともうかがわれない。加えて,被上告人は,本件各映画が職務著作であることを基礎付ける具体的事実を主張しておらず,本件各映画が職務著作であると判断する相当な根拠に基づいて本件行為に及んだものでないことが明らかである。
 そうすると,被上告人は,本件行為の時点において,本件各映画の著作権の存続期間について,少なくとも本件各監督が著作者の一人であるとして旧法3条が適用されることを認識し得たというべきであり,そうであれば,本件各監督の死亡した時期などの必要な調査を行うことによって,本件各映画の著作権が存続していたことも認識し得たというべきである。
 以上の事情からすれば,被上告人が本件各映画の著作権の存続期間が満了したと誤信していたとしても,本件行為について被上告人に少なくとも過失があったというほかはない。」
 
4 検討
 要するに、旧法下の映画の著作権については、いつ著作権が切れるかについて論点はあったものの、被上告人(被告)の言う程突飛な説があったわけではなく、ちょっと調べればわかるほどには議論は収束していたんだから、やすやすとそれを怠ったあんたに過失はあるんだね、これが、ということでしょうね。
 
 さて、問題となるのは主として旧法なので、旧法の条文を示しておきましょう。
 (旧著作権法3条1項)「発行又ハ興行シタル著作物ノ著作権ハ著作者ノ生存間及其ノ死後三十年間継続ス
(旧著作権法6条)「官公衙学校社寺協会会社其ノ他団体ニ於テ著作ノ名義ヲ以テ発行又ハ興行シタル著作物ノ著作権ハ発行又ハ興行ノトキヨリ三十年間継続ス

(旧著作権法52条1項)「第三条乃至第五条中三十年トアルハ演奏歌唱ノ著作権及第二十二条ノ七ニ規定スル著作権ヲ除ク外当分ノ間三十八年トス
(旧著作権法52条2項)「第六条中三十年トアルハ演奏歌唱ノ著作権及第二十二条ノ七ニ規定スル著作権ヲ除ク外当分ノ間三十三年トス
 
 そして被告は、本件映画は、旧法6条に該当し、経過規定などより、公開後50年で著作権が切れると思っていた~♪と主張していたようです。

 被告もプロ(事業者)ですので,当事者がプロの場合の通常訴訟での過失というか注意義務というかの話との均衡からすると,不注意と認定されるのは仕方ないかなあという感がします。
 儲けを得るにはそれなりのリスクも内在しているはずですから,リスク込みで引き受けないとね,ということです。都合の良い時だけ,素人みたいなこと言っちゃダメよ,ということでもありますが。

 ただ,原審の塚原さんを擁護するわけではないですが,一般的な法領域では,上記でもよいとしても,著作権の寿命の論点に限れば,若干致し方ないと思う所があります。

 というのは,結局法的な論点というのは,争いにならない限り顕在化せず,学説も対応できないのですね。
 そりゃそうですよ,法学は典型的な実学であり,仮定の話や空中戦をしてもしょうがないですからね。例えば,判示されている最高裁平成20年(受)第889号は,いわゆるチャップリン映画事件で,結構最近の話ですし,もう一つ判示されている最高裁平成19年(受)第1105号の,いわゆるシェーン映画事件もやはり最近の話ですしね。

 あと,一応念のために述べておきますけど,今回の判決と上記のチャップリン事件やシェーン事件と,論点は微妙に違いますからね。
 チャップリン事件やシェーン事件は,あくまで客観的な著作権の寿命がいつまでだったかということが争いになった事件です。
 他方,今回の事件は,そこはさておき,客観的には寿命が尽きていないのに,寿命が尽きていると誤信した場合の,誤信の程度つまり主観的な部分の話です。

5 蛇足
 ということで,誤信しそうな,著作権の寿命の判例をまとめておきましょうかね。
(1)シェーン事件(最高裁平成19年(受)第1105号,平成19年12月18日判決)
 「本件映画を含め,昭和28年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物は,本件改正による保護期間の延長措置の対象となるものではなく,その著作権は平成15年12月31日の終了をもって存続期間が満了し消滅したというべきである。
 例の旧法→新法で,公表後33年→公表後50年が,さらに新法→改正新法で,公表後50年→公表後70年まで伸長されるかどうか問題になったものです。旧法だと6条の話です。
 ですので,客観的な話ですね。
 
(2)チャップリン事件(最高裁平成20年(受)第889号,平成21年10月08日判決)
 「著作者が自然人である著作物の旧法による著作権の存続期間については,当該自然人が著作者である旨がその実名をもって表示され,当該著作物が公表された場合には,それにより当該著作者の死亡の時点を把握することができる以上,仮に団体の著作名義の表示があったとしても,旧法6条ではなく旧法3条が適用され,上記時点を基準に定められると解するのが相当である。
 これは,(1)と異なり,経過規定とかのつなぎの話ではなく,適用条文を旧法3条か旧法6条かを判断した,いわば事実認定の問題,ひいては,映画の性質の話です。
 
(3)黒澤事件(知財高裁平成19(ネ)10083号など,平成20年07月30日判決。最高裁は,平成21年10月08日に上告を棄却して,知財高裁の判断で確定。)
 「本件映画は著作者の実名を表示して興行された著作物であり,旧著作権法6条にいう団体名義の著作物に当たらないというべきである。
 したがって,本件映画の著作権の存続期間は,旧著作権法3条が適用されるものと解される。
 やはり,これも,経過規定とかのつなぎの話ではなく,適用条文を旧法3条か旧法6条かを判断した,いわば事実認定の問題,ひいては,映画の性質の話です。
 
(4)まとめ
 上記のとおり,チャップリン事件と黒澤事件は同じ論点の話,シェーン事件はこれらとはちょっと違う論点の話,そして,今回の事件は,これらとはかなり違う話,というわけです。
 
1 概要
 本件は、控訴人たる一般社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)が、被控訴人である東芝に対し,東芝の製造販売するアナログチューナーを搭載しないDVD録画機器(被控訴人製品)が,著作権法30条2項所定のデジタル方式の録音又は録画の機能を有する「政令で定める機器」(特定機器)に該当するとの主張を前提にして,東芝においては著作権法104条の5所定の製造業者等の協力義務として,その購入者から被控訴人製品に係る私的録画補償金相当額を徴収してSARVHに支払うべき法律上の義務があるなどと主張し,私的録画補償金相当額の支払を求めた事案の控訴審です。
 
 原審(東京地裁平成21年(ワ)40387号、平成22年12月27日判決。46部の大鷹さんの合議体でした。)は、被控訴人製品はデジタルチューナーを搭載するだけでアナログチューナーを搭載しないが,それでも特定機器に該当すると判断しつつも,著作権法104条の5が規定する特定機器の製造業者等が負う協力義務は,SARVHの主張するような法律上の具体的な義務ではなく,法的強制力を伴わない抽象的な義務であると解されるから,東芝がその協力義務として被控訴人製品に係る私的録画補償金相当額の金銭を支払う義務を負うものと認めることはできず,SARVH主張の不法行為の成立も認められないとして,SARVHの請求を棄却しました。
 
 そして、この原審に不服のSARVHが控訴したのが本件、というわけですね。
 これに対して、知財高裁2部(塩月さんの合議体です。)は、控訴を棄却しました(要するに、請求を棄却した原審とおりで結構、ということです。)。
 
 これも有名な事件ですね。
 
2 問題点
 判決にあがっている問題点は何個かあるのですが、基本2つですね。一つは、①東芝の製造販売していたアナログチューナーを搭載しないDVD録画機器(被控訴人製品)が、「政令で定める機器」(特定機器)にあたるか?という問題です。もう一つが、②法104条の5所定の協力義務は強制力ある義務と言えるか?という問題です。
 
 原審は、上記のとおり、①で当たる!?として、しかしながら、②で強制力ある義務じゃない(「法104条の5が規定する特定機器の製造業者等が負う協力義務は,原告の主張するような法律上の具体的な義務ではなく,法的強制力を伴わない抽象的な義務である」)としたため、多くの論者が、はあーっ??となったことは記憶に新しいところではないでしょうか。
 ちょうど一年前のことですね。結論は妥当だとは思いますが、否認の刑事事件で執行猶予判決をもらったときのような中途半端さ加減でした。
 ですので、控訴審がどう判断するのかは皆さん結構注目していたと思います。ちなみに私見は以下のとおりです。
 
 まず、①の問題点ですが、条文上は、アナログ放送をデジタル変換して、これをデジタル録画する場合のものを念頭に置いたような規定と読めます。そもそも私的録音録画補償金制度の趣旨が、私的な複製をある程度保護するとともに、あまりにやりすぎの状態での権利者の不利益を補償するものと言えますので、こう読めると思います。
 いやいや、デジタル放送だとデジタル変換せず、そのままデジタル録画できるんだから、権利者の不利益はアナログ放送以上じゃねえーの、私的録音録画補償金制度の趣旨を没却するんじゃねーの、と思われるかもしれません。勿論、アナログ放送のときと同様に、何の対策もしていないのであればその通りですが、コピーワンスとかダビング10とか聞いたことないですか?デジ-デジの録画は、システム上の技術的障壁を入れて、やりすぎ状態を防ぐようになっているのです。
 そうすると、デジ-デジ録画の機器は、やりすぎ状態という権利者にとっての、うべかりし利益の損害を防ぐようになっており、それ以上に補償金を積むというのは、いわば二重取りじゃないのかな~という気がしないでもないですね。
 
 次に②の点は、よくわかりません。抽象的か、それとも具体的で法的強制力を伴ったものかは、確かに条文の書き具合とかにも依るのだとは思いますが、結局裁判官の胸先三寸でどうにでもなるものですからね。原審を評する論者の多くが、はあーっ?となったのも、こんな予測可能性のない所で戦わないといけないの!?というところがあったからではないでしょうか。
 
 強引な盛り上げはこの程度にして、判旨に行きましょう。
 
3 判旨
②の問題点「法104条の5が製造業者等の協力義務を法定し,また,指定管理団体が認可を受ける際には製造業者の意見を聴かなければならないと法104条の6第3項で規定されている以上,上記のような実態の下で「上乗せ・納付方式」に協力しない事実関係があれば,その違反について損害賠償義務を負担すべき場合のあることは否定することができない。製造業者等が協力義務に違反したときに,指定管理団体(本件では控訴人)に対する直截の債務とはならないとしても,その違反に至った経緯や違反の態様によってはそれについて指定管理団体が被った損害を賠償しなければならない場合も想定され,法104条の5違反ないし争点3(被控訴人による不法行為の成否)における控訴人主張を前提とする請求が成り立つ可能性がある。」
 
①の問題点「当裁判所は,著作権法30条2項に基づき政令で録音・録画機器(特定機器)の範囲を定めるには,その当時利用されていた機器が対象とする録音・録画源と録音・録画規格を前提にし,当該録音・録画機器の普及の状況や利用実態が検討され,関係者の協議等に基づく合意の程度が勘案されてきたものであるところ,著作権法施行令1条2項に3号が追加された当時,録画源がアナログテレビ放送であることが念頭に置かれ,この録画源についてDVD録画が行われる機器を録画補償金の対象とする点で関係者の大方の合意が得られたことから,同号の追加が閣議決定されたものであると認定し,同号所定の「アナログデジタル変換によって行われた」影像を連続して固定する機能を有する機器との要件は,アナログ放送をデジタル変換して録画が行われることを規定したものであり,しかも,この変換は,DVD録画機器に搭載されるアナログチューナーからのアナログ信号を対象にするものであるから,当該機器においてアナログチューナーを搭載しないDVD録画機器については,アナログデジタル変換が行われず,したがって3号該当性は否定されると判断するものである。」
 
4 検討
 知財高裁は、まず②の問題点から検討しております。まあこれは上記のとおり、裁判官気分次第でI want you♪♪ですので、こういう判断もありうるところです。
 
 他方、上記の①の問題点については、特定機器にあたらないと結論づけました。そして、これについては、詳細な理由付けがあります。私のようなせっかちからすると、普通の解釈で文言外な上に、立法当時念頭にも置かれず、合意もできていなかったデジタル放送については、そんなもん対象外に決まってんじゃん!と速攻判断しちゃいそうなのですが、塩月さんのところは慎重ですね。
 
 さてさて、上記のとおり、結論については原審と同じですが、判断は真逆になりました。原審は、①で特定機器だけど、②で法的強制力のない抽象的義務だとしました。他方、知財高裁は、①で特定機器にあたらずチャンチャン、②については、法的強制力なしとは言えないとしたわけですね。
 
 まあ本件の落ち着きとしては、知財高裁かなあという気がします。
 
 ただ、また蛇足になりますが、原告は、欲のかき過ぎかなあって気が大いにしますね。東芝ってある意味スポンサー筋ですからね。やむを得ず訴訟までしたのでしょうが、まあ誰の尻馬に乗ったのかはわかりませんが、安直だなあというところですね。
 なお、報道によると原告=控訴人は、最高裁へ上告したそうですので、来年の今頃、また欲のかき過ぎか、はたまたびっくり仰天か、どちらかのコメントが出せることと思います。

5 追伸(2012.11.12)
 原告の上告は棄却されたとの報道がありました。ということで,結論としては,原告の欲のかき過ぎってことになりますね。そして,最高裁のHPには判決が載っておりませんので,まあ短い判決だったのでしょう。
 しかし,本当,誰の尻馬!に乗ったのか知りませんが,安直でしたね~。

 さて,この私的録画補償金管理協会の構成員を見てみましょう。
 私的録画著作権者協議会,公益社団法人日本芸能実演家団体協議会,一般社団法人日本レコード協会です。後二者は,実演家とレコード会社の団体でしょうから,どういう人達の利益を代表する団体かわかりますね。検索にも引っかかります。
 他方,前一者の私的録画著作権者協議会とは何でしょう?これは謎です。検索しても引っかかりません。おそらく,こういうところが,通常は,黒幕的役割を果たしておりますので,今回も言わずもがなってところだと思います。

 総じて,ザマーミロっていう感想ですね。
1 概要
 本件は,被告人が,ファイル共有ソフトであるWinnyを開発し,その改良を繰り返しながら順次ウェブサイト上で公開し,インターネットを通じて不特定多数の者に提供していたところ,正犯者2名が,これを利用して著作物であるゲームソフト等の情報をインターネット利用者に対し自動公衆送信し得る状態にして,著作権者の有する著作物の公衆送信権(著作権法23条1項)を侵害する著作権法違反の犯行を行ったことから,正犯者らの各犯行に先立つ被告人によるWinnyの最新版の公開,提供行為が正犯者らの著作権法違反罪の幇助犯に当たるとして起訴された事案です。

 有名な事件ですよね。でも漸く最高裁かという気がします。

 ちなみに一審は,京都地裁平成18年12月13日判決で,罰金150万円の有罪でした。
 この判決で,主観的態様については,
被告人が前記「Winny2WebSite」上で,違法なファイルのやりとりをしないような注意書きを付記していたこと及び無視フィルタ機構があることを考慮しても,被告人は,Winnyが一般の人に広がることを重視し,ファイル共有ソフトが,インターネット上において,著作権を侵害する態様で広く利用されている現状をインターネットや雑誌等を介して十分認識しながらこれを認容し,そうした利用が広がることで既存のビジネスモデルとは異なるビジネスモデルが生まれることも期待しつつ,ファイル共有ソフトであるWinnyを開発,公開しており,これを公然と行えることでもないとの意識も有していたと認められる。
 そして,Winny2がP2P型大規模BBSの実現を目的としたものであり,Winny1との互換性がないものであるとしても,Winny2にほぼ同等のファイル共有機能が備えられていることや,上記の「Winnyの将来展望について」が平成15年10月10日付けのものであることなどからすれば,本件で問題とされている同年9月ころにおいても,同様の認識をしてこれを認容し,Winny2の開発,公開を行っていたと認められる。
 ただし,Winnyによって著作権侵害がインターネット上にまん延すること自体を積極的に企図したとまでは認められない。
というように,故意ありとしています。
 
 そして,二審が,大阪高裁平成21年10月8日判決で,ここで,無罪になりました。ただ,裁判所のHPにも私のデータベースにも,この判決がないのですね。ですので,正確なところがわかりません。

 論点は,ただ一つ,幇助の故意の有無ですね。

2 問題点
 今回,著作権法が問題となってはおりますが,刑事事件ですので,その辺の説明から行きましょうか。

 幇助犯というのは,刑法62条1項で,「正犯を幇助した者は、従犯とする。」とあるものです。シンプルでいいですね~。
 バカどもに改正させると,こういうのも,A4換算で2枚くらいの長さの条文になるのでしょうかね。ああバカにはなりたくないもんだ,ホホホ。

 そして,この幇助というのは,実行行為以外で正犯の実行行為を容易ならしめることを意味すると言われております。ただ,そうすると,風が吹けば桶屋が儲かるではないですが,それこそ,無限定に広がりやすくなります。
 他方,あまりに,実行行為を厳しくみると,それって,もはや正犯じゃねえの,というやつまで従犯になってしまいます(従犯になると,刑法63条で,減軽されてしまいます。例えば,普通の懲役だと半分になってしまうのですね(刑法68条3号)。)。
 ですので,典型的な幇助と言えるような見張り役も,殺人,強盗,窃盗だと,共同正犯になるのが普通で,幇助になるのは,賭博の見張り役くらいなものです。

 このような感じですから,外からわからない,主観的態様(故意)については更にわかりにくいところがあります。
 例えば,有名な事件で,ホテトルの冊子を印刷した印刷業者が,売春周旋の幇助にあたるか問われた事例がありました(東京高裁平成2年12月10日判決)。これは結果として,故意も認めて,幇助とされました。何だか今回の事例とそこそこ似ていますね。
 このような非類型的なものでも,実行行為を容易ならしめ,そのことを認識・認容していれば,幇助とされることもあるわけです。

 さて,本件では,一審が,著作権侵害の可能性・蓋然性の認識・認容で足りるとしたのに対し,二審は,それだけでは不足で,それに加えて,「ソフトを違法行為の用途のみに又はこれを主要な用途として使用させるようにインターネット上で勧めてソフトを提供する場合」でないと幇助不成立としました(ただ,客観的態様が主観的態様に入り込んでしまっている感がありますね。)。

 ということで,最高裁はどう判断したのでしょうね。

3 判旨
「原判決は,インターネット上における不特定多数者に対する価値中立ソフトの提供という本件行為の特殊性に着目し,「ソフトを違法行為の用途のみに又はこれを主要な用途として使用させるようにインターネット上で勧めてソフトを提供する場合」に限って幇助犯が成立すると解するが,当該ソフトの性質(違法行為に使用される可能性の高さ)や客観的利用状況のいかんを問わず,提供者において外部的に違法使用を勧めて提供するという場合のみに限定することに十分な根拠があるとは認め難く,刑法62条の解釈を誤ったものであるといわざるを得ない。
(2) もっとも,Winnyは,1,2審判決が価値中立ソフトと称するように,適法な用途にも,著作権侵害という違法な用途にも利用できるソフトであり,これを著作権侵害に利用するか,その他の用途に利用するかは,あくまで個々の利用者の判断に委ねられている。また,被告人がしたように,開発途上のソフトをインターネット上で不特定多数の者に対して無償で公開,提供し,利用者の意見を聴取しながら当該ソフトの開発を進めるという方法は,ソフトの開発方法として特異なものではなく,合理的なものと受け止められている。新たに開発されるソフトには社会的に幅広い評価があり得る一方で,その開発には迅速性が要求されることも考慮すれば,かかるソフトの開発行為に対する過度の萎縮効果を生じさせないためにも,単に他人の著作権侵害に利用される一般的可能性があり,それを提供者において認識,認容しつつ当該ソフトの公開,提供をし,それを用いて著作権侵害が行われたというだけで,直ちに著作権侵害の幇助行為に当たると解すべきではない。かかるソフトの提供行為について,幇助犯が成立するためには,一般的可能性を超える具体的な侵害利用状況が必要であり,また,そのことを提供者においても認識,認容していることを要するというべきである。すなわち,ソフトの提供者において,当該ソフトを利用して現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながら,その公開,提供を行い,実際に当該著作権侵害が行われた場合や,当該ソフトの性質,その客観的利用状況,提供方法などに照らし,同ソフトを入手する者のうち例外的とはいえない範囲の者が同ソフトを著作権侵害に利用する蓋然性が高いと認められる場合で,提供者もそのことを認識,認容しながら同ソフトの公開,提供を行い,実際にそれを用いて著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソフトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害の幇助行為に当たると解するのが相当である。」

4 検討
 結局のところ,最高裁は,二審は主観と客観が混合し,味噌もクソも一緖なので,これはダメ,しかし,一審のような故意だと,ちょっと広すぎるということで,故意の中身の,認識・認容の対象をかなり限定した,というところではないでしょうか。
 ただ,事実認定を見るとわかるのですが,結構ギリギリって感じですね。また,大谷裁判官の反対意見があるのですが,説得力バリバリあります。多数意見は結論前提のもので,反対意見は論理貫くもの,という感想です。

 ところで,また蛇足なのですが,私の修習時代の刑裁教官は,特許侵害罪を扱ったことがあるらしく,明細書ってわかりにくい,ほんで弁理士も呼んだとか,当時の話をしてくれました。その中で一番気になったのは,有罪にしたら,被告人が控訴して,その間に特許が無効になって,チャンチャンになったというクダリでした。
 
 私は,今でこそ現大阪市長である橋下さんを応援しておりますが,その昔は,何だコイツと,今でもアンチ橋下の多くが持つのと同じような感情を持っておりました。しかし,あるときをキッカケにそれは変わりました。

 当時,出演していたサンデー・ジャポンの中ですが,CDか何かの海賊版の話になり,一緖に出ていたタレント高田万由子から,旦那(葉加瀬太郎)のCDもウンたらカンたらという発言があるやいなや,橋下ちゃんが,そんなもん,CDを出すからそうなるんで,ライブだけやってりゃいいんだという趣旨の発言がありました(まあ結構昔なので,うろ覚え)。
 高田万由子は,これに,何を言っているの,あなた,みたいな反論をしていたと思いますが,いやいや感心しましたね。

 橋下ちゃんは,著作権を専門にはやっていなかったとは思うのですが,実によくわかっていますよ。下手に知識があると著作権法30条2項の話などやりかねませんが,結局,アメリカでコピーライトと言うように,全く同じモノ(内容)にもかかわらず(特にデジタル時代),良いコピーと悪いコピーがある,というのが本質ですよ。
 良いコピーを拡大再生産したいというのは,私のような金権弁護士にはよくわかりますが,基本単なる金儲けの発想ですわな。

 文化のためだとか何チャラとか,下らない御為ごかしなんかせず,生演奏ばっかだとダルいし,楽して金儲けしたいっすよ~,はあーっって言えばいいと思いますけどね。そうしたら,権利者側を少しは応援する気にもなるってことです(別に,本件の判決日の翌日に発表があった,自炊代行業者を訴えるという話への当てこすりではありませんからね,念のため。ここはマジ。)。

 蛇足っぽいエピソード2つは,今回の判決を含め,私の考える知財というものの本質について,ですね。
1 概要
 本件は,上告人である1審原告らが,北朝鮮で製作された本件映画の一部を1審原告らの許諾なく放送したAを承継した被上告人(1審被告,フジテレビジョン側)に対し,① 主位的に,本件映画を含む北朝鮮で製作された同目録1ないし3記載の各映画(本件各映画)は北朝鮮の国民の著作物であり,ベルヌ条約により我が国が保護の義務を負う著作物として著作権法6条3号の著作物に当たると主張して,本件各映画に係る1審原告X2の公衆送信権(同法23条1項)が侵害されるおそれがあることを理由に,1審原告X2において本件各映画の放送の差止めを求めるとともに,Aによる上記の放送行為は,本件各映画について1審原告X2が有する公衆送信権及び1審原告X1が有する日本国内における利用等に関する独占的な権利を侵害するものであることを理由に,上記各権利の侵害による損害賠償を請求し,② 原審において,予備的に請求を追加し,仮に本件映画が同法による保護を受ける著作物に当たらないとしても,上記放送行為は,1審原告らが本件映画について有する法的保護に値する利益の侵害に当たると主張して,不法行為に基づく損害賠償の支払を求める事案です。

 まあ要するに,フジテレビ(あと日テレちゃんも被告でした。)が,北朝鮮のヘンテコぶりを報道したくって,北朝鮮の記録映画を勝手に放送したため,権利者側と諍いになったってことですね。

 これはかなり有名な事件で,一審は,被告が日テレちゃんのものが,東京地裁判決平成19年12月14日(平成18(ワ)5640号)で,被告がフジテレビのものが,東京地裁判決平成19年12月14(平成18(ワ)6062号)です。
 この一審では,「ベルヌ条約3条(1)(a)の条項は,国際社会全体に対する権利義務に関する事項を規定するものと解することができず,北朝鮮との関係で同条項の適用は認められないから,結局,我が国は,同条項に基づき北朝鮮の著作物を保護する義務を負わない。」ということで,原告(北朝鮮側)の請求を棄却したのでした。

 この判決が出たときは,結構話題になりました。未承認国だからって同じ条約に入っているわけなのに,おっとと~等です。色んな評釈も出ました。その辺は各自で自習してください。

 そして,北朝鮮側は,フジテレビのやつのみ,控訴しました(この辺の経緯は不明です。私の使っているデータベースの情報によります。)。
 これが,知財高裁平成20年12月24日( 平成20(ネ)10011号)です。ここで,北朝鮮側は,予備的に請求を追加しました(仮に本件各映画著作物が著作権法の保護を受ける著作物に当たらないとしても,脱退被控訴人が上記映画の映像の一部を控訴人らの許諾を得ることなく放映した行為は,控訴人らが同映画について有する法的保護に値する利益の侵害に当たるとの主張で,民法709条に基づく損害賠償請求)。

 これについて,知財高裁は主位的請求については,やはり請求棄却,しかし,予備的請求については,一部請求を認めました。
 主位的請求を棄却した論理は基本一審通りですが,予備的請求を認めたのは,「約6分間のテレビ番組中で2分間を超える放映をすることは,それ自体としては相当な時間の利用であるといえること等の事実に照らすならば,脱退被控訴人が控訴人カナリオ企画に無断で営利の目的をもって本件無許諾放映をしたことは社会的相当性を欠く行為であるとの評価を免れず,本件無許諾放映は,控訴人カナリオ企画が本件映画の利用により享受する利益を違法に侵害する行為に当たると認めるのが相当である。」としたのです。
 そのため,この知財高裁の判決もまた話題になりました。やはり,色んな評釈が出ました。有名なものは,著作権判例百選の113の横溝教授のものでしょうかね。

 ほんで,今回は,いよいよ最高裁での最終決着ということになったわけです。

2 判旨
 主位的請求について 「一般に,我が国について既に効力が生じている多数国間条約に未承認国が事後に加入した場合,当該条約に基づき締約国が負担する義務が普遍的価値を有する一般国際法上の義務であるときなどは格別,未承認国の加入により未承認国との間に当該条約上の権利義務関係が直ちに生ずると解することはできず,我が国は,当これをベルヌ条約についてみると,同条約は,同盟国の国民を著作者とする著作物を保護する一方(3条(1)(a)),非同盟国の国民を著作者とする著作物については,同盟国において最初に発行されるか,非同盟国と同盟国において同時に発行された場合に保護するにとどまる(同(b))など,非同盟国の国民の著作物を一般的に保護するものではない。したがって,同条約は,同盟国という国家の枠組みを前提として著作権の保護を図るものであり,普遍的価値を有する一般国際法上の義務を締約国に負担させるものではない。
 そして,前記事実関係等によれば,我が国について既に効力を生じている同条約に未承認国である北朝鮮が加入した際,同条約が北朝鮮について効力を生じた旨の告示は行われておらず,外務省や文部科学省は,我が国は,北朝鮮の国民の著作物について,同条約の同盟国の国民の著作物として保護する義務を同条約により負うものではないとの見解を示しているというのであるから,我が国は,未承認国である北朝鮮の加入にかかわらず,同国との間における同条約に基づく権利義務関係は発生しないという立場を採っているものというべきである。
 以上の諸事情を考慮すれば,我が国は,同条約3条(1)(a)に基づき北朝鮮の国民の著作物を保護する義務を負うものではなく,本件各映画は,著作権法6条3号所定の著作物には当たらないと解するのが相当である。」

 予備的請求について 「著作権法は,著作物の利用について,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に独占的な権利を認めるとともに,その独占的な権利と国民の文化的生活の自由との調和を図る趣旨で,著作権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,独占的な権利の及ぶ範囲,限界を明らかにしている。同法により保護を受ける著作物の範囲を定める同法6条もその趣旨の規定であると解されるのであって,ある著作物が同条各号所定の著作物に該当しないものである場合,当該著作物を独占的に利用する権利は,法的保護の対象とはならないものと解される。したがって,同条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為は,同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。」

3 検討
 主位的請求については,このとおりなんでしょうね。基本著作権はいわゆる人権ではありませんので,あるときは保護され,またあるときは保護されない,ってことでいいと思います。
 てなことを書くとキーっとなる向きもありましょうが,そもそも著作権って寿命のあるものですからね。

 他方,予備的請求についても,結論はこれで良いと思いますが,別段の考慮が必要な気もします。つまり,この判決の射程が意外と広いんじゃないかいな,という所です。
 著作権などで保護されないものについて,未来永劫とにかく保護されないというのではなく,民法709条で保護される場合もあるというのが通説だと思います(例えば,有名な事件として,木目化粧紙事件,東京高判平成3年12月17日があります。)。
 著作権などの知財法で保護されないとしても,他人の苦労,汗にタダ乗りする奴は許せないという常識に沿った形での解決を図ったものです(デッドコピー法理だとか言うらしいですね。)。

 このような通説からすると,最高裁の規範だと,民法709条で保護される場合が若干狭いような気がするのです。というのは,最高裁は,例外的に保護する場合を「異なる法的に保護された利益を侵害する」とだけ,明記しており,かなり限定しているような感があるからです。
 まあ著作権その他の知的財産権って,政策的なものと言ってよいですから,保護のボリュームの目盛りを多少上げ下げしてもよいとは思いますけどね。
 
 まあともかく,私は予備的請求についての判決の射程が気になったということでした。

 で,蛇足です。

4 蛇足
 上で判決の射程,射程と書きましたが,これはある意味おかしな話ですよね。だって,日本は制定法(大陸法)の国ですから。
 判決の射程を考えなくちゃいけないのは,英米のようなコモンローの国々ですね(蛇足の蛇足ですが,弁理士試験に受かった後,一般法に興味を持ち始めたときに驚いたのは,アメリカに民法がない!ってことですね。言われりゃそうかな~と思いますが,本当にそういうことなのです。)。

 じゃあ日本のような制定法の国では何を検討するかというと,これが要件事実になるわけです。つまり,制定法の国では要件事実が重要であり,コモンローの国では判決の射程が重要になるということです。もっとも,アメリカでもUSC35(特許法のこと)のように制定法はあるし,日本でも上記のように判決の射程が問題になったりはするわけです。しかし,原則をおさえるというのは大事です。

 考えてみると,この「判決の射程」と「要件事実」というのは,ある意味水と油のような所があります。
 どういうことかというと,判決の射程という概念は,平たく言うと,個別・具体的な個々の事件から,いかに一般的・抽象的な規範を引っ張り出すかという話です。
 他方,要件事実という概念は,一般的・抽象的な法規範を,どう個別・具体的な個々の事件に適用するかという話です。つまり,全く逆なのですね。
 前者は,いわゆる帰納的な概念であり,後者は演繹的な概念です。まあこの辺,いわゆる大陸哲学と,イギリス経験論の違いにまで至る感があり,面白いものです。

 誰かこの辺のことを詳しい本を知らないかなあ,又は書いてくれないかなあ~♪
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